2025年12月22日月曜日

核武装発言で内閣総辞職へ/「核を持つべき」発言は許せない!議員会館前に750人

 植草一秀氏のブログに掲題の記事が載りました。
 オフレコの前提で安全保障を担当する首相官邸幹部が独自の抑止力を強化するために「私は核保有すべきだと思っている」と発言したことについて、植草氏は、首相官邸幹部は高市氏の古くからの飲み友達である自衛隊出身の尾上定正氏であると推測し、核廃絶を求める立場にある日本の政府高官が「核武装すべき」と発言した事実は重大で、本来新聞の1面トップで大々的に報じられるべき内容であり、内閣総辞職に相当する重大問題と言ってよいとしています。
 そして11月7日の高市首相の台湾有事発言も、メディアは過去の日中外交の事実関係を検証して糾弾するべきものであるのに、日本のメディアは高市発言の問題点を的確に指摘することなく逆に高市発言に反発する中国が悪いと主張するかの報道を展開しているとして、そうしたメディアの歪みを見抜かねばならないのは主権者である国民であるのに、この問題を重大に捉えないなら日本の病理そのものが重大であるということだと述べています。

 併せてレイバーネット日本の記事:「『核を持つべき』発言は許せない!12・19国会議員会館前行動に750人」を紹介します。
 衆院第二議員会館前で開催した「国会19日行動」には寒空の中750名が結集しました。
 各発言者のスピーチの概要が丁寧に紹介されています。
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核武装発言で内閣総辞職へ
                植草一秀の「知られざる真実」2025年12月20日
安全保障を担当する首相官邸幹部が独自の抑止力を強化するために「私は核保有すべきだと思っている」と発言したと伝えられている。オフレコの発言であることを斟酌(しんしゃく)してなのかメディアは発言者の氏名を明らかにしていない。
高市首相の補佐官に自衛隊出身の尾上定正(おうえさだまさ)氏がいる。
航空自衛隊出身で退官後は2023年に防衛大臣政策参与を務め、高市内閣発足に際して「国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当」の総理補佐官に就任

高市氏は自身のHPコラムで2022年4月12日に次のように記述している。
  https://www.sanae.gr.jp/column_detail1387.html
「昨年来、古くからの飲み友達であり、同じ奈良県出身者でもある航空自衛隊OBの尾上定正氏に、ご本人の知見を伝授していただくとともに、陸海空の各専門家も紹介していただきながら、国防政策の方向性を考え続けています。」
同郷で年齢も近い「飲み友達」を高市氏は「国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当」の総理補佐官に起用した。
「核軍縮・不拡散問題担当」の補佐官が「私は核保有すべきだと思っている」と述べたとすれば驚愕である。メディアが氏名を公表していないから断定できないが、尾上氏の発言である疑いは強い。

「非核三原則」とは、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」というもので1967年12月に佐藤栄作首相によって表明された。
「非核三原則」の国会での取り扱いとしては、1976年4月27日に衆議院外務委員会において、核拡散防止条約(NPT)批准の際の附帯決議として、「政府は、核兵器(核燃料、核廃棄物)を持たず、作らず、持ち込まさずとの非核三原則が国是として確立されていることにかんがみ、いかなる場合においても、これを忠実に履行すること」が決議された。

また、参議院外務委員会においても同年5月21日に、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核三原則が国是として確立されていることにかんがみ、いかなる場合においても、これを忠実に遵守すること」とする項目を含む附帯決議が決議された。

三原則のうち「持たず、作らず」の二原則については、1955年の日米原子力協力協定と、これに付随する原子力基本法および国際原子力機関(IAEA)、核拡散防止条約(NPT)等の批准で法的に禁止されている。他方、「核兵器を持ち込ませず」の一原則は国会で決議されたが法律や条約でないために法的拘束力はないとされる。
高市首相が三原則のうち「持ち込ませず」の一原則の見直しの考えを有しているとされ、論議が生じている。しかし、「持たず、作らず」の二原則は法律および条約によって法的拘束力のあるものと理解される

世界で唯一の被爆国であり、核廃絶を求める立場にある日本の政府高官が「核武装すべき」と発言した事実は重大だ。本来、新聞の1面トップで大々的に報じられるべき内容だ。内閣総辞職に相当する重大問題と言ってよいだろう。

11月7日の高市首相の台湾有事発言も、メディアは過去の日中外交の事実関係を検証して糾弾するべきもの。高市発言は一般論として「存立危機事態になる可能性がある」と述べたものでない。台湾有事で戦艦を使い武力行使をともなうものであれば「どう考えても存立危機事態になり得る」と述べたもの。
「ほぼ間違いなく存立危機事態になる」との「確率分布」に関する判断を公言したものだ。

「存立危機事態になる可能性がある」ではなく「まず間違いなく存立危機事態になる」との「見解」を示したもの。そのために大問題に発展している。
ところが、日本のメディアは高市発言の問題点を的確に指摘することなく逆に高市発言に反発する中国が悪いと主張するかの報道を展開する。

高市首相が安全保障問題で知見を伝授してもらっている自衛隊出身者が「日本は核武装すべきだ」と述べたことは重大。メディアはこの重大問題を大きく取り上げない。
その歪みを見抜かねばならないのは主権者である国民。主権者である国民がこの問題を重大に捉えないなら日本の病理そのものが重大であるということだ。

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                 (後 略)


「核を持つべき」発言は許せない!2・19国会議員会館前行動に750人
                       レイバーネット日本 2025-12-20
12・19国会議員会館前行動】
「国会19日行動」は(戦争煽るな!高市発言)をサブスローガンにして、12月19日、衆院第二議員会館前で開催した。750名が結集!高市首相の「台湾有事は存立危機緊急事態」答弁は、右翼的ポピュリスト!(報告=宮川敏一)
高市政権で安全保障政策を担当する官邸関係者が、オフレコを前提にした記者団による非公式取材の場で、個人的な見解としたうえで「私は核を持つべきだと思っている」と述べ、日本の核兵器保有が必要だとの考えを示した。コメントしたのは、尾上定正(おうえさだまさ)内閣総理大臣補佐官(防衛大、防衛省出身)(国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当)。高市早苗首相が就任早々に任命した。これらの発言についての波紋が大きく広がっている。
◆国会19日行動は、菱山南帆子さんの主催者挨拶で始まった。「内閣補佐官の尾上定正氏の『核を持つべき』発言は許せません。安保法制も10年経っても違憲のものは違憲です。私は全国の仲間たちと連帯して来年も反戦平和を訴えて頑張っていきます。絶対に負けてはいけません。頑張りましょう」。
◆近藤昭一衆院議員(立憲民主党)
「臨時国会が今夜17時に閉会しました。ご承知の通り、生活に関わる大きな課題があるにもかわらず遅く始まり早く終わる臨時国会。補正予算の金額は大きく、中身を見ると、緊急なものではない。軍事防衛そういう予算を膨らましている。生活に密着した本当に必要なものがどれだけきちんと組み込まれていたのか。国民の声を反映する政治を進めます」。
◆塩川鉄也衆院議員(日本共産党)
「今の自民維新政権の強権的なやり方断じて許すことはできません。暮らしの問題で、補正予算を組みましたけれども、 1回限りのばらまきばっかりであります。肝心の景気対策、物価高騰に備えるような消費税の減税こそ国民の声に応えることです。高市政権は2020年代に最低賃金時給 1500円の目標を棚上げにしました。軍事費拡大、非核三原則さえ破ろうとします。高市政権に対して国民の声を大きく突きつけて平和と暮らしを守る政治の転換を図るために、皆さんと力を合わせ、頑張りましょう」。
◆ラサール石井参院議員(社民党)
「高市政権国会は、あまりにも筋が悪い。もう本当にチンピラ政権です。長年連れ添った 26年の恋人であった公明党にふられ、国民の願い裏金撲滅をさて置いて、1丁目1番地と豪語して議員1割削減を主張する。そんなこと強く言ってこなく、成立もしなかった。そして1年後に成立する時限爆弾を仕掛けた。本当にチンピラだ。子供たちに差別はいけないと教えるはずの文科省が朝鮮学校差別をしている。今、日中戦争をやってもいいという人がアンケートで 50パーセントもいるんです。皆さん。今、日本があのナチスと同じ状態になっているんです。あの時のドイツと同じ状態になっているんです。絶対に止めなきゃいけない。そのためにはこの高市政権を倒さなければいけないんです」。
◆伊波洋一参院議員(沖縄の風)
 メッセージ(代読)
「現在沖縄を始め、全国で自衛隊軍事基地化と日米共同演習の常態化、先島諸島や奄海群島の住民を島外に避難させる動きが作られようとしています。県民の 4人に 1人が犠牲となった沖縄戦から 80年を迎える中で、県民は沖縄が再び戦場とされるのではないかと不安を募らせています。 高市発言の台湾有事は存立危機事態になり得る。高市首相の発言許せないです。政府は戦争イコール存立危機事態にならないようにしなければなりません」。
◆内田雅敏(弁護士)
「今、様々な形で日本と中国の文化化は敵対的相互依存関係に入っております。しかし、私たちは絶対に敵対的相互依存関係に入ってはならない。先人たちが作った平和関係の活用しながら日中は隣国であり、引越しすることもできない。永遠の隣国だとそのためにも私はあえてここで、もう 1回言いたい。日本も中国もお互いに武力によって物事を決する。そういう国にはならない。このことを今から 53年前の日中共同声明の 7項でうたっているわけです。そして 6年後の日中平和友好条約や鄧小平は、この反覇権条項は将来日本中国は覇権国家にならないためにも必要だとこういう説得をした。お互いにもう一度言います。敵対的相互依存関係の落ちることなく先人の作った平和資源を活用していきましょう」。
◆韓国YMCAキム・ギョンミンさん
「皆さんと連帯と支援に心から感謝を申し上げます。この連帯は国境を超え、各国の市民に私たちは 1人ではないという大きな勇気と希望を与えてくださいました。日本でも政治的な変化がありました。日本政府は中国を明確な敵と位置づけ、日米韓の外交軍事政治経済同盟の尖兵となることを自認しています。その過程で平和憲法が損われ、東北アジアの軍事的緊張は一層高まっています。私たちは皆さんと連帯して平和共存の社会つくりましょう」。
◆日本医労連(佐々木委員長)
「介護も深刻で介護事業所の倒産も 2024年度過去最多となっています。その結果、訪問介護事業所が 1つもないという自治体が 115町村たった。全自治体の 2割が在宅の危機となっています。医療機関も介護事業所も経営困難で、労働者の賃上げもまもならず、厚生労働省の調査でも 2025年の医療福祉の賃金改定額が全産業平均の半分以下と言うふうになっています。私たち医労連は誰もが安心して医療の受けれれる環境を作ると頑張っています」。
◆19:30に閉会した。
会場の出口では、恒例の日音協メンバーが参加者に歌声で送ってくれた。