河野デジタル相は7日に記者会見し、マイナンバーにひも付ける「公金受取口座」に本人以外の口座を登録したケースを総点検した結果、約5400万件のうち、誤って別人の口座が登録されたのは748件で、あえて家族や同居人、別居家族の口座を登録したと思われるものは約13万件ありました。しんぶん赤旗が報じました。
この事態について河野氏は何故かこれは「誤登録」ではないことを強調しました。では一体このどこが安全で確実な「マイナンバー制度」だというのでしょうか。政府の側で、安全確実な制度を作るための基礎的な準備=制度設計が全くできていなかったということです。
日刊ゲンダイは、「 ~ 河野大臣に問われる『重大責任』 相次ぐトラブルは序章に過ぎない」とする記事を出しました。
そもそも政府(デジタル庁)にマイナンバー制度をまとめる能力があるのでしょうか。
2つの記事を紹介します。
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マイナ口座誤登録数を発表 家族名義13万・別人748件
しんぶん赤旗 2023年6月8日
マイナンバーにひも付けて国や自治体からの給付金の振込先とする「公金受取口座」に本人以外の口座を登録するケースが相次いだことを受け、河野太郎デジタル相は7日の記者会見で、総点検結果を明らかにしました。これによると、公金受取口座として登録されている約5400万件のうち、誤って別人の口座が登録されたのは748件で、あえて家族や同居人、別居家族の口座を登録したと思われるものは約13万件ありました。
公金受取口座は1人につき1口座を任意で国に登録するもの。本人以外の口座を登録することはできません。しかし、戸籍に記載された氏名は漢字で、口座に登録した氏名は振り仮名のため照合できず、システム上は本人とは異なる氏名の口座を登録できてしまいます。河野氏は「漢字氏名と仮名氏名の照合ができないことが根本問題だ」と釈明。3日成立した改定戸籍法により戸籍に振り仮名が追加されることから、「システム改修を行い、自動照合を実現する」と述べました。
同法は2025年6月施行で、それまでは漢字の氏名と口座の仮名が照合できる検知モデルを活用する考え。検知モデルは年内を目途に開発する予定です。
マイナカード“別人”登録13万件! 河野大臣に問われる「重大責任」 相次ぐトラブルは序章に過ぎない
日刊ゲンダイ 2023/06/08
いくら何でも多すぎる。河野デジタル相が7日の記者会見で、マイナンバーの公金受取口座への紐付けをめぐるトラブルについて点検結果を発表。本人ではなく家族や同居人などの名義の口座を登録したとみられるケースが約13万件にも上った。河野氏は「誤登録ではない」と繰り返し強調しているが、カード普及の旗振り役としてゴリ押ししてきた責任は免れない。
口座登録ミス13万件
家族でもない赤の他人の口座が公金受取口座として登録されたとみられるケースは計748件。こうした明らかな「誤登録」について、河野氏は会見で「申し訳ない」と陳謝した一方、家族名義などの口座登録についてはまるで他人事。「自治体からの給付が遅れる恐れがある」として、「9月末までに本人名義の口座に訂正する対応をお願いしたい」と呼びかけた。一体、どの口が言うのか。
そもそも問題は、マイナンバーの名義とは異なる他人名義の口座を公金受取口座として登録できてしまったシステムにある。漢字と読み仮名を突合できないことが原因だった。
本人名義の口座での登録を訴えているデジタル庁にしてみれば、別人名義の口座登録は「想定外」だろうが、それなら本人名義以外の口座登録を防ぐシステムを先に構築すべきだったはずだ。
制度設計をなおざりにしたまま公金受取口座の紐付けを進めた拙速さを会見で指摘されても、河野氏は「日本だけデジタル化に背を向けることはこの世の中、できないと思います」とワケの分からない理屈を展開。2日に成立した改正マイナンバー法を引き合いに、「今回の改正法で突合ができるようになった」「(改正法が)施行されると、(氏名の突合は)一気に改善されていくと思います」などと、あっけらかんとした様子だった。
「カード普及を焦りすぎた結果」
しかし、相次ぐトラブルに、与党内からも「カード普及を焦りすぎた結果だ」との声が噴出。河野氏の舵取りが今後の政権運営に影響するとの見方すら出ている。デジタル庁が家族名義の口座を登録していた事例を2月に把握しながら、大臣や幹部と共有していなかったことについて、公明党の高木陽介政調会長は7日の会見で「必要な情報をトップに上げるのは当然だ」と苦言を呈した。
河野氏は会見で「さまざま問題がありましたが、いずれもマイナンバーやマイナカードの制度・システムに起因するものではありませんでした」と居直ったが、今後もトラブルが相次ぐ可能性がある。
「共通番号いらないネット事務局」の宮崎俊郎氏がこう言う。
「政府の危機意識が極めて低いと言わざるを得ません。マイナ保険証や公金受取口座の誤登録などは一件一件が、個人情報の漏洩につながりかねない深刻な問題です。家族名義の口座が公金受取口座として登録された件を把握しながら、改正法の成立まで明かさなかったのは、もはや隠蔽に近い。マイナカードの活用拡大に伴い、これからも問題が出てくるでしょう。いま相次いでいるトラブルは序章に過ぎないと思います。一刻も早く、マイナンバーに関するシステムを止め、総点検するべきです」
デジタル庁は「人に優しいデジタル化」を標榜しているが、国民の安心・安全を置き去りとは、まったく優しくない。