NATO(と岸田首相)が東京に事務所を開こうとしていることについて、仏大統領が「NATOと中国の関係が緊張するから」として反対を表明しました。本来は日本こそがその懸念を持つ必要があるのですが岸田首相にはそうした配慮が皆無でした。これがそもそも異常です。
シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で同国のウン・エンヘン国防相は4日、岸田政権による大規模な軍事力強化については、周辺国を「安心させる行動」が必要だと述べ、日本が取るべき行動について、「最大の課題は中国との関係を改善すること」だと強調し、「軍事力強化に関して(周辺国を)安心させること」と「多国間協議の場に参加し続けること」を求めました。
ウン氏はまた「北東アジアには中国、日本、韓国という大国があり、事実上の核保有国である北朝鮮がある」、「私は南シナ海より北東アジアを心配している」と述べ、大規模な軍事衝突の危険性を懸念しました。しんぶん赤旗が報じました。
また4日の同会議で演説した中国の李尚福国防相は、「アメリカとの衝突は世界にとって『耐えがたい災難』になるだろう」と述べ、「『一部の国』がアジアでの軍拡競争を激化させている」と指摘しました。BBCの記事を併せて紹介します。
ここで「一部の国」が日本を指していることはいうまでもありません。岸田首相はバイデン大統領の歓心を買っていることで大満足しているようですが、それは一人よがりに過ぎないもので、第三者にどう映っているのか、周囲がどんな目で見ているのかについて知るべきです。
岸田氏は長年外相の任に就いていた筈なのにそうした海外の目についての感覚や配慮が欠如しているのは一体どういうことなのでしょうか。首相の座に就くこと以外には全く関心がなかったからでは済まされません。
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「日本は未解決の敵意」抱える シンガポール国防相 歴史問題で指摘
しんぶん赤旗 2023年6月6日
アジア安保会議
【ハノイ=面川誠】シンガポールのウン・エンヘン国防相は4日、同国で開かれたアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で、日本は歴史問題で近隣諸国との間で「未解決の敵意」を抱えていると指摘しました。岸田政権による大規模な軍事力強化については、周辺国を「安心させる行動」が必要だと述べ、日本政府の説明不足に懸念を示しました。
ウン氏はドイツと日本を比較して、「東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国とアジアには、日本に対して第2次世界大戦後に(ドイツと)同様の清算がないという感覚が残っている」と指摘。日本が取るべき行動について、「最大の課題は中国との関係を改善すること」だと強調し、「軍事力強化に関して(周辺国を)安心させること」と「多国間協議の場に参加し続けること」も求めました。
ウン氏は「私は南シナ海より北東アジアを心配している」と述べました。南シナ海では主権争いが続く一方で、緊張緩和と紛争防止のための話し合いが続いていると強調。一方で「北東アジアには中国、日本、韓国という大国があり、事実上の核保有国である北朝鮮がある」と述べ、大規模な軍事衝突の危険性を懸念しました。
中国国防相、アメリカとの衝突は世界にとって「耐えがたい災難」
BBC 2023年6月5日
中国の李尚福国防相は4日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で演説し、アメリカとの衝突は世界にとって「耐えがたい災難」になるだろうと述べた。
李氏は3月に国防相に就任して以降初めての主要な演説に臨んだ。その中で、「一部の国」がアジアでの軍拡競争を激化させていると指摘した。
一方で、世界は中国とアメリカが一緒に成長できるだけの大きさがあるとし、2つの超大国は共通の基盤を探るべきだと述べた。
これに先立ち、アメリカは3日、アメリカとカナダの海軍の艦艇が台湾海峡を航行中、中国海軍の駆逐艦が米海軍の艦艇に接近し、「安全ではない」操縦を行ったと発表した。
中国はアメリカとカナダが「意図的にリスクを誘発している」と批判した。アメリカとカナダは国際法で認められている範囲で航行していたと主張した。
中国の李国防相は、アメリカは「冷戦的な考え方」をしており、これが「安全保障上のリスクを高めている」と非難した。
李氏は演説の中で、アメリカとその同盟国による海軍パトロールが、「航行の覇権を行使する口実」となることを、中国は認めないと述べた。
台湾海峡での出来事について問われると、緊張を高めているのは地域外の国々だとだけ答えた。
米中の「実質的なやりとり」なく
2日から3日間の日程で開かれたアジア安全保障会議に出席した、アメリカのロイド・オースティン国防長官と中国の李国防相は、2日のオープニング・ディナーで握手し、短く言葉を交わしたものの、実質的なやりとりはなかったと報じられている。
中国のロシアからの武器購入をめぐり、アメリカは2018年に李氏に制裁を科した。中国政府はこれを理由に、アメリカからの直接的な軍事協議の要請を拒否している。
中国代表団の1人はAFP通信に対し、李氏への制裁解除がアメリカとの会談の前提条件だと語った。
今回の安全保障会議で、オースティン国防長官は軍事協議を拒んだ中国を強く非難した。
ロイター通信によると、同会議に合わせて、主要国の情報機関トップが会合を開いた。
外交的対立はあるものの、米国務省のダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)は4日から中国を訪れる。10日までの日程で、ニュージーランドも訪問する。
米中関係は近年、台湾に関する中国の主張や、南シナ海の領有権など複数の問題をめぐり緊張状態にある。
NATO東京事務所に反対 仏大統領、対中国で懸念 英紙
時事通信 2023/6/6
【ワシントン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は5日、北大西洋条約機構(NATO)が検討している東京での連絡事務所開設を巡り、フランスのマクロン大統領が反対していると報じた。
東京事務所開設によりNATOと中国との関係が緊張することへの懸念があるとみられる。
開設にはNATO最高意思決定機関の北大西洋理事会で全加盟国の支持が必要だが、フランスの反対で難航する恐れがある。