2023年6月12日月曜日

改悪入管法の強行 差別・排斥の歴史終わらせる時(しんぶん赤旗)

 しんぶん赤旗が、改悪入管法が自国などの賛成多数で強行成立したことを厳しく批判する「主張」を掲げました。
 この悪法の成立に反対する運動は全国約100個所で取組まれたということです。
 「送還忌避罪を設け国外退去命令が2回出されれば強制送還出来るとしたのは、難民条約のノン・ルフールマン原則に違反します
 難民の側に立つべき難民審査関与員の1人が、1件6分程度の所要時間で延べ2千人以上を「難民不認定」扱いにした、という恐るべきデタラメ、恐るべき実態が明らかになりました。それなのに入管庁はよりによって当人のデタラメ発言を「立法事実」としていたのですから徹頭徹尾デタラメだったのでした。
 仮放免や在留資格のない子どもの意に反した送還医療を受けさせない行為は子どもの権利条約違反です。
 その他、従来からあった難民に対する入管の人権侵害は何も解決しませんでした。大阪入管で常勤医師が酩酊状態で診療していた問題発覚しました。
 入管は戦前の暗黒状態が維持されたまま現在に至っているようです。
 しんぶん赤旗は、改悪法施行は1年後なので入管行政と難民認定審査を大本から見直す運動と世論をさらに強めウィシュマさんのような犠牲者を二度と出さないよう、支援の現場と連帯し、監視を強めることが重要であると述べています。
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[主張] 改悪入管法の強行 差別・排斥の歴史終わらせる時
                       しんぶん赤旗 2023年6月11日
 岸田文雄政権が提出した改悪入管法が自民、公明、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で、参院本会議で可決・成立しました。2021年に廃案に追い込まれたものとほぼ同じ改悪法を強行したことは、外国人の人権侵害を拡大し、命を危険にさらす暴挙です。審議では立法事実を揺るがす疑惑が次々と問題になりました。反対世論は日々広がり、全国約100カ所で抗議行動が取り組まれました。外国人の命を守り、人権を保障する運動は広がり続けます

人権侵害を温存・強化
 改悪法は、従来の入管法が抱える根本的問題の解決に背を向け、入管行政の底深い人権侵害の構造を温存・強化するものです。改悪法は、難民認定申請中は送還が停止される規定に例外を設け、申請中の送還を可能にします。これは、迫害を受ける恐れがある国への追放・送還を禁じた難民条約のノン・ルフールマン原則に反する国際法違反の危険性を高めます。

 難民を保護すべき難民認定審査のずさんな実態も明らかになりました。入管庁の1次審査の不認定処分をただす役の難民審査参与員の一部は「送還ありき」で審査数をこなす“ベルトコンベヤー”に組み込まれていました。審査に弁護士の立ち会いも録音録画も認めていません。世界で当たり前の透明性・公平性からかけ離れています独立した難民等保護委員会を設置し、出入国管理と難民保護の機関を分離することが必須です。

 送還忌避罪などを設け、母国に帰れない事情を抱えた外国人の送還を容易にしました。身の安全に直結します。現状でも入管庁は、「送還忌避者」と一方的に決めつけ、「送還ノルマ」を決めて、強制送還しています。長期収容での重大な人権侵害や仮放免中の深刻な生活苦によって、帰国せざるを得ない状況に追い込んでいます。仮放免や在留資格のない子どもの意に反した送還、医療を受けさせないなどの行為は子どもの権利条約違反です。子どもと家族に今すぐ在留特別許可を出すべきです。

 新設する監理措置制度は、支援者に監視する役目を負わせるもので、外国人の保護とは相いれません司法審査もなく入管庁に広範な裁量を与えたままです。収容期間に上限のない非人間的な扱いが続く懸念は消えません。入管庁の恣意(しい)的判断を許す仕組み自体を根本から正す必要があります。

 審議中、大阪入管で常勤医師が酩酊(めいてい)し外国人を診療していた問題が発覚しました。施設の「医療体制の改善に取り組む」とした斎藤健法相の答弁に反する事態です。名古屋入管で死亡したウィシュマさんのような犠牲者を二度と出さないよう、支援の現場と連帯し、監視を強めることが重要です。

つないだ手を離さない
 入管行政の源流には、戦前の植民地支配、戦後の在日朝鮮人の排斥の過去があります。今こそ差別と排斥の歴史を終わらせ、外国人との共生の道を歩みだす時です。
 野党が国会に提出した改定案は、難民条約と国際人権基準の実現を求めてきた市民社会の到達点が結集されたものです。支援者は「つないだ手を絶対に離さない」「野党案が私たちの望む未来の姿」と語っています。改悪法施行は1年後です。入管行政と難民認定審査を大本から見直す運動と世論をさらに強めましょう