2025年3月24日月曜日

高すぎる議員報酬が間違いの元(植草一秀氏)

 この1年間でコメの価格は前年の1・9倍ほどに上がり、24年度のエンゲル係数は28・3%と43年ぶりの高水準になりました。米価高騰の直接的な原因は、仲介業者による「投機的買い占め」といわれています。
 江藤農水相は昨年夏の時点で「米価は市場の動向で決まるべきもの」として、備蓄米の放出に応じず、今年3月に入ってからようやく21万トンの放出を決めましたが、遅きに失してその効果は未知とされています。何の危機感も持たなかったのは失政で、大いに責められるべきです。
 食管会計の恒常的な赤字を解消するために「コメを自由化」する一方で、「コメの値崩れ回避」のために「減反政策」を進めてきたことが今般の米価高騰の背景にあるとされ、決して単純な問題とはいえませんが、閣僚・国会議員らが「主食の価格高騰が庶民をどんなに苦しめるのか」について、極めて鈍感であることがこの問題で改めて浮き彫りにされました。
 二世、三世たちを中心とするこうした人たちが政治家になっていることで自ずから招来された問題ともいえます。

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました(上記の問題と直接の関係はありません)。
 植草氏は、「日本で政治はビジネスだ。一部の野党を除いて)『金儲けのために政治をやっている」として、以下の3つの問題点
 1.議員の処遇が高すぎること。
 2.企業献金を認めてしまっていること。
 3.財政支出が利権補助金まみれであること。
を挙げ、「これらの制度を根本から刷新する必要がある」と述べています。
 1では、国会議員になると一般人換算で年収5487万円相当が支払われると述べ、その算出根拠を明らかにしています。そしてどう考えても高すぎるので、5分の1に縮小すべきではないかと述べています。
 2では、企業献金を廃止する見返りとして政党交付金制が創設されたにもかかわらず、企業献金を認めているのは法の趣旨に違反するものとしています。。
 3では、政治稼業が利権ビジネスになっている最大の要因は日本財政が補助金漬けになっているためで、利権補助金は「補正予算」という、国民には分かりにくい形で与党議員と官僚が結託して「巨額の金額」が利権支出としてバラまかれていると述べています。
 この詳細は植草氏が適時ブログで紹介している通りで、20年度から23年度の4年間に補正予算に計上された財政支出追加額は154兆円=年額39兆円、そのほとんどが政府と官僚がつるんで行う利権支出であると指摘しています
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高すぎる議員報酬が間違いの元
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年3月21日
自民党の金券腐敗政治の闇が深い。
金券=商品券を配っていたのは石破茂首相だけでない。
石破首相でさえこれまでに10回程度の金券配布を認めている。
歴代の首相は「法令に基づき適切に対応してきた」とするだけで、金券配布を否定しない。
〈金券配布政治〉という〈金権腐敗政治〉。裏金も金券も日常茶飯事だったことが分かる。

日本で政治はビジネスだ。「金儲け」のために政治をやっている。
一部の野党は金儲けのために政治をやっていない。
しかし、与党のみならず、野党の一部でも「金儲け」のビジネスとして政治をやっている者が多い。このような政治を一掃する必要がある

大きな問題が三つある。
 第一は議員の処遇が高すぎること。
 第二は企業献金を認めてしまっていること。
 第三は財政支出が利権補助金まみれであること。
財政のしくみと政治のしくみが薄汚れた金まみれなのだ。
これらの制度を根本から刷新する必要がある。

まずは議員報酬が高すぎる。本来、議員は国民に奉仕する仕事。金儲けの仕事でない。
薄給とまでは言わずとも中所得の報酬でよいはずだ。
国税庁が公表している民間給与実態調査は所得階級別の給与所得者数を公表している。
2023年の調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者5076万人のうち、年収400万円以下が51%、年収200万円以下が20%。
給与所得者の半分以上が年収400万円以下である。所得中央値は400万円程度になる

これに対して国会議員の歳費は月額129万4000円。年額1552万8000円。
これに期末手当(ボーナス)が年額635万円加算され、両者合計は年額で2187万8000円になる。
これ以外に、調査研究広報滞在費(従来の文書通信交通滞在費)が月額100万円で年額は1200万円。さらに立法事務費が月額65万円、年額780万円支払われる。
両者の合計は1980万円になるが、「手取り」として1980万円を得るには課税前の収入では3300万円必要(限界税率40%で計算)。歳費との合計は5487万8000円ということになる。

国会議員になると年収が5487万円も支払われるということ。
さらにJR特殊乗車券・国内定期航空券の交付や、3人分の公設秘書給与や委員会で必要な旅費、経費、手当、弔慰金などが支払われる。
これに加えて政党交付金の一部が各議員に支給される。
給与所得者の平均(中央値)が年収400万円であるのに対して、国会議員になると、なっただけで年収5488万円になる。どう考えても高すぎる。5分の1に縮小すべきではないか。

政党交付金制度は企業献金を廃止する見返りとして創設されたもの。
巨額の政党交付金が給付されるようになったにもかかわらず、企業献金が禁止されていない。
与党政治屋は企業献金をもらうために政治活動をしていると言っても過言でない。
政治資金パーティーで多額のお金を集めるが、資金の出し手は何らかの利益供与を受ける企業が中心になる。

政治稼業が利権ビジネスになっている最大の要因は日本財政が補助金漬けになっているからだ。
利権補助金の巣窟が補正予算。恐るべき金額が利権支出としてバラまかれている。
この構造を変えなければ日本政治の腐敗を止めることはできない。
日本政治の根底からの刷新が求められている。

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