2025年3月6日木曜日

江藤農水相が石破政権の最初の更迭大臣に? 食糧法めぐり “逆ギレ誤答弁” 連発

 江藤農水相は米価が急騰した昨年の夏、「米の価格は受給のバランスで決まるべきもので、政治が介入すべきではない」という趣旨を強調し備蓄米の放出を否定しました。まさに新自由主義の権化とでもいうべきです。
 そもそも「米の自由化」は、「市場が開放され、国内外の競争を展開することで、品質は向上し、価格はより手ごろになる」といううたい文句の下に導入されたもので、「一部仲介業者の恣意的な価格のつり上げも防止すべきでない」などというのであれば、論外もいいところです。
 もしも米価が1・8倍にも上がれば庶民が塗炭の苦しみを味わうという事実を認識できないのであれば、早々に政治家を辞めるべきでしょう。ましてや農水相などに居座るべきではありません。
 ようやく今月下旬に備蓄米が放出されますが、その効果は未知数ということです。
 日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。

 たださえ食料品全体の価格が高騰したことで、エンゲル係数はこの半世紀来 最高を示しています。そんな中で米の価格上昇が突出している訳です。この事態をどう認識しているのでしょうか。
 政治は結果責任です。石破内閣はどう責任を取るのでしょうか。
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江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発
                          日刊ゲンダイ 2025/03/05
 果たして「令和の米騒動」は沈静化するのか。
 農林水産省は3日、政府備蓄米の放出に向けた入札を10~12日に実施すると発表した。コメの流通円滑化のために備蓄米を放出するのは初めてで、予定では3月半ばごろには放出が実施されるという。
 依然として「高止まり状態」が続くコメの価格。後手後手対応の農水省は一体何をしているのか—などと国民からの不満が拡大する中、司令塔である江藤拓農林水産相(64)から仰天発言が飛び出し、《大臣辞職モノの失言》《クビだ!》などと怒りの声がSNS上で広がっている。
 耳を疑うような発言があったのは2月28日の衆院予算委員会第6分科会。日本維新の会の徳安淳子議員(63)が政府備蓄米の放出について質問。今もコメの店頭価格が高騰し、「国民は買いたくても買えない」とただした。
 すると答弁に立った江藤大臣は「法律に基づいて備蓄米は運用しなければならない」「法律をしっかり守らなければならない」と言い、続けて「価格の安定なんて書いてありません、食糧法には。書いてありません。書いてありません。書いてありません」と逆ギレ気味で語気を強めたのだった。
 しかし、野党の委員から「書いてあるよ」とやじが飛んだ上、江藤大臣の後方にいた官僚も慌てて声を掛けて「書いてある」という素振りを見せると、江藤大臣は「はいはい。分かりました」と説明を続けた。
 
■所管の大臣がイロハの法律を知らなかった
 ちなみに江藤大臣は1月31日の会見で、記者から備蓄米放出に関する質問に対し、こう答えていた。
「農水省は国民の皆様方に安定的に食料を供給する義務もありますので、国会議員になって、もちろん目は通していましたが、これほど食糧法を隅々まで読んだことはありません」
 その「食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)」の「目的・第1条」にはこうある。
米穀の生産者から消費者までの適正かつ円滑な流通を確保するための措置並びに政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置を総合的に講ずることにより、主要食糧の需給及び価格の安定を図り、もって国民生活と国民経済の安定に資することを目的とする」
 さらに「第2章」でも「米穀の需給及び価格の安定を図るための措置」とあるから、江大臣はどの法律の条文を「隅々まで読んだ」のだろうか。

 《所管の大臣がイロハの法律を知らなかった》《石破政権で最初の更迭大臣か》……。ネット上に批判の投稿が溢れているのも無理はない。
 
 
政府備蓄米放出でもコメ高騰が止まらない! 消費者の「コシヒカリ」信仰も一因か
                          日刊ゲンダイ 2025/03/04
 備蓄 米放出の「口先介入」は不発。 コメの値上がりが止まらない。総務省が2月28日発表した小売物価統計(東京都区部)によると、コシヒカリ(5キロ)の価格は4363円。前月よりも178円高く、前年同月の2441円から1922円も高騰し、実に1.8倍に跳ね上がっている。
 調査は2月12~14日の小売店価格を基に実施。農水省が備蓄米21万トンの市場放出を表明した7日から数日後にあたる。しかし期待に反し、逆に価格は上昇の一途。家計の圧迫感は増すばかりだ。
 放出される備蓄米は、3月末からスーパーなどの店頭に並び始める見込み。実際に備蓄米が流通すれば、コメの価格上昇は落ち着くのか。懸念材料がいくつもある。
 放出するのは2024年産米が中心。政府の備蓄米買い入れの落札結果を見ると、産地別の数量は①福島(2万6313トン)②新潟(2万4499トン)③青森(2万4416トン)④山形(2万195トン)⑤秋田(1万4512トン)ーと上位5県だけで全体(17万2016トン)の6割強を占める。
 コメの収穫量ランキング(23年産)は上から新潟、北海道、秋田、山形、宮城の順。「ななつぼし」が人気の北海道や「ひとめぼれ」で知られる宮城の備蓄米は、それぞれ9位(4686トン)、6位(1万1276トン)にとどまる。

圧倒的人気の「 コシヒカリ」が少ない!
 消費者目線で気になるのは備蓄された コメのブランド(品種)だが、農水省は「把握はしているが、公表していない。放出の入札時まで公開できない」(農産局貿易業務課)と答えた。
 そこで落札数量の上位5県の作付け品種(23年産)を調べると、米どころの新潟は「コシヒカリ」の割合が70.7%。トップの福島もコシヒカリ(51.7%)が多いものの、「天のつぶ」(23.3%)と「ひとめぼれ」(18.1%)が計4割強に上る。3位青森は「まっしぐら」(79.8%)が、4位山形は「はえぬき」(61.6%)と「つや姫」(16.9%)が圧倒し、5位秋田はやはり「あきたこまち」(77.5%)が断トツだ。3位以下の県は、どこもコシヒカリの名がトップ3に出てこない。
 全国の作付けシェアはコシヒカリが33.1%と2位のひとめぼれ(8.3%)を大きく引き離している。だが、備蓄米に限れば「信仰」と呼ばれるほど、ズバぬけた人気を誇るコシヒカリの量が決して多くはないのだ。
 
■価格が下がるのは、なじみの薄い品種のみ
 問題は、備蓄米を売り渡す入札方法だ。農水省は「○○県産の××品種と産地・品種ワンセットで入札にかける」(農産局貿易業務課)という。
「『新潟県産コシヒカリ』のような店頭で人気のコメに集中し、結局は高値で落札されれば価格の下落効果は薄れる。結局、値が下がるのは、消費者にとってなじみのない品種だけ。その多くは外食・中食に回り、店頭に並ぶ人気の コメの値段はそれほど下がらないのではないか」(小売業界関係者)
 消費者が コシヒカリ信仰から抜け出せば、知名度は劣っても安くておいしいコメを食べられるチャンスとは言える。
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 政府備蓄米の放出は、コメ価格の高騰に政府がようやく重い腰を上げたようにみえるが、視線の先に消費者はいない。備蓄米放出の狙いはズバリ、夏の参院選対策だ