2025年3月31日月曜日

イスラエルに国民の年金が流れていく 厚労省「投資」引き揚げ“断固拒否”~

 日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。
 年金運用基金GPIFは昨年末時点で、約2270億円のイスラエル国債を保有し、同国最大手軍需企業「エルビット・システムズ」の株式も約46億円所有しています。同紙は、年金積立金がガザでのジェノサイドを行っているイスラエルに投入されるのは、人道上の重大問題であると指摘します。
「イスラエルからの投資撤退を求める市民の会」が24日、参院内で開いた集会には約200人の市民と野党の国会議員らが参加し、厚労省の年金局資金運用課に投資撤退を求める署名2万3167筆を手渡しました。
 ノルウェー年金基金24年6月米キャタピラー社のブルドーザーなどイスラエル軍によってガザへ侵攻作戦で使用されていることを理由に、キャタピラー社への約110億円の投資を引き上げると発表しましたし、マレーシアでは昨年来、米国のイスラエルへ支援に反発して市民らが米製商品の不買運動を継続しています。
 米国の学生たちも、大学や企業に対し「イスラエルへの協力」の中止を要求しています。
 しかし日本の政府は相変わらす米国べったりの姿勢を貫いています。

 併せてしんぶん赤旗の下記の記事を紹介します。
年金運用 イスラエル軍需に出資 大門議員「政治判断で引き揚げを」
・年金積立金 イスラエルに投資 政府は虐殺許さぬ姿勢を 参院予算委 大門氏迫る
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イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解
                          日刊ゲンダイ 2025/03/27
 会社員が加入する厚生年金を活用して基礎年金を底上げする「年金改革法案」の提出を巡り、政府・与党内でスッタモンダしているが、年金積立金の運用が人道上の重大問題をはらんでいることをご存じか。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでのジェノサイドに加担している可能性があるのだ。

 イスラエルは今月18日、1月に発効した停戦合意を破ってガザへの大規模な軍事作戦を再開。ガザ保健当局によると攻撃再開から23日までに計673人が犠牲になったという。イスラエルが軍事作戦を開始した2023年10月以降、ガザでの死者は5万人を超えた。
 25日の参院特別委員会で、岩屋外相は攻撃再開について「非常に遺憾」と表明しただけ。問題は、民族浄化に等しい攻撃を非難すらしない日本政府の姿勢だけではない。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による投資を通じ、年金が国際法違反を指摘されているイスラエルに流れているのだ。
 GPIFは昨年末時点で、約2270億円ものイスラエル国債を保有。同国の最大手軍需企業「エルビット・システムズ」の株式も持っており、その額は約46億円に上る
 虐殺行為を行う国や企業への投資を止めない政府の不作為に「ノー」と突き付けてきたのが、「イスラエルからの投資撤退を求める市民の会」だ。24日に参院内で開いた集会には、約200人の市民と野党の国会議員らが参加GPIFの監督官庁である厚労省の年金局資金運用課に、投資撤退を求める署名2万3167筆を手渡した
 しかし、厚労省は塩対応。GPIFが環境や社会に配慮した事業を行う企業に積極的に投資する「ESG投資」を掲げていることとの整合性を問われても、運用において被保険者の利益を最優先する「他事考慮の禁止」を盾に、「外交や安全保障等の理由により特定の国や企業を投資対象から除外することは、ESG投資の文脈からは認められない」(資金運用課課長補佐)と譲らなかった。
 
GPIFに判断丸投げ
 パレスチナ侵攻については「ESGの文脈から見ても適切なものではない」(課長補佐)と断言したが、「それをもって投資撤退まで行うかどうかは、GPIFの判断かと思います」(同)と丸投げ。これが監督官庁とは呆れてしまう。
 ノルウェーの政府年金基金はイスラエル通信企業から投資を引き揚げた。日本政府も見習ったらどうか
 
 
年金 イスラエル軍需に出資 大門議員「政治判断で引き揚げを」参院予算委
                       しんぶん赤旗 2025年3月29日
 日本共産党の大門実紀史議員は28日の参院予算委員会で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、公的年金の積立金をパレスチナ自治区ガザで虐殺を行うイスラエルなどの軍事企業に出資している実態を告発し、政府の決断で投資を引き揚げるよう求めました。(関連下掲
 イスラエルは18日、停戦合意を破りガザ全域への空爆を再開。26日までに殺害された830人のうち4割が子どもとされています。
 大門氏は、イスラエル軍に兵器を供給してもうけているイスラエルのエルビット・システムズ社や米国のキャタピラー社などに年金積立金を出資しており、24日には「私たちの年金をガザへの虐殺に使うな」と国会内で市民集会が開催されたことも突きつけ、「(出資を)引き揚げられないのか」とただしました。

 福岡資磨厚労相は、GPIFが委託した会社が投資先を決める仕組みだとして「被保険者の利益のためという(積立金運用の)目的と離れた投資の判断をさせることは適切ではない」などと述べました。
 大門氏は、米国が軍事企業と認定し、取引を制限した中国の企業への投資からはGPIFが出資を引き揚げた実績に言及。政府が人道的問題があると判断し、虐殺に加担する企業との取引をしないと決定すれば出資の引き揚げも可能になるとして、「大事なのは政府の姿勢だ」と迫りました。
 さらに、かつて年金積立金からロシアに2300億円出資していたが、ウクライナ侵略発生で資産価値がゼロになったと指摘。現在、年金積立金から大量虐殺を行うイスラエルの国債に約2270億円も出資しており、今後資産価値がゼロになる可能性をもあると強調し「GPIFはリスクの観点から引き揚げの決断も可能だ」とただしました。石破首相は「リスクが小さくなるように適切にウオッチしていかねばならない」などと述べながら、引き揚げの決断への言及を避け、事実上拒否しました。
 
 
年金積立金 イスラエルに投資 政府は虐殺許さぬ姿勢を 参院予算委 大門氏迫る
                       しんぶん赤旗 2025年3月29日
 日本共産党の大門実紀史議員は28日の参院予算委員会で、日米の軍事企業だけがもうけ、国民の暮らしも経済も破壊される事態を招く際限なき軍事費拡大を追及し、パレスチナ・ガザ地区で虐殺を行うイスラエルや同国軍事企業に、日本の公的年金の積立金が投資されている実態を告発し、虐殺を許さない姿勢で投資をやめるよう迫りました
 大門氏は、5年間で43兆円の軍事費は歳出ベースの金額で、契約ベースでは、この3年間ですでに35兆円になり、このペースだと5年間で50兆円以上にもなると指摘。米トランプ政権の「国内総生産(GDP)比3%以上」との要求通りにすれば軍事費は年間18兆円にもなり、暮らしの予算は削られ、社会保障の負担増と給付削減、増税などで国民の可処分所得は減少し、家計消費が抑え込まれ「日本経済は停滞する」と追及しました。
 
経済の足かせに
 「指摘は当たらない」と強弁した赤沢亮正経済再生担当相に対し大門氏は、GDP比で軍事費が決まるなら、仮に経済が回復して税収が上がったとしても軍事費に取られてしまい、経済の足かせになると反論。物価高などで国民の暮らしが脅かされる一方、米国の武器輸出制度「有償軍事援助(FMS)」が23年度に前年度比1兆円以上増と急増したあと高止まりし、国内軍事企業が政府からの中央調達(武器や燃料の購入)額を増やしていると述べ、大軍拡中止を迫りました。
 
 イスラエルが停戦を破って大規模な攻撃を再開したガザ地区では、延べ5万人超(子どもは1万5613人)が犠牲になる虐殺が行われていると指摘。イスラエル国債や同国軍事企業に、国民が納めた年金保険料を金融市場で運用する公的機関GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が投資していると告発しました。

 「私たちの年金をガザの虐殺に使うな」と市民らが24日に国会内で集会を開き、イスラエル最大手軍需企業のエルビット・システムズ社と同国に装甲ブルドーザーを納入する米国のキャタピラー社や、イスラエル国債への出資の引き揚げを要求したことを紹介しました。
 GPIFでは運用を委託した会社が出資先を決めています。
 
引き揚げできる
 大門氏は、GPIFが、米国が取引を制限した中国の「軍事企業」への出資を全部引き揚げた実例を示し、引き揚げができたのは、米国が取引を制限した企業を金融商品に組み込めば、その商品が売れなくなることを委託会社が避けたからだと指摘。「大事なのは政府の姿勢だ。日本政府が虐殺を許さない、加担企業とは取引しないと言明すればGPIFは資金を引き揚げることができる」と迫りました
 石破茂首相は「イスラエルがやっていることを黙認していない」と答弁しましたが、取引しないとは明言しませんでした。

 大門氏は、かつてGPIFがロシアの株式、社債・国債に計2300億円出資したものの、ロシアのウクライナ侵略による経済制裁・凍結で資産価値がなくなり、国民の年金積立金が失われたと告発。虐殺を行っているイスラエル国債へのGPIFの投資額計2270億円も経済制裁などでゼロになる危険があり、「リスクの観点からも引き揚げる決断を」と迫りました。