2025年10月18日土曜日

18- 衆院:比例代表廃止案が浮上(しんぶん赤旗)

 衆院選挙では小選挙区制と比例代表制による選挙が同時に行われる「小選挙区比例代表並立制」が採用されています。
 昨年10月に行われた衆院選挙では、小選挙区289 候補者の得票のうち議席に結びつかなかった「死票」の数は全国で約2,828万票にのぼり小選挙区得票の52%を占めました。
 得票数に応じて定数内で政党候補者の当選人数が決まる比例代表制と異なり小選挙区制はこのように「多様な民意を切り捨てる弊害を伴っています。
 現行制度では、議員数で176人(38%)を比例区から選出する「小選挙区比例代表並立制」を採用することで この弊害を緩和する措置が採られています。
 維新は、自民との連立を指向する協議のなかで その条件として「議員数の削減」を上げた上で、「小選挙区比例代表並立制」のうち「比例代表」の部分を削減するのがいいのではないかと述べました。
 議員数の削減自体、「国民の民意を切り捨てる」ことなので簡単に2党間で決められる問題ではありません。ましてや小選挙区制という筋の悪い制度を辛うじて緩和してきた「比例代表」の部分を削減することを自民との2党間で取り決めるのは理解の埒外です。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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「比例代表削減」浮上 自維連立協議 立維国は打ち切り
                       しんぶん赤旗 2025年10月18日
 自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の藤田文武共同代表は17日、国会内で、連立政権を巡る2回目の政策協議を行いました。維新が連立入りの条件として要求している国会議員定数の1割削減に関して、民意を最も反映する比例代表の削減が浮上する重大事態となりました。
 協議に先立ち、維新の吉村洋文代表は同日の民放番組で、削減規模について「基本衆議院。1割、50人ぐらい削減したい。比例でもいい」「僕は(削減するのは)ここ(比例代表)じゃないかと思う」などと述べました。協議終了後の記者会見で藤田氏は、「私も同じ思いだ。そのつもりで最終調整したい」と強調。記者から、比例代表の削減かと問われ、「そのあたりの最終調整は継続していく」としました。
 自民の小林鷹之政調会長は会見で、議員定数削減について「国会のあり方を決めるにあたって特定の政党だけで決めるということは、これまでもなかったと認識している。幅広い合意形成を目指していく考え方に変わりはない」と語りました。議員定数の削減を巡っては、自民党の逢沢一郎衆院議員がXで、現在与野党で衆院選挙制度に関する協議で議員定数を議論している最中であり、「定数削減は論外だ」と批判。各党からも批判が相次いでいます。
 政策協議後、両党は「大きく前進した」との認識を示し、維新の藤田氏は「最終の調整詰めを行っていく形で前進した」と強調。その上で、立憲民主党と国民民主党との間で行っていた首相指名選挙を巡る連携協議を打ち切ったと明らかにしました。


議員定数削減 断じて許さない 維新の主張 田村委員長が批判 連立入りへ悪質な議論
                       しんぶん赤旗 2025年10月18日
 日本共産党の田村智子委員長は17日、国会内で記者会見し、日本維新の会の吉村洋文代表が、自民党との連立政権に向けた政策協議で国会議員定数削減は連立の絶対条件だと主張していることを「断じて許すわけにはいかない」と厳しく批判しました。
 維新の吉村代表は、定数削減を連立の絶対条件とし臨時国会での実現を要求しています。田村氏は、「定数削減は議会制民主主義の根幹に関わる問題であり、国民の民意を切り捨てるということにほかならない」と断じました。
 田村氏は、維新がとくに比例代表の定数削減を主張しているが、比例代表は多様な民意を反映するもので、それを削ることは、今日の多様化している状況にも逆行するものだと指摘。選挙制度のあり方は民主主義の土台であり、すべての政党で協議すべきものだとして、「そうしたことを踏みにじって定数削減を臨時国会で数の多数で押し通すことは議会制民主主義のイロハをわきまえない暴論だ」と強く批判しました。
 維新の主張は、企業・団体献金、裏金問題を不問にして議員定数の問題にすり替えるもので、カネまみれの自民党と一緒になるための悪質な議論だと指摘しました。
 同日の共産党と社民党との懇談でも議員定数削減に喫緊の課題として立ち向かうことを確認したと説明。16日の懇談で反動ブロックの危険と立ち向かうことをお互いに確認した参院会派「沖縄の風」とも力を合わせ、「大きな共闘を国会で広げ、国民のなかにも選挙制度のあり方について、大いに議論を広げていきたい」と述べました。


定数削減 維新、最悪の党利党略 企業団体献金禁止棚上げ 連立入りへ問題すり替え
                       しんぶん赤旗 2025年10月18日
 日本維新の会が自民党との連立を視野に入れた政策協議の中で、「政治改革」の課題として「国会議員の1割を目標に削減」すると打ち出し、吉村洋文代表は「(議員定数の)大幅削減が受け入れられなければ連立を組むことはできない」などと言い出しています。最悪の党利党略です
 7月の参院選で自公両党が過半数割れに追い込まれた最大の争点の一つが、裏金事件の解明と「企業・団体献金の禁止」でした。自民党は一貫してこれらに背を向けてきましたが、維新は「企業・団体献金の禁止」を言ってきました。いま維新が自民党との「連立」協議を進めるにあたり「企業・団体献金の禁止」を掲げてはいます。そうであるなら、疑惑解明と企業・団体献金禁止での一致は不可欠のはずです。維新の藤田文武共同代表は野党間の連携協議では「基本政策の一致が不可欠」だとさんざん繰り返してきました。
 ところが自民党との連立協議となると、自民が「企業・団体献金の禁止」を受け入れる可能性は現状では全くありません。にもかかわらず、連立協議を進めるために、論点を「企業・団体献金の禁止」から「議員定数の削減」にずらして棚上げし、自民党の責任逃れに手を貸そうとしているのです。しかも21日召集の臨時国会で定数削減を実現するとまで言い出しています。

 いま衆院では各会派の代表で構成する「衆議院選挙制度に関する協議会」で、「議員定数や地域の実情を反映した選挙区割りの在り方等」について協議を続けています。同協議会の逢沢一郎座長(自民党選挙制度調査会長)は16日夜、自身のXで「いま与野党で議員定数を含めて、あるべき選挙制度を議論中の状況で、自民・維新でいきなり定数削減は論外だ」と批判しました。選挙制度は、民主政治の基本的土台であり、少数会派を含め全ての党派が議論に参加し論点を詰めるべきものです。自民と維新の党略的な合意を一方的に優先させることなど絶対に許されません
 そもそも「議員定数削減」には議会制民主主義にとって重大な問題が含まれます。

 国会議員は、憲法でも「全国民を代表する」(43条)と定められるとおり、その地位は、民意を国政に反映するという国民主権に直結する重要な役割を負っています。議員定数の削減は「民意の切り捨て」につながる民主主義の重大問題なのです。
 「身を切る改革」などと喧伝(けんでん)し、定数削減で個々の議員が不利益を甘受するかのような議論は、議員の地位を個人の所有物のように扱い、問題の本質を完全にすり替えるものです。自民党の逢沢氏もXで「身を切る改革イコール、議員定数削減ではない。現行制度で定数削減となると、大阪、東京ではなく(人口の少ない)地方の定数がさらに少なくなる」と指摘しています。

 議員定数を1割削っても国家財政に与える影響は微少なうえ、「国民が苦しんでいるから政治家も苦しむべきだ」という議論は、国会議員が負っている責務に照らせば意味を持たないものです。もし維新や自民が本当に「身を切る」というなら、赤ちゃんも含め国民1人あたり250円ずつ徴収し、思想信条の自由を侵害している憲法違反の政党助成金こそ廃止すべきです。ところが、両党は決してそこには踏み込みません。

 しかも吉村氏は、比例代表には復活当選の仕組みがあることを理由に、定数削減するなら「ここ(比例代表)じゃないか」(17日のフジテレビ番組)などと述べています。小選挙区制と比例代表制が並立する現在の衆院の選挙制度は、小選挙区が「民意を集約」し、比例代表区が「民意を反映」するというもの比例定数の削減は、まさに民意を切り捨てるもので、大政党を一層有利にし、少数政党を議会から締め出すもの。多様な民意の反映をさらに困難にします。「議員定数削減で連立合意」という維新と自民の動きに厳しい批判が必要です。(中祖寅一)


反動的動きに抗する共同を 田村委員長、社民・福島党首と会談
                       しんぶん赤旗 2025年10月18日
議員定数削減反対でも一致
 日本共産党の田村智子委員長は17日、国会内で、社民党の福島瑞穂党首と会談し、大軍拡や改憲など反動的な動きに立ち向かい、憲法や暮らし、平和を守る共同をつくるために力を合わせていくことを確認しました。また、喫緊の課題として自民党と日本維新の会の連立協議で維新が主張する議員定数削減や「スパイ防止法」制定に反対してたたかっていくことでも一致しました。日本共産党の小池晃書記局長と山添拓政策委員長、社民党の服部良一幹事長とラサール石井副党首が同席しました。
 田村氏は会談で、自民党とその補完勢力や極右・排外主義の勢力による危険な「反動ブロック」形成が進行しているとし、「反動的な危険な動きに対し、国会の中でも外でもしっかりとした共同をつくり発展させることがいよいよ求められている」と呼びかけました。
 福島氏は、維新が自民に突きつけた12項目の政策要望の危険性を指摘し、「平和や民主主義、人権を大事にする勢力が本当に力をあわせ、本気で政治を変えていかなくてはいけない。ファシズム政権がばっこしないよう、がんばり合いたい」と応じました。