2025年10月16日木曜日

ガザ和平めざし 首脳会議開催 4カ国が文書に署名 ほか

 エジプト東部のシャルムエルシェイクで13日、ガザ地区でイスラエルとハマスの戦闘終結と持続的な和平を保証することを目的とした首脳会議が開催され、米・英・仏・独・伊などの欧州諸国や中東諸国をはじめ27力国の首脳および政府代表、国連のグテレス事務総長、パレスチナ自治政府のアッバス議長が出席しました。日本から岩井駐エジプト大使が参加しました。
 和平国際会議には当初イスラエルのネタニヤフも出席の予定でしたが、トルコやアラブ諸国が猛反対していたことから、最終的に出席を辞退しました。
 停戦合意の発効を受けてフレッチャー国連事務次長はパレスチナ・ガザ地区の全域で人道支援活動を強化するために、国連中央緊急対応基金(CERF)から日本円換算で約17億円を拠出すると発表しました。

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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ガザ和平めざし 首脳会議開催 4国が文書に署名
                      しんぶん赤旗 2025年10月15日
【シャルムエルシェイク(エジプト)=米沢博史】エジプト東部のシャルムエルシェイクで13日、パレスチナ・ガザ地区でイスラエルとハマスの戦闘終結と持続的な和平を保証することを目的とした首脳会議が開催されました。会議には、米・英・仏・独・伊などの欧州諸国や中東諸国をはじめ27力国の首脳および政府代表、国連のグテレス事務総長、パレスチナ自治政府のアッバス議長が出席しました。日本から岩井文男駐エジプト大使が参加しました。
 当事者であるイスラエルとハマスは出席しませんでした。
 会議では、停戦の仲介に関わった米国、エジプト、カタール、トルコの4力国が、停戦を保証する文書に署名しました。
 トランプ米大統領は会議での演説で、「人質解放は素晴らしい成果だ。イスラエルの人々は歓喜に包まれている」と述べたうえで、「この地域で持続的な和平を実現する勢いが生まれている」と強調しました。また、「アブラハム合意」(イスラエルとアラブ諸国との国父正常化合意)への参加を各国に呼びかけました。
 エジプトのシシ大統領は、「パレスチナ人とイスラエル人が対立を終わらせ、安全に暮らす唯一の道は(パレスチナ国家樹立による)『2国家解決』に基づく平和共存の実現だ」と述べ、[ガザ戦争を中東の最後の戦争にしよう」と呼びかけました。さらに、「テロと過激主義、大量破壊兵器の脅威のない新しい中東をともに目指す」と述べ、「本日の合意がその道を切り開く」と会議の意義を強調しました。
 なお、トランプ大統領のイスラエルからの到着が大幅に遅れ、会議の開会は数時間遅れました。会議は共同議長を務めたトランプ大統領とシシ大統領の演説、さらにパキスタン首相によるトランプ大統領を称賛する演説の3本で締めくくられ、記者会見は行われませんでした。


トルコなど反発 イスラエル欠席 ガザ和平会議
                      しんぶん赤旗 2025年10月15日
【イスタンブール=時事】エジプトで13日開かれたパレスチナ自治区ガザの和平国際会議で、イスラエルのネタニヤフ首相の出席にトルコやアラブ諸国が猛反対していたことが各メディアの報道で明らかになりました。エジプト大統領府は13日、ネタニヤフ氏が出席すると発表したものの、イスラエル首相府がその直後に欠席を公表していました。
 トルコのメディアによれば、ネタニヤフ氏との関係が冷え込むエルドアン大統領はエジプトヘ向かう途中の機内でネタニヤフ氏の出席を知り、トルコヘ引き返すと激怒。飛行機は紅海上空をしばらく旋回し、欠席が決まるとようやく着陸したといいます。AFP通信によると、イラクや他の国からも、ネタニヤフ氏が来れば会議をボイコットする方針がエジプト側へ示されたといいます。
 ネタニヤフ氏は、イスラエルを訪問したトランプ米大統領の要請を受け、エジプトのシシ大統領を交えた3者で電話会談。トランプ氏からの招待という形でいったんは出席を決めたとみられますが、「ユダヤ教の祝日開始前で時間的な制約がある」(首相府)との理由で招待辞退を発表しました。


国連ガザ支援 17億円を拠出
                      しんぶん赤旗 2025年10月15日
 イスラエルとハマスの停戦合意の発効を受けて、フレッチャー国連事務次長(人道問題担当)は13日、パレスチナ・ガザ地区の全域で人道支援活動を強化するために、国連中央緊急対応基金(CERF)から1100万ドル/(約16億7000万円)を拠出すると発表しました。
 国連によると、ガザ地区を封鎖してきたイスラエルは、国連のチームに対し19万トンの人道支援搬入を許可しました。これにより12日、今年3月以降で初めて調理用のガスが運び込まれました。テントや医療用品も毎日入り始めています。
 ただ冬の到来を前に、ガザ住民の圧倒的な需要にこたえるためには人道支援にあてる資金を大幅に増やすことが欠かせません
 フレッチャー氏は13日、エジプトで開かれたガザを巡る国際会議の前に、多くの人々にとって「不安定な希望の瞬間」が訪れていると指摘。「好機である一方、確固とした忍耐、創造力、持続的な寛大さが求められる時でもある」と述べ、国際社会にCERFへのいっそうの拠出を呼び掛けました。


米大統領兵器支援を誇示 イスラエル国会で演説
                      しんぶん赤旗 2025年10月15日
【シャルムエルシェイク(エジプト)=米沢博史トランプ米大統領13日、訪問先のイスラエル国会(クネセト)で演説し、ガザ地区を攻撃してきたイスラエル軍へ米国が兵器を支援してきたことを誇示しました。
 トランプ氏は、ネタニヤフ首相から繰り返し兵器支援の要請があったことを明かし、「聞いたこともないような兵器を含め、求められたものはすべて提供したと笑いながら語りました。
さらに、「イスラエルは米国の最良兵器を見事に使いこなした」と称賛しました。
 トランプ氏は他方で、ガザ地区での停戦合意と人質の帰還について「これは戦争の終結だけでなく、テロと死の時代の終結だ」と述べ、「新しい中東の歴史的な夜明けを迎えた」と強調しました。
 また、イスラエルのヘルツオグ大統領に対し、汚職問題で起訴されているネタニヤフ首相への恩赦を求めました
 トランプ氏は、イスラエルと米国が協力して「テロ支援国家ナンバー1のイラン」の核兵器保有を阻止したと主張し、イラン核施設への国際法違反の空爆を正当化しました。
 演説の途中、左派連合「平和と平等の民主戦線(ハダシュ)」の議員2人が、「パレスチナ国家を承認せよ」と書かれたプラカードを掲げたため、議場から退場処分を受けました。
 2人はアイマン・オデー議員とオフェル・カシフ議員。退場後、オデー議員は「私は国際社会が一致して求める最も基本的な要求を掲げただけだ」と述べ、「イスラエルによるパレスチナ占領を終わらせ、双方の権利を尊重する平和解決を目指すべきだ」と訴えました。
 カシフ議員は「ジェノサイド(集団殺害)の終焉(しゅうえん)と人質の返還は前進だが、トランプ大統領は最初からその共犯者だった」と指摘。「私たちは妨害するためではなく、正義を求めるために声を上げた」と述べました。
 トランプ氏は演説に先立ち、ハマスに拘束された人質の家族と面会しました。


人質遺体引き渡し4人のみ ハマスにイスラエル警告
                       しんぶん赤旗 2025年10月15日
【エルサレム=時事】パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの和平案「第1段階」の合意の一環として、ハマスは13日夕、人質4人の遺体をイスラエル側に引き渡しました。本来は28人の遺体を解放することになっていました。
 イスラエルのカッツ国防相は、ハマスの遺体引き渡しに先立ち、X(旧ツイッター)への投稿で、解放の遅れは「合意違反と見なす」と強調。相応の対応を取ると警告していました。
 合意内容に従えば、13日までにハマスは人質全員の解放を約束していました。ハマスは生存する人質に関しては同日朝に20人全員を引き渡していました。
 ハマスは遺体の所在特定に難航しているとされます。また、一部の遺体はガザ内のイスラエル軍支配地域に埋葬されているとの見方もあります。
 一方、報道によると、イスラエルは合意に沿って、収監するパレスチナ人1968人を釈放しました。このうち終身刑を受けたパレスチナ入は250人。ハマスはパレスチナの有力政治指導者を含むよう要求していましたが、イスラエルは受け入れませんでした。718人は2年前のイスラエルとハマスの戦闘開始後にガザで拘束された人々で、女性や子どもも含まれます。


世界でガザ連帯 イスラエルの責任糾弾 停戦の確実実行要求
                      しんぶん赤旗 2025年10月13日
 パレスチナ・ガザ地区を巡りイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意が発効するなか、世界各地で11~12日、市民が一斉にパレスチナの人々に連帯する行動に取り組みました。参加した人々は、ガザ住民のジェノサイド(集団殺害)を行ってきたイスラエルの責任を糾弾。イスラエル軍の作戦停止と停戦合意の確実な実行などを訴えました

 オーストラリアでは12日、最大都市シドニーと西部パースで市民がデモ行進しました・。現地からの報道によると、シドニーでは市民が「ガザでの戦争を止めろ」「(イスラエル首相のネタニヤフは戦争犯罪者だ」「2万人の子どもが殺された」などと書かれた横断幕やプラカードを持って歩きました。
 同日にはインドネシアの首都ジャカルタでも行動がありました。参加者らは「もうこれ以上の流血はいらない」「パレスチナに連帯」と声を上げました。
 英国の首都ロンドンでは11日、パレスチナに連帯する諸団体の呼び掛けで、市民が集会を開き、デモ行進しました。
 英BBC放送によると、集会で発言した人の多くは、停戦合意を前向きな動きだとして歓迎する一方で、本当に停戦が実現するか先行きは予断を許さないと強調。イスラエルによるパレスチナの占領そのものを批判し、「パレスチナが完全に自由になるまで私たちは抗議をやめない」と訴えました。スターマー政権が市民のパレスチナ連帯行動に対して規制を強めていると抗議する声も上がりました。
 ドイツの首都ベルリン11日、数千人が集会とデモ行進に集まりました。参加者はアラブの伝統頭巾クーフィーヤを身に着けたり、パレスチナの旗を振ったりしてガザ住民に連帯を表明。「イスラエルヘの武器支援をやめろ」と訴えたほか、ガザヘの人道支援の搬入、暴力行為の中止を求めました。
 ロイター通信によると、11日にはこのほかノルウェーの首都オスロや南米チリの首都サンティアゴでも行動がありました。


パレスチナ住民を支援するイスラエル市民団体 「ピーブル・トゥ・ピープル」
責任感と思いやり大切に ガザでの集団殺害に衝撃受け
                      しんぶん赤旗 2025年10月13日
 イスラエルの市民ネットワーク「ピープル・トゥ・ピープル」は、イスラエルの攻撃と封鎖に苦しむパレスチナ・ガザ地区やヨルダン川西岸の50世帯以上と直接つながり、支援活動を続けています。ネットワークの共同創設者ナタリーー・ピクさんら3人の支援者に話を聞きました。    (カイロ=米沢博史)

 ナタリー・ピクさん{心理療法士)
 私たちは責任感と思いやりを大切にしながら、ガザ地区の人々と人間的なつながりを築き、経済的・精神的な支援を行っています。イスラエル内外の支援ネットワークを広げ、現地の人と直接、連絡を取り合い、極限状態にある人々が生ぎ抜けるよう支えることを目標にしています。
 支援は人につき~2世帯を担当します。私は現在、ガザ北部シャティ難民キャンプで暮らす建設労働者ナエルさんの大家族を支援しています。彼の境遇をSNSで紹介し、寄付を募って届けていますが、毎回、無事に届くか不安でなりません。
 ナエルさんは爆撃、殺りく、飢餓の光景を繰り返し目撃し、「言葉にすれば涙が止まらなくなることもある」と話します。「笑顔も食事の味も眠りの安らぎも忘れてしまった」ともいいます。先日届いたメッセージには、こう書かれていました。「ひどい夜だ。午前3時に爆撃があり、3歳の息子ハムザが飛び起きた。大丈夫だよと抱きしめたが、それを本当に約束できるのだろうか」。
 私はアラビア語を知らず、ナエルさんはヘブライ語を知りません。夜中に青白い画面を見つめ、自動翻訳で彼の言葉を読みながら、時間が残酷に流れるのを感じ、眠れぬ夜を過ごしました。
 イスラエルで「ガザ戦争」と呼ばれているものは、実際にはジェノサイド(集団殺害)です。国内のニュースでは隠されていますが、世界は現実を見ています。イスラエルヘのボイコットや制裁が広がるのは当然のことです。このジェノサイドを止めるために役立つ行動であれば、どんなものでも歓迎します。

 アドパ・バルカイロネインさん(獣医師)
 私の祖父母は、ホロコースト(ナチスによるユダヤ人虐殺)を生き延びました。だからこそ、イスラエルがガザで同じようなことをユダヤの名で行っていることに、衝撃を受けました。SNSでこのネットワーークを知ると、すぐに参加しました。
 現在は、ガザ農家のイマドさん一家を支えるネットワークの調整役を務めています。約20が参加し、毎月、経済的・精神的な支援を続けています。定期な支援は、先の見えない生活を送るガザの人々にとって、貴重な安らぎをもたらしています。

 イマドさんは、農地のほとんどが破壊された中でも、小さな菜園をつくり作物を育てています。暗黒の時代にあっても強い心を保つ彼の姿は、平和と再生が可能であることを私たちに教えてくれます。