トランプ大統領が29日に発表したガザ地区での停戦などに向けた計画について、ハマスは3日、計画のうち人質全員の解放などについて同意する考えを明らかにする回答を仲介国に提出し、詳細について話し合うため、仲介国を通してすぐに協議を始める用意がある述べました。そして「パレスチナ人の権利に関する問題については、国家的枠組みのなかで議論されるものであり、ハマスもその枠組みに参加する」と、ガザ地区の将来的な議論には参加する姿勢を示しました
イスラエル軍はガザ市東部で避難所となっていた学校を爆撃し、6人が死亡し、多数が負傷しました。イスラエル軍は爆撃の数分後、救助活動中の隊員を標的にして再度爆撃したため、隊員の1人が死亡し、2人が重体になり、5人が負傷しました。
ガザ地区を人道支援するために国際NGO「グローバル・スムード・フロティラ」が仕立てた船団は40隻以上の船からなり、約45カ国から議員、法律家、活動家ら約500人が乗船しています。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんも参加しています。
その船団の一部が1日、イスラエル軍によって拿捕されました。2日までに14隻が拿捕または停止させられましたが、残り23隻の船が、ガザヘ向けて航行中だいうことです。アイルランドのハリス外相はXで「残忍な人道的大惨事に光を当てる平和的な任務だ」として、重大な懸念を表明し、スペイン政府は活動家らの安全と権利を保障するよう、イスラエルに求めました。
NHKとしんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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ハマス声明発表 “人質全員の解放に同意 すぐ協議始める用意”
NHK NEWS WEB 2025年10月4日
アメリカのトランプ大統領が9月29日に発表した、パレスチナのガザ地区での停戦などに向けた計画について、イスラム組織ハマスは10月3日、仲介国に回答を提出し、計画のうち人質全員の解放などについて同意する考えを明らかにしました。詳細について話し合うため、仲介国を通してすぐに協議を始める用意があるとしています。
ガザ地区で続くイスラエルとハマスの戦闘をめぐって、アメリカのトランプ大統領は9月29日、停戦や人質の解放、ハマスの武装解除を含む20項目の計画を発表し、ハマスに対し受け入れを迫ってきました。
こうした中、ハマスは10月3日、仲介国に回答を提出したと声明で発表し、戦闘の停止とイスラエル軍の完全な撤退を実現するためとして、計画のうち人質全員の解放などについて同意する考えを明らかにしました。
また、詳細について話し合うため、仲介国を通してすぐに協議を始める用意があると強調しました。
この計画をめぐっては、すでにイスラエルが受け入れを表明しています。
トランプ大統領は3日、SNSに「この最後のチャンスの合意に達しなければ、ハマスに対してこれまで誰も見たことがないような地獄がもたらされる」などと投稿し、日本時間の6日午前7時までに計画に合意するよう迫っていました。
ハマスが発表した回答の内容は
回答の中でハマスはまず、ガザ地区での戦闘の終結、人質の交換、そして支援物資の即時搬入などが盛り込まれたことを評価し、アラブやイスラム諸国、トランプ大統領に対して感謝の意を示しました。
その上で「戦闘の停止とイスラエル軍の完全な撤退を実現するため、すべての人質の解放に同意する」と明らかにし、仲介国を通じて人質の引き渡し方法を調整するための協議をすぐに開始する用意があると強調しました。
またガザ地区の統治については「実務的で独立したパレスチナ人委員会に統治を移譲することに同意する」とした一方、「ガザ地区の未来とパレスチナ人の権利に関する問題については、国家的枠組みのなかで議論されるものであり、ハマスもその枠組みに参加する」として、ハマスとしてガザ地区の将来的な議論には参加する姿勢を示しました。
トランプ大統領が示した計画では「ハマスとそのほかの勢力は、ガザ地区の統治において、直接的にも間接的にもいかなる形においても役割を担わない」として、将来のガザ地区の議論にハマスが関与することを認めていません。
声明受け トランプ大統領「詳細の協議を進めている」
トランプ大統領は3日、SNSに投稿し「ハマスが発表した声明によれば、彼らは永続的な平和を受け入れる用意があると信じる。イスラエルは直ちにガザへの攻撃を停止しなければならない。そうすれば人質を安全かつ迅速に救出できる!われわれはすでに詳細について協議を進めている。これはガザだけの問題ではない。中東で長年求められてきた平和の問題なのだ」としています。
救助隊員ら標的 イスラエルガザ避難所を爆撃
しんぶん赤旗 2025年10月3日
【カイロ=米沢博史】パレスチナ・ガザ地区の民間救助隊のマフムード・バサル報道官は1日、本紙の取材に対し、イスラエル軍がガザ市東部で避難所となっていた学校を警告なしに爆撃し、救助活動中の隊員を標的にしたと明らかにしました。
隊員らは、爆撃で犠牲となった6人の遺体収容や、多数の負傷者の救出にあたっていた際に再び攻撃され、隊員のムンゼル・ダフシャン氏が死亡、7人が負傷し、うち2人が重体に陥っています。
バサル氏は、救助活動の現場への攻撃は繰り返されており、明らかに意図的なものだと指摘しました。そのうえで、救助隊員が制服を着用し、公用車両を伴って人命救助にあたっていたにもかかわらず、イスラエル軍が隊員を爆撃したことについて「国際人道法を公然と踏みにじる行為だ」と強く非難しました。
さらに、救助隊員の現場到着からわずか数分後に再び爆撃したことは、救助をさせない同軍の意図を示していると訴えました。
バサル氏は「いかなる危険の中でも任務を続ける決意は揺るがない」と強調し、国際社会に対し、イスラエルによる攻撃の即時停止と、ガザで活動する隊員ヘの保護を強く求めました。
ガザ保健当局は同日、過去24時間に少なくとも51人の遺体が病院に運ばれ2023年10月のイスラエルによるガザ侵攻開始以降の死者確語数は6万6148人に達したと発表しました。うち、救助隊を標的とした攻撃により、救助隊員140人、避難民2580人が亡くなっています。
グレタさんらの船団拿捕 世界各地 イスラエルに抗議
しんぶん赤旗 2025年10月3日
スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんらを乗せ、パレスチナ・ガザ地区に向かっていた人道支援船団が1日、イスラエル軍によって拿捕(だほ)されました。ロイター通信などが伝えました。事態を受けて、イスラエルに抗議し、船団やパレスチナに連帯する抗議デモが世界各地で取り組まれました。
国際NGO「グローバル・スムード・フロティラ」 (GSF)による船団は、40隻以上の船から成り、約45カ国から議員、法律家、活動家ら約500人が乗船していました。
GSFのテレグラムヘの投稿によると、船団はガザ地区から約130キロの地点で拿捕され、周辺海域ではイスラエル軍が取り締まりを行っていました。2日までに14隻が拿捕または停止させられましたが、残り23の船が、ガザヘ向けて航行中だとしています。
イスラエル外務省はX(旧ツイッター)で「いくつかの船舶は安全に停止させられ、乗組員はイスラエルの港に移送中だ」と説明。グレタさんらの健康状態は問題ないとしています。
船団が拿捕されたことを受け、アイルランドのハリス外相はXで「残忍な人道的大惨事に光を当てる平和的な任務だ」として、重大な懸念を表明。スペイン政府は、活動家らの安全と権利を保障するよう、イスラエルに求めました。
国連特別報告者のフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、イスラエルはガザ沖の海域に関して法的管轄権を特たないため、いかなる船舶の拿捕も「国際法違反にあたる」と指摘しました。
イスラエルに抗議し、船団やパレスチナに連帯を示す抗議デモは、バルセロナ、ベルリン、ブリュッセル、イスタンブール、アテネ、ブエノスアイレス、メキシコ市など、世界各地の都市で行われました。
イタリアの南部ナポリでは、抗議デモ参加者が主要駅の構内に入り、列車の運行を停止させました。首都ローマでも数百人が主要駅近くの通りを埋め尽くし、「フロティラとパレスチナのために全てを止めよう」と声を合わせました。
労働組合であるイタリア労働総同盟(CGIL)と独立系労組USBは、3日に全国規模の抗議のゼネラルストライキを実施すると発表しました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。