パレスチナ・ガザ地区に向かっていた国際NGO「グローバル・スムード・フロティラ」の人道支援船団は、イスラエル軍によって全ての支援船42隻が拿捕され、450人以上の乗組員が拘束されたと発表しました。
各国の政府や市民団体は2日、「国際法違反」と厳しい非難の声を上げました。各国の主要都市では1日に続いて大規模な抗議行動が繰り広げられました。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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ガザ人道支援船団拿捕 全42隻 450人超を拘束 各国が厳しく非難・抗議
しんぶん赤旗 2025年10月4日
パレスチナ・ガザ地区に向かっていた国際NGO「グローバル・スムード・フロティラ」(GSF)の人道支援船団がイスラエル軍によって公海上で拿捕(だほ)されたことに、各国の政府や市民団体は2日、「国際法違反」と厳しい非難の声を上げました。各国の主要都市では1日に続いて大規模な抗議行動が繰り広げられました。
国際NGO「グローバル・スムード・フロティラ」(GSF)は3日、Xへの投稿で、イスラエル軍によって全ての支援船42隻が拿捕され、450人以上の乗組員が拘束されたと発表しました。
船から配信されているライブ映像には、ヘルメットや夜間明視装置をつけたイスラエル軍と、救命胴衣をつけた乗組員たちが身を寄せ合い、両手を挙げる姿が映し出されていました。
イタリアのタヤーニ外相は、乗組員らは6~7日にかけて、イスラエルから欧州諸国の首都に送還される見込みだとしています。
欧州の左派政党などは、公海においての乗組員の誘拐はさらなる違法行為だと非難するとともに、イスラエルの違法行為を可能にしている欧州各国政府の責任を追及しています。
パレスチナの人権問題を担当するフランチェスカ・アルバネーゼ国連特別報告者は自身のXで「違法な封鎖を突破しようと命をかけた人々を違法に誘拐した」とイスラエルを批判した上で、「共謀し何もしてこなかった欧米の政府は恥を知るべきだ」と述べました。
左派政党「服従しないフランス」は声明で、イスラエルは「違法な封鎖を維持し、ガザで大量虐殺を続けるため、船舶を拿捕し、国際水域で活動家を逮捕した」と非難。乗組員全員の即時解放を要求するとともに、フランス政府に対し、対イスラエル制裁や禁輸措置を講じるよう求めました。
ベルギー労働党のマーテンズ幹事長は、ガザでのジェノサイドを止めるため「ベルギー政府は圧力を強めなければならない」として、イスラエル政府や企業からの投資撤退や制裁を呼びかけました。
「人権を完全に軽視」 マレーシア首相
マレーシアのアンワル首相は2日、GSF船団がイスラエルにより拿捕されたことを受けて、「イスラエルは人道的な行動を阻止することで、パレスチナの人々の人権と国際的な良心を完全に軽視している」と非難しました。GSFには多数のマレーシア人が乗船していました。
アンワル氏は、GSFが、封鎖下にある人々への連帯や思いやり、救済の希望を体現していると強調。「パレスチナ人は基本的な権利を奪われており、マレーシアは断固としてパレスチナの人々に連帯する」と語りました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)人権議員連盟のチャールズ・サンティアゴ共同議長は、イスラエルによる妨害が「国家による海賊行為」に等しいと強調。「イスラエルにはその海域
の支配権がなく、市民を拘束する合法的な根拠もない」と指摘しました。
全活動家の釈放求める 南ア
南アフリカ政府は2日、イスラエルに対し、ネルソン・マンデラ氏の孫を含む廿支援船団GSFの活動家の釈放を求めました。
ラマポーザ大統領は声明で、「(支援船の)拿捕は、ガザの苦しみを和らげ、地域の平和を進めようとする世界的な連帯と感情に対するイスラエルのもう一つの重大な違反行為だ」と述べました。
大統領は、イスラエル軍が国際水域で船団を阻止したことは、人道援助を妨げてはならないとする国際司法裁判所の命令に違反していると述べました。
マンデラ氏の孫、マンドラ・マンデラ氏は、南アを出発する前作イスラエル占領下のパレスチナ人の生活がアパルトヘイト下で南アの黒人が経験したどんなものよりも劣悪だと、ロイター通信に語っていました。(ロイター)
「新たな国際犯罪だ」コロンビア
コロンビアのペトロ大統領は2日、Xへの投稿で、イスラエル軍によるGSF船団の拿捕は「ネタニヤフ(イスラエル首相)の新たな国際犯罪だ」と批判しました。
ペトロ氏は、先月末に米国とイスラエルが合意したというパレスチナ・ガザでの戦闘停止などを含む「和平計画」についても、「飢餓による栄養失調で死亡しコロンビアていく人々をともなった和平計画だ」と指摘。飢餓に苦しむガザの人々のために食料を運び込もうとしていたグレタ・トゥンベリさんら人道的な活動家を阻止するため、「イスラエルは国際水域上に堰(せき)をもうけている」として、人道支援を力ずくで阻止するイスラエルを非難しました。
コロンビア政府は1日発表の外務省声明で、GSFの目的を ① ガザ地区へ人道支援物資を引き渡たす ② パレスチナの人々への緊急の人道支援が必要だとの意識を高める ③ ガザでの戦争を止める必要性を訴える-の3点にあると説明。その上で、イスラエルによる行動で生じる飢餓を緩和するための人道的な活動を図ろうとした「市民の不法な拘束についてはどんな国の政治も正当化できない」と述べていました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。