2025年10月2日木曜日

米国民 イスラエル支持低下/米大統領がガザ計画 即時停戦など

 ニューヨーク・タイムズと米シエナ大が9月に実施した共同世調査によると、23年10月の調査では米国民の47%がイスラエルを支持していましたが、今回の調査では34%に低下。パレスチナヘの支持は20%から35%に上昇しました。1998年の調査開始後、パレスチナヘの支持が上回るのは初めてです。「イスラエルは意図的にガザの住民を殺害している」との回答は40%で、23年調査の22%からほぼ倍の水準に跳ね上がりました。

 イスラエルの元大統領顧問ナダフ・タミル氏は28日、しんぶん赤旗の取材に対し、ネタニヤフ首相がイスラエルの孤立を欧州のイスラム教徒の移民のせいにしているが、実際に声を上げているのは各国の主流派の政治勢力だと指摘し、孤立を招いたのは首相自身であり、「イスラエルが国際的孤立から抜け出す唯一の道は、責任を他者に押し付けるのではなく、この状況を生んだ政権を交代させることだ」と述べました。

 米国のトランプは29日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、パレスチナ・ガザ地区に関する計画で一致したと発表しました。計画は、イスラエルとハマスの即時停戦、人質解放のほか、停戦後の統治の項目もあり、ハマスが統治に一切関与しないことや、イスラエルが「占領も併合もしない」と明記しました。

 イスラム8国外相と欧州首脳は同計画を評価しています。ガザの惨状は筆舌に尽くしがたいもので、衛生状態もとっくに限界を超えているので停戦は絶対に必要ですが、Moon of Alabamaはトランプらの「ガザ地区に関する計画」を「ガザに対する奇妙な計画」と酷評しています。
 しんぶん赤旗ほかの7つの記事を紹介します。
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米国民 イスラエル支持低下 ガザ攻撃2年で47%  34%
                       しんぶん赤旗 2025年10月1日
米紙調査
【ニューヨーク=時事米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は29日、イスラエルが2年近くにわたりパレスチナ自治区ガザヘの攻撃を続けてきたため、米国民のイスラエルに対する支持が大きく低下したと報じました。同紙と米シエナ大が9月に実施した共同世調査の結果を基に伝えました。
 イスラム組織ハマスが2023年10月にイスラエルを攻撃した後、23年10月に実施した調査では、回答者の47%はイスラエルを支持していましたが、今回の調査では34%に低下。パレスチナヘの支持は20%から35%に上昇。1998年の調査開始後、パレスチナヘの支持が上回るのは初めてだといいます
 また、「イスラエルは意図的にガザの住民を殺害している」との回答は40%で、23年調査の22%からほぼ倍の水準に跳ね上がりました。人質が解放されず、ハマスがせん滅されなくても、イスラエルは軍事作戦をやめるべきだとの意見が多数派となっており、過半数がイスラエルヘの追加的な経済・軍事支援に反対しています。
 調査は全米の登録有権者1313人を対象に9月22~27日に実施されました。


孤立招いたのは首相白身 イスラエル元大統領顧問 タミル氏が批判
                       しんぶん赤旗 2025年10月1日
【カイロ=米沢博史】イスラエルの元大統領顧問ナダフ・タミル氏は28日、本紙の取材に、イスラエルの国際的な孤立について、欧州に移住したイスラム教徒の移民に責任転嫁するネタニヤフ首相を批判しました。
 ネタニヤフ首相が認めないパレスチナ国家を承認する国は現在、国連加盟国の8割超。この間、新たに11カ国増えています。そのきっかけはフランスの承認方針でした。
 タミル氏は、首相がイスラエルの孤立を欧州のイスラム教徒の移民のせいにしているが、実際に声を上げているのは各国の主流派の政治勢力だと指摘しました。そして、欧州最大のムスリム人口を抱えるフランスでも、ムスリムは全人口の1割程度にとどまり、その多くは政治に関与していないと説明。むしろ移民増加を利用して台頭した欧州の極右・排外主義政党こそネタニヤフ首相を支持し、反イスラム感情をあおっていると指摘しました。
 タミル氏は、実際に孤立を招いたのは首相自身であり、ガザ戦争は兵士や人質を犠牲にし、ガザに前例のない大惨事をもたらしていると非難しました。
 タミル氏は、ネタニヤフ首相が恐れているのはセルビア(旧ユーゴスラビア)のミロシェビッチ元大統領のように辞任に追い込まれ、戦争犯罪人として国際法廷に立たされる未来だと指摘。「イスラエルが国際的孤立から抜け出す唯一の道は、責任を他者に押し付けるのではなく、この状況を生んだ政権を交代させることだ」と述べました。


米大統領がガザ計画 即時停戦など イスラエル首相と一致
                       しんぶん赤旗 2025年10月1日
【ワシントン=洞口昇幸 カイロ=米沢博史】米国のトランプ大統領は29日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、パレスチナ・ガザ地区に関する計画で一致したと発表しました。今後はハマスの対応が焦点となります。
 計画は、イスラエルとハマスの即時停戦、人質解放のほか、停戦後の統治の項目もあり、ハマスが統治に一切関与しないことや、イスラエルが「占領も併合もしない」と明記しました
 ただしトランプ氏は、ハマスが計画を拒否すれば米国はイスラエルのハマス壊滅作戦を支持すると警告。「今こそハマスがわれわれの提示した計画の条件を受け入れる時だ」と強調しま
した。
 ネタニヤフ氏も会談後の記者会見で計画に支持を表明。しかし、「もしハマスが計画を拒否するか、表向きは受け入れて実際には妨害工作を行うならば、イスラエルは自らの任務を完遂する」と述べ、攻撃継続の考えを示しました。
 両首脳は、記者からの質問を一切受け付けませんでした。


ガザ計画の要旨
                       しんぶん赤旗 2025年10月1日
【カイロ=時事】米政府が発表したガザ計画の要旨は次の通りです。
イスラエルとイスラム組織ハマスが提案に同意すれば、戦闘は即時に終結する。イスラ
  エルは合意地点まで部隊を撤退し、段階的な完全撤収の条件が整うまで戦線を凍結する。
ー、イスラエルが合意を承認後、72時間以内にガザで拘束されている人質全員が帰還する。
ー、イスラエルは、終身刑で服役するパレスチナ人250人や拘束中の1700人を釈放する。
ー、人道支援物資や再建に必要な物資をガザに搬入する。
ー、ガザは、公共サービスなどを担う政治色のないパレスチナ人らによる委員会の暫定統治
  下に置かれ、トランプ米大統領が率い、ブレア元英首相らが加わる「平和評議会」が監
  督する。
ー、優遇関税が適用される経済特区を設置。
ー、住民はガザから強制退去させられることはない。
ー、ハマスはガザの統治に一切関与しないことに同意する。軍事施設は破壊され、ガザの非
  軍事化プロセスが実施される。
米国とアラブ諸国などが連携し、「国際安定化部隊」を編成し、ガザの警察組織を訓練
  する。
ー、イスラエルはガザを占領も併合もしない。
ー、米国は、平和的で豊かな共存に向けてイスラエルとパレスチナの間の対話を立ち上げる。


イスラム8カ国外相が計画評価
                       しんぶん赤旗 2025年10月1日
【カイロ=米沢博史】トランプ氏が29日に発表したガザ計画について、エジプト、カタール、サウジアラビア、トルコ、パキスタン、インドネシアなどイスラム8カ国外相は共同声明を発表し、「人道支援の無制限の供給、パレスチナ人の追放阻止、人質解放、イスラエル軍の全面撤退、そして(パレスチナ国家樹立による平和共存という)2国家解決に基づく和平実現への
道筋を盛り込んだ包括的合意」と評価しました。計画は「2国家解決」を明記していませんが、外相声明は「平和、繁栄、共存の政治展望に合意する」とし、その必要性を強調しました。
 人質家族会も同日、計画を歓迎する声明を出し、イスラエルによる攻撃の即時停止を求めました。


欧州首脳が支持
                       しんぶん赤旗 2025年10月1日
【ベルリン=吉本博美】トランプ米大統領が29日に明らかにしたガザについての計画について、欧州首脳も支持しています。
 21日にパレスチナの国家承認に踏み切った英国のスターマー首相は、戦争終結と人質の解放、ガザ市民ヘの緊急的な人道支援を実施するためのトランプ氏の試みを強く支持すると表明。
「すべての関係者は結集して米国政権と協力し、この合意を最終的に取りまとめ、現実のものとするよう呼びかける」と述べました。
 同じく国家承認したフランスのマクロン大統領も歓迎の意を示し、イスラエルに対し「(トランプ氏の計画に)固い決心をもって臨むことを期待する」と強調。ハマスに対しては「人質を即座に解放し、この計画に従う以外の選択肢はない」と賛同を迫りました。
 イスラエルによるジェノサイドを厳しく批判してきたスペインのサンチェス首相は、同計画を歓迎すると表明。「これほどの苦しみに終止符を打たねばならない」と強調し、パレスチナとイスラエルが平和的に共存する「2国家解決」が唯一の解決策だと指摘しました。
 欧州連合(EU)理事会のコスタ議長は、イスラエルのネタニヤフ首相の前向きな反応に勇気づけられたと述べ、「この機会を捉えて平和に真のチャンスを与えるべきだ」と各国に呼びかけました。


ガザに対する奇妙な計画
              マスコミに載らない海外記事 2025年10月1日
                   Moon of Alabama  2025年9月30日
 (最近の当ブログ移転に伴う問題の整理にまだ追われており、記事の量が減っている。ご容赦願いたい。)

 ドナルド・トランプ大統領が発表したガザに対する新計画は、ラリー・ジョンソンが言う通り、はなから話にならない
 計画全体は詳細が著しく曖昧だが、ここに掲載されている。計画では、ハマスが人質全員を解放し、組織を解散し、あらゆる影響力を放棄する代わりに、将来の平和という漠然とした約束が想定されている
 ガザに新たな外部政府が樹立される。そこに暮らす人々は何も発言権を持たない。ガザを「支配」するという奇妙な提案の構造をMiddle East Eyeが解説している。
 この計画は行き詰まるだろう。既にネタニヤフは、これを破棄すると誓っている。ガザでのジェノサイドは今後も続くだろう。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2025/09/a-bizarre-plan-for-gaza/