2025年10月9日木曜日

09- 「傷もの」の言葉で茶を濁すな(植草一秀氏)

 ここで「傷もの」というのは高市自民党総裁が8日、立憲民主党へのあいさつ回りで、同席した萩生田光一幹事長代行政治資金収支報告書で裏金2728万円不記載の問題があったことについて「傷もの一人」と紹介したことを指したものです先の参院選で自民が大敗を喫した一因は「政治とカネ」問題に正しく向き合わなかったことが挙げられているのに「そんな風にお茶を濁していいのか」という植草氏の批判が込められています。

 記事中に「西松事件」が出てきますが、それは民主党が2007年の参院選で勝利し、次いで2009年の衆院選でも大勝して政権を獲得した背景に、「国民の生活が第一」などと謳った小沢一郎議員の優れた指導力と巧みな戦術があったと考えた体制側が、小沢氏を追い落とすために検察が「デッチ上げた」ものでした。
 そしてそれに失敗すると今度は「陸山会事件」をデッチ上げましたが、これもお粗末なもので無罪になりました。すると体制側は検察審査会制度を利用して有罪にしようとしましたがそれにも失敗しました。
 しかし長期にわたる検察の執拗な攻撃によって小沢氏は次第に力を失い、逆に、植草氏が「民主党悪徳10人衆」と称した菅直人、野田佳彦、岡田克也、前原誠司、安住淳、枝野幸男などが跋扈する中で民主党政権は崩壊しました。
 植草氏は、本来は有罪である筈の裏金議員を安易に幹事長代行に起用した高市氏が (国民の怒りを買って)失脚する日は遠くないと述べます。
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「傷もの」の言葉で茶を濁すな
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年10月 8日
自民の衆院議席は196。衆院過半数は233。過半数をはるかに割り込んでいる。


立民の衆院議席は148.自民との差は48しかない。
高市早苗氏が自民党党首に選出され、高市首相が誕生することが確定的であるかの報道が多いが実態は五里霧中。

衆院の公明議席数は24で自民は公明を合わせて220。これでも過半数に13議席足りない。
公明は自民に対し、1.政治とカネ 2.靖国参拝 3.外国人排斥
の三問題で懸念が解消されることが連立維持の条件だと通告。
公明が連立から離脱すると自民が政権与党にとどまることに黄信号が灯る。

衆院の国民民主議席数は27。自国合計は223で過半数に10足りない。
逆に立民、維新、国民、公明の合計は237になり過半数を超える。
今後の協議で新たに創設される政権の枠組みは変化し得る。

この不安定な状況下で高市氏は幹事長代行に萩生田光一氏を起用した。
裏金事件の代表格議員。自民裏金事件は巨大な政治資金不正事件である。
不記載金額が4000万円を超えた議員3名だけが刑事事件として立件された。
第4位は二階俊博氏の3526万円。
二階氏がかからないように刑事事件立件ラインが引くことを「二階ルール」と呼ぶ。

2009年3月3日に小沢一郎議員の公設第一秘書が逮捕された。
西松建設関連の二つの政治団体からの寄附を事実通りに記載して報告したことが「虚偽記載」だとされて会計責任者が突然逮捕された。

まったく同じ事務処理をした資金管理団体が13あったが、小沢氏の資金管理団体だけが刑事事件として立件された。小沢氏資金管理団体が受けた寄附は1400万円。
金額第2位の二階氏資金管理団体が受けた寄附は778万円だった。このときは1000万円が刑事事件立件の境界とされた。二階氏が立件されない水準にラインが引かれた。
だから「二階ルール」と呼ばれる。

西松事件で「虚偽記載」とされた理由は、未来産業研究会、新政治問題研究会という名の政治団体には実体がなく、寄附行為者を「西松建設」としなかったことが「虚偽記載」に当たるとされた。
しかし、2010年1月13日にこの事件の第2回公判が開かれ、西松建設の岡崎彰文元取締役総務部長が証言。
二つの政治団体は事務所も常駐職員も有しており、実体があったことを証言した。

この結果、2009年3月3日の西松事件そのものが空前絶後の検察大失態冤罪事件であることが明らかになった。メディアは検察大失態を追及すべきだったが、一切しなかった
検察は大失態を隠蔽するために、別の事件を仕立てて2010年1月15日に小沢氏元秘書3名を逮捕した。これが陸山会事件
詳細は割愛する。これもチンピラの因縁というべき、刑事事件にするような実態のある事件ではなかった。

西松事件の基準とされた1000万円で線を引いたなら今回の自民党裏金事件では21名が刑事事件として立件されている。
その裏金ランキングの第6位にランクインしているのが2728万円の萩生田光一氏。













日本の刑事司法が健全に機能しているなら刑事事件として立件されていた。
その裏金議員を幹事長代行に起用した高市早苗氏。高市氏が失脚する日は遠くない。

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