公明党の斎藤哲夫代表は10日、記者団に対して自民党との連立政権から離脱する方針を高市自民総裁に伝えたことを明らかにしました。
この日の高市氏との会談で懸案となっていた「政治とカネ」問題についての回答が、「今後検討する」という不十分なものだったと強調し、選挙の際にそうした自民党の裏金議員への投票を依頼するに当たり「自民党の不祥事を国民に説明し、応援することに地方議員を含め限界が来ているのが現状だ」と述べ、「自公連立政権については、いったん白紙とし、これまでの関係に区切りをつける」と表明しました。
背景には、今回事実上の最高権力者となった麻生氏が、かつて敵基地攻撃能力を含む安全保障関連3文書の与党協議をめぐり、公明党や支持母体である創価学会を激しく批判し、公明党排除のスタンスを明示してきたことがあります。また新総裁になった高市氏が、公明党を差し置いて真っ先に「秘密裡に」国民民主代表の玉木氏と「密談」をしたことも不信感を募らせました。
植草一秀氏は公明党が自民党との癒着を断ち切る判断を下したことは高く評価できるとした上で、これまでの与党勢力は政治理念と基本政策で極右、中道、新自由主義の三勢力が同居していることが政治を極めて分かりにくいものにしているとし、野党勢力では、公明、国民が中道、維新が新自由主義、参政と保守が極右に分類できるので、自民が三つに分裂して、それぞれ同類の野党と合流すると政治は分かりやすくなると述べ、政局戦国時代が本格的に動き始めたと見做しました。
また赤旗編集局中祖寅一政治部長は、自公連立の瓦解は自民党と公明党の間の「意見の食い違い」の結果などではなく、自公政治全体と国民の生活との深い矛盾が、自公間の鋭い亀裂として表れたもので、大企業の利益最優先と日米同盟絶対の自民党政治に追随、補完することが、公明党自身の存続を危うくした結果であり、その結果、選挙でも政権運営でも公明に頼ってきた自民党政治も、さらに深刻な行き詰まりに一気に陥ったという見方を示しました。
実際、選挙の際に公明党が自民党を応援しないとさらに膨大な落選者が出ることが明らかなので、自民党は今後さらに急速に勢力を後退させることになると思われます。
2つの記事を紹介します。
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激震!公明が連立離脱通告
植草一秀の「知られざる真実」 2025年10月10日
公明党が自民との連立政権から離脱する方針を自民党に伝えて記者会見を開いた。
とりわけ重要視したのが「政治とカネ」問題の取り扱い。
企業献金について政治家個人への寄附は禁じているが政党および政党支部への寄附が行われている。
政党支部は政治家個人とほぼ同じ意味を有しており、企業献金規制の抜け穴になっている。
この部分についての規正強化を求めたが自民からは無回答だった。
これが連立離脱を決める要因になったと公明党の斉藤代表は説明した。
背景にあるのは高市新党首誕生の原動力になった麻生太郎氏の公明党切りのスタンスにあると見られる。
2023年9月の講演で麻生太郎副総裁(当時)は次のように述べた。
「公明党の一番動かなかった、『ガン』だった山口(那津男代表・当時)、石井(啓一幹事長・当時)、北側(一雄副代表・当時)等々の一番上の人たち、そのウラにいる創価学会・・・」
麻生氏は、敵基地攻撃能力を含む安全保障関連3文書の与党協議をめぐり、公明党や支持母体である創価学会を激しく批判した。
公明党はもとより弱者の立場に基盤を政党のはずだが、26年にわたる自民党との連立政権により、公明党の基本は見失われてきた。
自民党は新自由主義の経済政策を基軸に据えて「弱肉強食推進」の政策を遂行してきた。
自民党は企業との癒着を基盤とする政党。
この自民党との連立によって公明党は本来の基本的立場を見失ってきたと言ってよい。
自民党の新体制の影の主役は麻生太郎氏であり、麻生氏が公明党排除のスタンスを明示してきた経緯を踏まえて公明党が連立からの離脱を決断するに至ったと言える。
公明党が自民党との癒着を断ち切る判断を下したことは高く評価できる。
7月20日の参院選を契機に日本の政局は戦国時代に移行すると指摘してきた。
新たな混乱と波乱が想定される状況に移行したと判断する。
その端緒として公明の自民との連立からの離脱決断を位置付けることができる。
世間では当然のことながら、今後の政権の枠組みがどのように形成されるのかに関心が移る。
衆院では、自公では220議席しか保持しておらず、過半数の233に届かない。
逆に衆院では、公明、立民、維新、国民の4党で237議席を保持しており、過半数233を上回る。
参院では4党議席数が合計で100議席で、過半数125には届かない。
参院の自民議席数は101である。
自民党は衆院で196議席しか保持していない。 公明党の斎藤哲夫代表は10日、記者団に対して自民党との連立政権から離脱する方針を高市自民総裁に伝えたことを明らかにしました。
この日の高市氏との会談で懸案となっていた「政治とカネ」問題についての回答が、「今後検討する」という不十分なものだったと強調し、選挙の際にそうした自民党の裏金議員への投票を依頼するに当たり「自民党の不祥事を国民に説明し、応援することに地方議員を含め限界が来ているのが現状だ」と述べ、「自公連立政権については、いったん白紙とし、これまでの関係に区切りをつける」と表明しました。
背景には、今回事実上の最高権力者となった麻生氏が、かつて敵基地攻撃能力を含む安全保障関連3文書の与党協議をめぐり、公明党や支持母体である創価学会を激しく批判し、公明党排除のスタンスを明示してきたことがあります。また新総裁になった高市氏が、公明党を差し置いて真っ先に「秘密裡に」国民民主代表の玉木氏と「密談」をしたことも不信感を募らせました。
植草一秀氏は公明党が自民党との癒着を断ち切る判断を下したことは高く評価できるとした上で、これまでの与党勢力は政治理念と基本政策で極右、中道、新自由主義の三勢力が同居していることが政治を極めて分かりにくいものにしているとし、野党勢力では、公明、国民が中道、維新が新自由主義、参政と保守が極右に分類できるので、自民が三つに分裂して、それぞれ同類の野党と合流すると政治は分かりやすくなると述べ、政局戦国時代が本格的に動き始めたと見做しました。
また赤旗編集局中祖寅一政治部長は、自公連立の瓦解は自民党と公明党の間の「意見の食い違い」の結果などではなく、自公政治全体と国民の生活との深い矛盾が、自公間の鋭い亀裂として表れたもので、大企業の利益最優先と日米同盟絶対の自民党政治に追随、補完することが、公明党自身の存続を危うくした結果であり、その結果、選挙でも政権運営でも公明に頼ってきた自民党政治も、さらに深刻な行き詰まりに一気に陥ったという見方を示しました。
実際、選挙の際に公明党が自民党を応援しないとさらに膨大な落選者が出ることが明らかなので、自民党は今後さらに急速に勢力を後退させることになると思われます。
2つの記事を紹介します。
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激震!公明が連立離脱通告
植草一秀の「知られざる真実」 2025年10月10日
公明党が自民との連立政権から離脱する方針を自民党に伝えて記者会見を開いた。
とりわけ重要視したのが「政治とカネ」問題の取り扱い。
企業献金について政治家個人への寄附は禁じているが政党および政党支部への寄附が行われている。
政党支部は政治家個人とほぼ同じ意味を有しており、企業献金規制の抜け穴になっている。
この部分についての規正強化を求めたが自民からは無回答だった。
これが連立離脱を決める要因になったと公明党の斉藤代表は説明した。
背景にあるのは高市新党首誕生の原動力になった麻生太郎氏の公明党切りのスタンスにあると見られる。
2023年9月の講演で麻生太郎副総裁(当時)は次のように述べた。
「公明党の一番動かなかった、『ガン』だった山口(那津男代表・当時)、石井(啓一幹事長・当時)、北側(一雄副代表・当時)等々の一番上の人たち、そのウラにいる創価学会・・・」
麻生氏は、敵基地攻撃能力を含む安全保障関連3文書の与党協議をめぐり、公明党や支持母体である創価学会を激しく批判した。
公明党はもとより弱者の立場に基盤を政党のはずだが、26年にわたる自民党との連立政権により、公明党の基本は見失われてきた。
自民党は新自由主義の経済政策を基軸に据えて「弱肉強食推進」の政策を遂行してきた。
自民党は企業との癒着を基盤とする政党。
この自民党との連立によって公明党は本来の基本的立場を見失ってきたと言ってよい。
自民党の新体制の影の主役は麻生太郎氏であり、麻生氏が公明党排除のスタンスを明示してきた経緯を踏まえて公明党が連立からの離脱を決断するに至ったと言える。
公明党が自民党との癒着を断ち切る判断を下したことは高く評価できる。
7月20日の参院選を契機に日本の政局は戦国時代に移行すると指摘してきた。
新たな混乱と波乱が想定される状況に移行したと判断する。
その端緒として公明の自民との連立からの離脱決断を位置付けることができる。
世間では当然のことながら、今後の政権の枠組みがどのように形成されるのかに関心が移る。
衆院では、自公では220議席しか保持しておらず、過半数の233に届かない。
逆に衆院では、公明、立民、維新、国民の4党で237議席を保持しており、過半数233を上回る。
参院では4党議席数が合計で100議席で、過半数125には届かない。
参院の自民議席数は101である。
自民党は衆院で196議席しか保持していない。
自民党を中心とする政権が樹立されるか一段と不透明になったことは間違いない。
新たな政権を発足させるための臨時国会の召集時期は当初の14日の予定から先送りされ、20日の週にずれ込むことが確実視されている。政局は大激動時代に移行した。
党利党略が渦巻く権力争奪戦の様相を示すが、本来は政党が政治理念の基本政策によって分化されるのが正道である。政治理念と基本政策によって政党が分化されず、単なる権力争奪を競う勢力抗争に陥っている面が強い。これは自民党の内部の問題でもある。
自民党内に異なる政治理念、歴史認識、政治哲学、基本政策を唱える勢力が同居している。
今回は極右勢力が自民党実権を握ったために公明が連立を離脱したという側面も強い。
これまでの与党勢力は、政治理念と基本政策で、極右、中道、新自由主義の三勢力に分類できる。この異なる三つの勢力が同居していることが政治を極めて分かりにくいものにしている。
野党勢力では、公明、国民が中道、維新が新自由主義、参政と保守が極右に分類できる。
自民が三つに分裂して、それぞれ同類の野党と合流すると政治は分かりやすくなる。
自民と同じ問題を抱えているのが立民。立民も中道、新自由主義、革新の三つに分裂するべきだ。政局戦国時代が本格的に動き始めた。
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自公政治全体の大破綻 責任無自覚さらけ出す高市氏
しんぶん赤旗 2025年10月11日
政治部長 中祖寅一
高市早苗新総裁を選出した自民党総裁選(4日)から1週間もたたないうちに、公明党の連立離脱による自公連立政権崩壊という事態となりました。
高市新体制は、改憲タカ派・安倍政治の継承という極右的危険とともに、裏金事件と経済無策への厳しい国民的審判に向き合わず無反省という根本的もろさをはらむものでした。そのもろさが、早くも劇的な形で危機的事態に発展しました。根本にあるのは自民党政治の末期的行き詰まりと劣化、腐敗です。
公明党の斉藤鉄夫代表は記者会見で、裏金疑惑の全容解明が極めて不十分なもとで「決着ずみ」として裏金議員を登用した高市氏の姿勢は「国民の感情とかけ離れている」「自民党の不祥事を国民に説明し応援することに限界がきている」と述べました。昨年10月の総選挙で同党は114万票減の596万票にとどまり、7月参院選での比例票はさらに521万票にまで減りました。支持母体の創価学会は深刻な危機感に覆われていました。
日曜版スクープ
「赤旗」日曜版による自民党議員の裏金事件のスクープと共産党による徹底追及が政局の核心を突き、昨年の総選挙と今年7月の参院選で自公過半数割れに追い込み、ついに自公連立の瓦解(がかい)という事態に追い込みました。
公明・斉藤代表は、自民党への「不満」をぶつけましたが、昨年の総選挙で裏金議員に同党が推薦を出したことに象徴されるように、裏金疑惑の解明にも、企業・団体献金の禁止にも背を向けてきました。国民の信頼を失ったのは公明の自業自得でもあります。
さらに物価高対策として国民の多数が求める消費税減税に背を向け、格差と貧困の広がりに対する経済無策は自公政治に対する国民の深い失望を広げました。「福祉の党」を掲げながら、医療・介護・年金の連続削減を自民党とともに進めてきたのも公明党自身です。
「平和の党」と言いながら集団的自衛権行使容認の安保法制を自民党とともに強行し、立憲主義破壊。違憲の敵基地攻撃能力の保有と異常な大軍拡を推進してきました。
国民と深い矛盾
自公連立の瓦解は、自民党と公明党の間の「意見の食い違い」の結果などではなく、自公政治全体と国民の生活との深い矛盾が、自公間の鋭い亀裂として表れたものです。大企業の利益最優先と日米同盟絶対の自民党政治に追随、補完することが、公明党自身の存続を危うくした結果です。その結果、選挙でも政権運営でも公明に頼ってきた自民党政治も、さらに深刻な行き詰まりに一気に陥っています。高市氏は公明に対し「一方的な通告だ」と不満をあらわにしましたが、自民党の重大な責任への全くの無自覚をさらけ出しています。
国民の利益と相いれない存在となっている自民党政治を終わらせ、これに代わる希望ある新しい政治に切り替える広範な国民のたたかいが今ほど必要なときはありません。
自公連立 悪政26年の歩み
1999・10 小渕内閣の下で自民、公明両党が連立
2003・7 自公がイラク派兵法を強行
04・4 公明党・坂口力厚労相の下で物価・賃金に連動して年金を削減する「マク
ロ経済スライド」導入
06・6 自公が「愛国心」教育など盛り込んだ教育基本法改悪を強行
09・9 衆院選で自公が大敗し下野
12・6 民主、自民、公明の3党で消費税10%への引き上げを合意
12・12 衆院選で自公が大勝。第2次安倍自公政権が発足
14・7 集団的自衛権の行使容認を閣議決定。自公与党協議で承認
15・9 自公が「生涯派遣」の労働者派遣法改悪を強行
15・9 自公が安保法制=戦争法を強行
22・12 敵基地攻撃能力保有など明記した安保3文書を閣議決定。自公与党協議で
承認
24・10 衆院選で自公ともに議席を大幅に減らし過半数割れ
25・7 参院選で自公ともに議席を大幅に減らし過半数割れ
25・10 公明・斉藤代表が自民・高市総裁に連立離脱を伝達