2025年10月16日木曜日

あまりに低次元の権力抗争(植草一秀氏)

 昨夕、維新が高市自民と組む可能性が急浮上したことに関連して植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 植草氏は、維新、国民などの「ゆ党」はCIAが育成に注力してきたものであり、それがさらに立民の指導部にも及んでいると説明したのち、いまあせっているのが維新に先を越された玉木雄一郎氏であるとしています。そしていま展開されているのは権力をめぐる低次元の抗争なのでどのような政権が樹立されても短命政権になるから、低次元の権力抗争は低次元の者たちに任せ、短命政権後の次の展開に向けての戦術を始動させることが肝要だと述べます。
 それにしても国民は解散など望んでいなかったのに、自民党が石破降ろしに走った結果 最も相応しくない高市総裁を選んだ挙句にその後もさらに政治空白が継続しているわけです。
 その後に行われる極右・隷米の軍事偏重の政治こそが最も恐るべき事態です。

 併せて田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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あまりに低次元の権力抗争
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年10月16日
昨日の記事に「維新が自民と組むという可能性もあり」と記述したが、その可能性が急浮上している。維新、国民は隠れ自民。「ゆ党」代表だ。
「ゆ党」とは「見た目は野党、中身は与党」という存在。CIAが育成に注力してきたものだ。

明確な発端は2008年。政治ドラマ『CHANGE』が放映された。フジテレビ月9ドラマ。
キムタク主演のドラマで主題歌にマドンナの曲が起用された。
新党創設準備の政治ドラマだった。翌2009年に「みんなの党」が創作された。
民主党中心の政権交代を阻止するための工作だった。

しかし、工作は失敗して鳩山内閣が誕生した。日本の宗主国米国にとっての悪夢だった。
米国は鳩山内閣破壊に向けて総攻撃をかけた。鳩山内閣を破壊したのは民主党内に潜伏した対米隷属勢力だ。菅直人内閣、野田佳彦内閣は米国傀儡政権だった
二度と鳩山内閣の悪夢を繰り返してはならない。そのためにCIAが注力してきたのが「ゆ党」の育成

この系譜に、橋下維新、同吉村洋文、小池百合子、希望の党、国民民主、玉木雄一郎、石丸伸二、参政党、神谷宗幣が位置付けられる。
ゆ党を育成するのは自民が大幅議席減に転落したときに革新政権が樹立されることを防ぐため。
このために、維新、国民の育成が図られてきた。

2017年に立憲民主が創設された。立憲民主は革新政権樹立の先導役になる可能性があった。
立民を軸にする野党共闘が拡大すれば2009年の悪夢が繰り返される。
これを阻止するために立民への工作が行われたと見られる。
2021年の衆院総選挙の際に枝野幸男氏が転向した。共闘の対象は国民民主と連合であって、共産、れいわ、社民は共闘の対象でないと枝野氏が発言した。立民右旋回である。

その後、立民は党首を泉健太、野田佳彦に変えた。右旋回が一段と強化された。
しかし、立民内部には「対米自立・リベラル」勢力が残存する。
立民は路線明確化を避けて「水と油の同居」を続けている。「こうもり」の対応を続けている。

立民党首に野田佳彦氏を押し上げたのは財務省である。
財務省は石破自民と野田立民の大連立を目論んだと見られる。大連立の帰着は給付付き税額控除を導入した上での消費税再増税。

7月20日参院選で自民は大敗。財務省は石破続投論を工作したが失敗して石破氏が辞意表明。
自民党首選で財務省は林芳正氏もしくは小泉進次郎氏当選を狙ったが、これも失敗した。
高市氏が新党首に就任したが公明が政権離脱して現在の混乱に至る。
しかし、隠れ与党の維新と国民が存在するから、自民はいずれかと結託して政権を死守しようとするだろう。

立維国の三党連合が成立すれば首班指名で勝利できるが、玉木氏が首相ポストを渇望しており、三党連立の場合の首班は玉木氏になる流れが作られてきた。
しかし、玉木首班では維新のメリットは小さい。
玉木氏が自民との連立に後ろ向き発言を示した間隙を縫って維新は自民との連立に傾いた。
国民を出し抜いての政権与党入りが実現する。

いまあせっているのが玉木雄一郎氏。政権与党入りの野望で維新に先を越されることになる。
要するに権力をめぐる低次元の抗争が展開されているだけなのだ。どのような政権が樹立されても短命政権になる。低次元の権力抗争は低次元の者たちに任せ、短命政権後の次の展開に向けての戦術を始動させることが肝要だ

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国民民主と維新が自民の延命装置となる日
                    田中龍作ジャーナル 2025年10月16日
維新と国民が、野党転落の危機にある自民党を救うことになるのだろうか。
国会内で各党の党首会談が持たれた。組み合わせは以下だ
「自民VS立憲」「自民VS国民」「立憲VS維新VS国民」「自民VS維新」
15日)午後2時から断続的に4件の会談が持たれ、終わったのは午後7時前だった。
会談の後、各党首は記者会見を開いた。田中は国民玉木と維新吉村の会見に出席した。

玉木は「立憲とは①安全保障、②原発(エネルギー)、③緊急事態条項(憲法)で隔たりがある」と突き放した。
もし立憲が上記3項目を飲んだりしたら、大量に支持者を失い、選挙はボロ負けするだろう。
飲めっこないことが分かっていて国民民主は3項目を突き付けているのだ。国民民主と立憲の連携はほぼ絶望的と言ってよい。
国民民主がここまで立憲を拒むのは、政策以上に人間関係の悪さにある。蛇蝎のごとく嫌っているのだ。政策以前の問題である。
一方で自民党に対しては「基本的な政策で重なる所がある」とした。一気に連立入りをする訳ではないが、閣外協力は惜しまないよという意味のようだ。

維新吉村は国民玉木よりもさらに踏み込んだ。自民との政策協議がまとまれば「首班指名選挙は高市早苗と書く」というのだ。
政策協議の中味は「副首都構想」と「政治とカネ」などである。具体的な内容は16日にも明らかにし、同日、自民との協議に入る。
政策協議が決裂した場合、首班指名は別の名前になるという。吉村代表は21日ギリギリまで考えると話した。
予断は許さないが、国民民主と維新で高市自民を支える構図ができつつあるようにも見える。
自民を下野させる千載一隅のチャンスだったが、牽引役が不在のため、みすみす延命を許すことになりそうだ。
                    ~終わり~