植草一秀氏が掲題の2つの記事を出しました。
(「総裁選ハラスメントに辟易」では)目下自民党党首選の真っ盛りで、NHKと民放はこれに過大な時間を割いています。自民党はもはや衆参両院で過半数を大幅に割り込んでいる1政党に過ぎないのに、党首選をこれだけ報道するのは自民党に対する利益供与であり、その自民党党首選に最大の影響力を発揮しているのが財務省であると指摘します。
政治の最大の機能、最大の権力は予算配分権で、法律と予算を執行するのが行政。国は1年間に100兆円程度の資金を支出しますが、その予算編成を実質的に仕切るのが財務省です。
しかしながらこの巨大な権力を持つ財務省は正義の存在ではなく、逆に諸悪の根源であり、何よりも省益を最優先し財務省の利益しか考えないために、日本の財政が歪み、日本の政治が歪むと述べます。
当初予算ベースでは国の財政支出は、社会保障支出38兆円、その他政策支出23兆円、軍事費=防衛費10兆円、地方交付税交付金22兆円 合計93兆円で、軍事と社会保障を除くその他の政策支出は合計で年間23兆円です。
ところがこれに補正予算が加わります。20年度から23年度の4年間に補正予算に計上された財政支出は154兆円なので年間平均39兆円です。メディアや国民はこの補正予算にあまり注目しませんが、これこそが「利権財政支出の巣窟」であって、財務省と霞が関の官庁の利権政治勢力が毎年食いものにしているもので、これでは日本は良くなりようがないと述べます。
(「田久保・小川市長を猛攻撃」では)学歴詐称疑惑の田久保眞紀伊藤市長とラブホ疑惑の小川晶前橋市長の行為を擁護する考えはないものの、メディアが集中攻撃を続けていることには強い違和感があるとして、学歴詐称疑惑では小池百合子東京都知事の方がはるかにビッグネームであり、不倫疑惑では玉木雄一郎国民民主党代表の方がはるかにビッグネームであると 先ず指摘します。
そして田久保氏、小川氏と小池氏・玉木氏との間に違いがあるとすれば、それは政治権力に対する立ち位置の相違で、小池百合子氏、玉木雄一郎氏は既得権勢力の側の人間であるのに対して、田久保氏と小川氏は既得権勢力と対峙する側に軸を置いていることから、田久保氏と小川氏が執拗な攻撃を受け、小池氏や玉木氏は執拗な攻撃を受けていないという可能性があると述べます。
いずれにしても単に「田久保氏は悪い市長」という切り取り方は間違いで、メディアが伝えない「知られざる真実」を洞察することが重要だと指摘します。
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総裁選ハラスメントに辟易
植草一秀の「知られざる真実」 2025年9月29日
公共放送であるNHKが自民党の党首選に過大な時間を割いている。
自民党は衆参両院の過半数を大幅に割り込んでいる。一政党に過ぎない。
衆参両院で単独過半数を占有しているなら自民党の党首がそのまま首相に就任すると考えられるから報道に時間を割くのは順当だろう。
しかし、現在の自民は単独過半数に程遠い。党首選をこれだけ報道するのは自民党に対する利益供与。公共放送として歪んでいる。これは民放も同じ。自民党首選ハラスメント。
その自民党党首選に最大の影響力を発揮しているのが財務省。
政治の最大の機能、最大の権力は予算配分権。政治というのは端的に表現すれば法律制定と予算編成を主たる責務とする。法律と予算を執行するのが行政である。
国は1年間に100兆円程度の資金を支出する。GDPの2割近くのお金を配分する。巨大権力である。その予算編成を実質的に仕切るのが財務省。
財務省に巨大な権力が付与されている。そのために自民党の党首選でも財務省が強い影響を及ぼす。
その財務省が正義の存在なら問題はない。しかし現実は違う。財務省が諸悪の根源なのだ。
最大の問題は財務省が国民の利益を第一としていないこと。
財務省は財務省の利益を優先する。正確に言えば財務省の利益しか考えない。
これで日本の財政が歪む。日本の政治が歪む。
自己の利益だけを考えるのは与党勢力も同じ。政権与党と財務省が自己の利益のために予算を編成し、執行する。これが、日本国民が不幸になる主因。
100兆円の財政資金を国民の幸福増大のために配分すれば日本は良い国になる。
しかし、現実には100兆円の財政資金の多くが財務省と政権与党の利益のために使われている。そのために日本国民は不幸のどん底に突き落とされている。
自民党が党首選を実施するなら、各候補者がこの悪弊を根絶する提案を示すべきだ。
しかし、そのような提案を示す候補は一人もいない。
一般会計・特別会計歳出純計というデータをベースに現状を捉えると国の財政支出は次のような状況になっている。
社会保障支出 38兆円
その他政策支出 23兆円
軍事費=防衛費 10兆円
地方交付税交付金 22兆円
合計 93兆円
これは当初予算ベース。
ここに補正予算が加わる。軍事費は年間5兆円が突然年間10兆円に倍増されつつある。
軍事と社会保障を除くその他の政策支出は合計で年間23兆円。
ところが、補正予算で驚くべきバラマキが行われている。20年度から23年度の4年間に補正予算に計上された財政支出は154兆円。年間平均39兆円。
この補正予算が利権財政支出の巣窟になっている。
財務省及び霞が関官庁と利権政治勢力が年間39兆円もの財政支出を食いものにしている。
これだけの財政余力があるなら消費税減税など簡単に実現できる。
しかし、それはやらず「財源が足りない」と叫ぶ。自民党党首選の立候補者も財務省の説明ぶりを繰り返す。
これでは日本は良くなりようがない。そんな自民党党首選に公共電波が無駄に使われている。
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田久保・小川市長を猛攻撃
植草一秀の「知られざる真実」 2025年9月30日
学歴詐称疑惑の田久保眞紀伊藤市長とラブホ疑惑の小川晶前橋市長。両者の行為を擁護する考えはないがメディアが集中攻撃を続けていることには強い違和感がある。
学歴詐称疑惑では小池百合子東京都知事の方がはるかにビッグネーム。
不倫疑惑では玉木雄一郎国民民主党代表の方がはるかにビッグネーム。
玉木氏の場合は事実関係を認めたという違いはある。
問題はメディアの取り上げ方と執拗さ。小池百合子氏はカイロ大学が卒業を認めるような発表をしたことをメディアは報道自粛する大義名分にするが、小池氏が学歴詐称してきたことを裏付ける決定的ともいえる証拠が多数存在する。
そうなると、カイロ大学が虚偽を公表した疑いが強く存在する。その背景には日本政府とエジプト政府との間の金銭的な癒着関係があるとの推察も成り立ち得る。そのような癒着関係からカイロ大学が虚偽を公表したのなら、このこと自体が巨大スキャンダルになる。
メディアが真相を追求すべき重大事案になる。カイロ大学が発表したら、それで問題は解決するのか。その発表が真実でない疑いが十分に存在する。
小池百合子都知事が何らかの裏取引をしたのなら、それこそメディアが執拗に追及しなければならないテーマになる。
田久保市長は東洋大学を除籍になっていたことを公表した。しかし、田久保氏が正式に在籍していたのは事実。卒業と公表したことがあったのは事実で、これは真実とは異なる。しかし、このことを田久保氏は認めている。
小池百合子氏が本当はカイロ大学を卒業していないのに、カイロ大学を首席で卒業したと記述し、いまもカイロ大学卒業を公言し続けているとすれば、この行為の方がはるかに重大だ。
メディアはいわゆる「調査報道」を行い真相に迫るべきではないか。
小池氏とカイロで寝食を共にした人物が実名で名乗り出て、小池氏はカイロ大学を卒業していないことを証言している。当時、小池氏の家族を物心ともに支えた朝堂院大覚氏も記者会見を開いてカイロ大学卒業は虚偽であると証言している。
カイロ大学を卒業したことが事実であるなら小池氏はこれらの証言者に対して名誉棄損で刑事告発するべきだろう。しかし、小池氏は提訴していない。限りなく黒に近いグレーというのが現状だ。
メディアに田久保市長や小川市長を執拗に追及する熱量があるなら東京都知事の疑惑を厳しく追及するべきではないか。
田久保氏、小川氏と小池氏・玉木氏との間に違いがあるとすれば、それは政治権力に対する立ち位置の相違。小池百合子氏、玉木雄一郎氏は既得権勢力の側の人間。
これに対して、田久保氏と小川氏は既得権勢力と対峙する側に軸を置いている。
このことから、田久保氏と小川氏が執拗な攻撃を受け、小池氏や玉木氏は執拗な攻撃を受けていないという可能性がある。
こうしたバイアスは十分に想定できる。しかし、一般市民はこのような報道バイアスに気付かないことが多い。メディア情報に誘導されて「心証」が形成される。
メディアが小池百合子氏を追及しないから小池氏に対する心証を悪化させない。メディアが田久保氏、小川氏を厳しく追及するから田久保氏や小川氏に対する心証を著しく悪化させる。
メディアが連日連夜、小池氏の学歴詐称疑惑を追及し続ければ市民の小池氏に対する心証は一気に悪化するだろう。この事実認識が重要である。
伊東市では田久保市長が誕生する前に多くの不祥事が存在した。
前の市長は伊東市による不動産取得の際に実勢価格よりも高い価格で不動産を取得し、過大な支払金額の一部が市長に還流していたという事件で有罪判決を受けて服役した。
岡本倶楽部事件という巨大な詐欺事件があり、その当事者の岡本倶楽部主宰者が保有していた不動産を伊東市が取得したのだ。反社会的勢力が関与する事件だった。
田久保氏が掲げた新図書館建設反対の図書館建設予定地が件(くだん)の不動産なのだ。
また、田久保氏は大規模ソーラー建設計画にも反対の運動をしてきた。
さまざまなドロドロとした背景がある。単に「田久保氏は悪い市長」という切り取り方は間違っている。メディアが伝えない「知られざる真実」を洞察することが重要だ。
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「総裁選重要課題を全スルー」 でご高読下さい。https://foomii.com/00050
(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。