ハマスは3日、トランプが29日に提示したパレスチナ・ガザ地区に関する計画について、イスラエル人の人質全員の解放に同意し、「仲介者を通じ詳細を協議する交渉に直ちに入る用意がある」と表明しました。
イスラエルの人質の家族はネタニヤフに人質返還交渉に直ちに入るよう求めました。仲介国力タールの外務省は、トランプ氏の計画実施のため仲介国エジプトや米国との協議継続へ調整を始めたと明らかにしました。
トランプ氏はハマスの表明を評価し、イスラエルに対し、ガザ攻撃の即時停止を要求しました。
なおハマスの回答は、ガザ地区の将来的な統治、ハマスの関与などについて、トランプ氏の計画と明らかな違いがみられます。停戦後のガザの統治に関してハマスは、「パレスチナ人の国民合意に基づく独立したテクノクラートによるパレスチナの機関」にガザ統治を明け渡すとしました。ハマスは自らを「包括的なパレスチナの国民の枠組み」の一部だとし、その枠組みに「全責任をもって貢献する」と主張しました。
各国は停戦、ハマスの人質解放同意を一斉歓迎し、この機会をとらえ今こそ恒久的な停戦が達成されるべきだとしました。
イスラエルはこの数日間にもガザへの攻撃を緩めることはなく、ガザでは多数の死者やけが人が出ています。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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米提案のガザ計画 ハマス 人質全員解放に同意 詳細協議の用意
しんぶん赤旗 2025年10月5日
パレスチナのイスラム組織ハマスは3日、トランプ米大統領が9月29日に提示したパレスチナ・ガザ地区に関する計画について、イスラエル人の人質全員の解放に同意し、「仲介者を通じ詳細を協議する交渉に直ちに入る用意がある」と表明しました。ロイター通信が伝えました。
人質の家族は、イスラエルのネタニヤフ首相に人質返還交渉に直ちに入るよう求めました。仲介国力タールの外務省は、トランプ氏の計画実施のため仲介国エジプトや米国との協議継続へ調整を始めたと明らかにしました。
トランプ氏はハマスの表明を評価し、イスラエルに対し、ガザ攻撃の即時停止を要求しました。
イスラエル首相府は、人質解放へ向けトランプ氏の計画の第1段階を「直ちに実施する」準備をしていると発表。イスラエルのメディアは、同国の政治指導層が軍にガザ地区での攻撃を縮小するよう指示したと報じました。
トランプ氏の計画は、即時停戦、イスラエル人人質全員とパレスチナ人被拘束者の交換、イスラエル軍の段階的な撤退、ハマスの武装解除、ガザ地区の非軍事化、統治からのハマスの排除などを明記。アラブや欧州諸国の首脳が支持や前向きの評価を示してきました。
トランプ氏はハマスに日本時間6日午前7時までに回答するよう要求。同意しなければ「地獄が降りかかる」と脅していました。
ロイター通信によると、ハマスはトランプ氏の計画への回答で、自身の武装解除とガザ地区の非軍事化に同意するかどうかについて言及しませんでした。ハマス幹部は中東メディア、アルジャジーラに、イスラエルによるガザ地区占領が終わるまで武装解除しないと語りました。
ガザ保健当局によると、2023年10月以降、イスラエル軍は6万6000人以上を殺害してきました。
ハマスは米計画不同意部分も
イスラム組織ハマスは3日、トランプ米大統領が示した計画の「一定の主要な部分」(ロイター通信)を受け入れました。▽戦闘の終結 ▽イスラエル軍の撤退 ▽ハマスが拘束するイスラエル人の人質の解放とイスラエルが拘束するパレスチナ人の解放 ▽支援と復興の努力 ▽パレスチナ人のガザ地区からの追放に反対 ーなどです。
ハマスの回答は、ガザ地区の将来的な統治、ハマスの関与などについて、トランプ氏の計画と明らかな違いがみられます。
トランプ氏の計画では、パレスチナ自治政府の統治を展望します。暫定的に「政治色のないパレスチナ委員会が統治」し、その委員会をトランプ氏やブレア元英首相らによる「平和評議会」が監督します。また米国とアラブ諸国が連携し、「国際安定化部隊」を編成します。
この点についてハマスは「パレスチナ人の国民合意に基づく独立したテクノクラートによるパレスチナの機関」にガザ統治を明け渡すとしました。「国際安定化部隊」には言及しませんでした。
トランプ氏の計画は「ハマスはガザの統治に一切関与しないことに同意する」としています。しかしハマスは自らを「包括的なパレスチナの国民の枠組み」の一部だとし、その枠組みに「全責任をもって貢献する」と主張しました。
機会とらえ 今こそ停戦 ハマスの人質解放同意 各国一斉歓迎
しんぶん赤旗 2025年10月5日
パレスチナ・ガザ地区を巡りトランプ米政権が打ち出した提案について、イスラム組織ハマスが人質全員の解放で同意したことを国連や各国政府は一斉に歓迎しました。この機会を生かして停戦を実現するよう呼び掛けています。
あらゆる努力支援 国連事務総長
グテレス国連事務総長は3日、ハマスの声明を歓迎し、「ガザでの悲劇的な紛争を終わらせるため、すべての当事者はこの機会を捉えてほしい」と呼び掛けました。報道官を通じて声明を発表しました。
グテレス氏は、即時の恒久的な停戦、すべての人質の即時無条件の解放、人道支援の制約解除を改めて要求しました。「国連はこれ以上の苦しみを防ぐために、これらの目的に向けたあらゆる努力を支援する」と強調しました。
フレッチャー国連事務次長(人道問題担当)も同日の声明で、「国連は今回の機会をとらえて行動する用意と意欲がある」と表明。約17万トンの食料や医薬品などの人道支援物資の搬入準備ができていると明らかにしました。またイスラエルが支配している検問所を開放し、民間人や人道支援要員が安全に通過できるようにしなければならないと述べました。
和平へ決定的前進を 独仏英首脳ら
フランスのマクロン大統領は4日、「和平に向けて決定的な前進を実現する機会だ。ハマスの行動が遅滞なく続かなければならない」と語りました。「米国、イスラエル、パレスチナ、そしてあらゆる国際社会のパートナーとともに、フランスは国連での努力において自らの役割を全面的に果たす」と表明しました。
英国のスターマー首相は4日、「戦闘を終わらせ、人質を祖国に帰し、人道支援を必要としている人々に届ける機会が訪れた」「すべての当事者に合意したことを遅滞なく実施することを求める」と述べました。
ドイツのメルツ首相は4日、「(戦闘開始から)ほぼ2年が経過して、今回は平和に向けた最高の機会だ。ドイツは関与し続ける」と述べました。また「人質は解放されねばならない。ハマスは武装解除し、戦闘は直ちに停止しなければならない」と語りました。
協議継続へ調整 中 東
カタール外務省の報道官は4日、X(旧ツイッター)で、ハマスの声明を歓迎し、トランプ大統領が示した案についてエジプトや米国と協議を継続するために、調整を始めたと明らかにしました。
エジプト外務省は4日の声明で、「前向きな展開』を希望するとし、すべての当事者に計画を実行するよう訴えました。ガザ地区での恒久的停戦に合意できるよう、アラブ諸国、米国、欧州諸国とあらゆる努力を行うと表明しました。
永続的和平を確信 トランプ米大統領
【ワシントン=時事】トランプ米大統領は3日、自らが提示したガザ案に関し、イスラム組織ハマスが人質全員の解放で合意したことを歓迎しました。SNSで「彼らが永続的な和平を受け入れる用意があると確信した」との見解を示しました。
トランプ氏はSNSへの投稿で、イスラエルに「直ちにガザ攻撃を停止すべきだ」とも要求し、「そうすれば人質を安全かつ迅速に救出できる!」と説明しました。「これはガザだけの
問題ではない。中東で長年必要とされてきた和平の問題だ」とも強調しました。
トランプ氏は投稿に加えて、SNSでビデオメッセージも公開。「きょうは特別な日だ」と語った上で、カタール、トルコ、サウジアラビア、エジプト、ヨルダンの支援に謝意を示しました。このほか「最終的な合意を確実に実現しなければならない」と呼び掛け、既に詰めの協議に入ったことも明らかにしました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。