2025年10月9日木曜日

高市執行部 古い自民そのまま 党役員人事 改憲右派 裏金議員が復活

 自民高市新総裁7日発足させ新執行部は、麻生太郎氏に近いメンバーと日本会議国会議員懇談会のメンバー重用するものとなりました。すなわち副総裁に麻生太郎氏、幹事長に同派の鈴木俊一、総務会長に有村治子を充て政調会長に小林鷹之氏、選対委員長に高市氏の推薦人代表古屋圭司が就任しました。ほとんどが選択的夫婦別姓に反対する神政連国会議員懇談会の会員です。
 先の参院選では政府与党議員の「政治とカネ」問題に国民の厳しい目が向けられて自民党は惨敗しました。それなのに高市氏は裏金問題はケリがついた事柄だとして、2728万円の裏金が明らかな旧安倍派幹部萩生田光一氏を幹事長代行に起用しました。一体何を考えているのか、大いに甘い感覚というしかありません。
 いずれにしても麻生氏が牛耳る政権であれば古色蒼然とした自民党政治が継続されるだけの話で、そんなものを国民が支持する筈がありません。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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〝安倍回帰″深まる矛盾 自民党新執行部
                       しんぶん赤旗 2025年10月8日
 自民党の高市早苗総裁が7日に明らかにした新執行部は、改憲に前のめりの右翼的立場が際立つ人たちです。さらに、裏金議員を登用するなど、国民の裏金事件への怒りを無視する新執行部です。改憲に執着し、靖国神社参拝も強行した安倍政治への回帰といえる人事では、国民との矛盾は深まるばかりです。

改憲シフト -協会と癒着
 自民党の新執行部は改憲・右翼シフトといえる異様体制となりました。
 高市総裁は、過去の植民心支配・侵略戦争を美化す役割を果たす靖国神社を閣僚時代にも参拝し、改憲・右翼団体の日本会議と体の議員連盟「日本会議国会議員懇談会」の副会長を務めるなど、極右的主張を繰り返しています。「戦後レジームからの脱却」を掲げ、改憲を主張し、首相として靖国神社参拝を強行した故安倍音三元首相の直系です。
 幹事長代行に起用された萩生田光一元政調会長は安倍首相の側近であり、「日本会議国会議員懇談会」政策審議副会長を務めてきた改憲勢力の筆頭です。
 有村治子総務会長は、同懇談会の政策審議副会長を歴任。今年8月15日、「日本会議」の会長らが発起人の「大東亜戦争終戦80年国民委員会」が靖国神社境内で開いた集会にも参加しています。
 古屋圭司選対委員長は同懇談会の現会長であり、自民党の憲法改正実現本部長です。今年5月の改憲派集会では「(衆参の憲法審査会で)議論段階ではなく、憲法改正の具体的条文を取りまとめるための起草委員会をつくって作業を進める」と強調しました。小林鷹之政調会長も、自衛隊明記や緊急事態条項創設など改憲を強硬に主張しています。
 霊感商法や高額献金などで多くの被害者を出してきた統一協会(世界平和統一家庭連合)との関係も深刻です。
 小林氏は、自民党の調査でも統一協会の関連団体との接点があったと認定されています。協会関連団体の大会に祝電を送ったり、信者らのイベントであいさつしたりしています。
 萩生田氏も統一協会べったりです。協会主催の会合出席や選挙支援を受けており、関連団体に会費を支出。2013年に安倍晋三首相(当時)が統一協会会長と自民党総裁室で面談した際、同席していたと報じられています。

裏金の象徴 萩生田氏要職に
 共同通信が調査し、各紙が報じた世論調査(4~6日)では、自民党裏金事件に関与した議員の党役員や閣僚などの要職起用に反対が77・5%にものぼりました。
 ところが、自民党の高市早苗総裁は党役員人事で、201822年の5年間の裏金額が2728万円にのぼる萩生田光一元政調会長を幹事長代行に起用しました。
 自民党の裏金づくりは、パーティー券収入の政治資金収支報告書への不記載という形で行われた悪質な組織的犯罪行為です。その中心は旧安倍派であり、萩生田氏は旧安倍派幹部「5人衆」の人でした。萩生田氏は「会計の詳細まで把握していなかった」と言い逃れに終始。裏金事件を理由に昨年の衆院選で自民党非公認となりましたが、党本部から2000万円を支給されるなど、裏金事件の象徴的人物です。
 7日の新役員就任会見で、鈴木俊一幹事長は、萩生田氏の幹事長代行起用について問われ、「選挙で有権者の審判を受けた」などと言い訳しました。しかし、選挙後も、萩生田氏は政策秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で略式起訴されており、いまだ説明責任を果たしていません。
 また、鈴木氏は同日の会見で、旧安倍派幹部で裏金事件に関与した下村博文政調会長が次期衆院選の公認候補予定者となる東京11区支部長に選任したことが適当かと問われても、「党として正式に協議して決定した」と開き直りました。
 昨年の衆院選や今年の参院選で自民党が少数与党に追い込まれたのは、裏金事件の無反省ぶりに対する国民の怒りがありました。
 それにもかかわらず、新たに就任した小林鷹之政調会長は会見で裏金問題にはまったくふれませんでした。自ら裏金問題を「自民党に対する不信の底流」と総括しながら、国民の声に一切耳を傾けない末期的状況です。

連立拡大狙うも 与党に亀裂
 高市新体制になっても、衆参とも自公与党が過半数割れしている現実は変わりません。このため、高市氏は総裁選で「連立拡大を目指す。首班(首相)指名までにできるように精いっぱい努力したい」と連立拡大に躍起になっています。国民民主、日本維新の会といった「補完勢力」に加え、参政党など極右・排外主義勢力との「反動ブロック」が形成される危険がかつてなく高まっています
 自民が主眼に置いているのは国民民主です。高市氏が5日夜、同党の玉木雄一郎代表と極秘会談したとの報道も出ています(「朝日」7日付)。玉木氏も4日、岐阜市で記者団に「(高市氏と)基本政策の一致点はかなりある」と表明。「スパイ防止法」制定でも共鳴しています。しかし、同党内には「連立に入れば自民党にのみ込まれる」との懸念もあり、見通しは立って
いません。
 一方、当初は連立拡大の大本命だった維新は小泉進次郎氏が総裁になることを前提にしていたため、混迷に陥っています。参政党の神谷代表は高市氏について「政策が近く、期待を持って結果を受け止めている。国益にかなう政策には協力を惜しまないつもりだ」とのコメントを発表していますが、当面の連立入りは否定しています。
 注目は、与党・公明党との関係です。「公明新聞」は5日付で、高市新総裁選出のニュースを1面トップで報じませんでした。公明党の斉藤鉄夫代表は7日、高市氏と会談。これに先立ち斉藤氏は、4日の高市氏との会談で、政府要人による靖国神社参拝や「外国人政策」の厳格化に慎重な認識を示し、「党の支持者から大きな懸念がある。その解消なくして連立政権はない」と伝えたと言います。
 国民の要求との矛盾はいっそう深刻です。総裁選で高市氏は野党との協議を意識し、立憲民主党が主張する「給付付き税額控除」、国民民主が掲げる所得税の課税最低ライン「年収の壁」引き上げなどを掲げました。しかし。各紙が報じた共同通信の世論調査(4~6日)では、望ましい物価高対策は「消費税減税」が46・2%と最多です。
 自民が連立拡大に躍起になっているのは、衆参ともに少数に追い込まれているという弱さ″から。この機に乗じて政権入りを狙う各党も、国民世論を気にして、そう簡単に連立入りできない状況です。
 今、求められているのは、連立拡大による自民党政権の延命ではなく、「財界・大企業中心」「アメリカいいなり」の自民党政治そのものを大本から変革することです。高市新総裁就任で増した反動的政治の危険に抗して、新しい国民的・民主的共同を広げ発展させていくことがいよいよ求められています。