2025年11月24日月曜日

高市政権発足1カ月「戦争国家」づくりへ暴走 軍事費2%前倒し表明 「台湾有事」参戦発言も

 1021日に高市政権が発足してから1カ月がたち、しんぶん赤旗が掲題の記事を出しました以下に紹介します。
 この1ヵ月で明らかになったのは、政権のむき出しの対米従属と過去の政権が維持していたルールさえ平然と踏みにじっての「戦争国家」づくりへ暴走する姿勢です。これほど剥き出しの戦争国家指向と民政への圧迫を意に介さない姿勢は異常というしかありません。
 高市氏は一部の高市支持者に満足感を与えることを重視したのでしょうが、それにしてはあの「台湾有事」発言はあまりにお粗末(文章として不完全)で、一国の首相が口にすべきものではありませんでした。
 その結果、中国からの「嫌がらせ」が次々と降り注ぐことになり、日本の受ける経済的損失はあまりにも莫大です。もしもレアアースが対日輸出禁止にでもなれば、軍事用品以外にも多用されているのですから、一体どうしようというのでしょうか。

 ところでNHKは昨夜、華僑向けの通信社「中国新聞社」が21日に「日本はすでに代価を払った」というタイトルの記事をネット掲載し、話題となっていると報じました。
 記事は、中国から日本に向かう団体旅行がキャンセルされたり、日中間のイベントが中止になったりするということを細かく例を挙げて伝え、「中国側の措置によって日本がすでに報復を受けている」としたうえで、高市総理の今後について、中国の専門家の話として「台湾に関する誤った発言は撤回しないかもしれないが、中国のレッドラインへの挑戦を避けるようになる」か、「中国への挑発的行動を続け、支持率を低下させ『短命の総理大臣』になる」という2つの可能性があるという見方を伝えています。
 高市氏がやせ我慢で自分の発言を撤回しないのだと見られる時点でもはや喧嘩にもなりません。とはいえ中国側の報復が短期間で終わるとは思えないので、『短命の総理大臣』であることを願うのみです。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「戦争国家」づくりへ暴走 軍事費2%前倒し表明 「台湾有事」参戦発言も
                       しんぶん赤旗 2025年11月23日
 10月21日に高市早苗政権が発足してから1カ月がたちました。明らかになったのは、高市政権のむき出しの対米従属と、過去の政権が維持していたルールさえ平然と踏みにじっての「戦争国家」づくりへ暴走する姿勢です。

高市政権発足1カ月

 高市政権「戦争国家」づくりの1カ月
  10月21日 高市早苗内閣発足
     24日 首相が所信表明演説で、軍事費の国内総生産(GDP)2%への引き上
         げと安保3文書改定の前倒しを表明
     28日 日米首脳会談で「防衛力強化」を表明
   11月7日 首相が衆院予算委で「台湾有事」=「存立危機事態」発言
     11日 首相が衆院予算委で、非核三原則堅持を明言せず
     20日 自民党が安保3文書改定の前倒しに向けた議論を開始

 高市氏は所信表明演説(同24日)で、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への引き上げとともに、安保3文書改定を、前倒しで2026年中に行うと表明。参院選では公約していない方針を、トランプ氏の来日前に国会で「対米公約」したのです。実際に、その4日後の日米首脳会談で、これらの方針をトランプ米大統領に伝えました
 防衛省は高市氏の所信表明と同じ日に、3文書改定に向けた「防衛力変革推進本部会議」を開催。11月20日、自民党も3文書改定に向けた議論を開始しました。米国のさらなる要求に応えるための軍事費のGDP比2%から3%への引き上げが最大焦点となります。
 あわせて、武器輸出のルール「防衛装備移転三原則」の改定にも着手。「殺傷兵器」の輸出を制限する「5類型」の撤廃による本格的な武器輸出拡大を狙っています。

 高市首相の危うさを如実に示したのが、「台湾有事」は日本が集団的自衛権を行使し、米国とともに中国への武力行使が可能となる「存立危機事態」に該当すると答弁(7日、衆院予算 歴代政権は、日本が武力行使できるのは日本が「急迫不正の侵害」を受けた場合に限られ、海外での他国の戦争に参戦する集団的自衛権の行使は違憲だとしてきました。その憲法解釈を百八十度変更したのが第2次安倍政権でした。安倍政権は安保法制を強行し、存立危機事態のさいの武力行使=集団的自衛権の行使を可能にしました。安保法制が高市首相の「台湾有事」=参戦発言の根拠になっています。
 政府は、中国による台湾の武力統一=いわゆる「台湾有事」が存立危機事態に該当するかどうかは明言せず、特定地域を明らかにすることを避けてきました。
 問題の答弁は、従来の政府見解からも逸脱した軽率なもので、外交上の失態そのものです。ところが、中国の日本への渡航自粛や水産物の輸入停止などの対抗措置に対して、小野田紀美経済安全保障担当相は「気にいらないことがあったらすぐに経済的威圧をしてくるところに対して依存しすぎる」のはリスクだとして、「依存リスクの低減」を主張(18日の記者会見)。さらに対立をあおる発言が与党内から繰り返されています。

非核三原則見直し検討
 日本の国是である「非核三原則」=「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」を敵視し、見直しを検討する動きも重大です。被災地や被爆者団体などから憤りの声が相次いでいます。
 高市首相は11日の衆院予算委員会で、安保3文書の改定方針を巡り、非核三原則を堅持するのかと問われ、「申し上げる段階ではない」と拒否しました。さらに、茂木敏充外相は21日の参院外防委員会で、日本共産党の山添拓政策委員長が、安倍晋三元首相から石破茂前首相まで「非核三原則を堅持する」と発言していたと指摘し、「引き続き堅持する」と明言することを求めたのに対し、「政策上の方針として堅持をしている」とだけ答え、今後堅持するとは答えませんでした
 首相はこれまで、自民党総裁選などで非核三原則の見直しを繰り返し主張してきました。昨年9月に出版した編著『国力研究』で高市氏は、安保3文書の一つ「国家安全保障戦略」の「非核三原則を堅持する」との文言を疑問視する持論を展開。非核三原則のうち「持たず」「作らず」は引き続き堅持するにしても、「持ち込ませず」については「守るのは、国民の命か、非核三原則か」という究極の事態に至った場合、「邪魔になることを懸念」して「削除して欲しい」と要請したと明かしています。
 国会が全会一致で決議し、歴代内閣が「堅持する」と引き継いできた非核三原則を一内閣の判断で変えることは許されません。非核三原則は見直しではなく法制化こそ求められます。

原潜保有にも前のめり
 原子力潜水艦の導入にも前のめりです。小泉進次郎防衛相は就任時の記者会見(10月22日)で、海上自衛隊が保有する潜水艦の動力に原子力を活用する考えがあるかと問われ、「あらゆる選択肢を排除しない」との見解を示しました。
 自民党と日本維新の会の連立政権合意書も、原潜導入の方向性を後押ししています。外交・安全保障分野では、長射程ミサイルを搭載し、「次世代の動力」を活用したVLS(長射程ミサイルを発射可能な垂直発射装置)搭載潜水艦の保有推進を明記しました。「次世代の動力」とは「長距離・長期間の移動や潜航を可能とする」ものだと説明しており、原子力が念頭にあることは明らかです。

 そもそもVLS搭載潜水艦は、他国への先制攻撃にもつながる敵基地攻撃能力を伴う「攻撃的兵器」に当たり得るもので、その導入は日本の「専守防衛」の原則と相いれません。その動力に原子力を活用することは、原子力基本法の「原子力の平和利用」の原則に真っ向から反します。