2026年4月23日木曜日

そんな「時」ではない 首相の改憲 前のめり姿勢に道理なし

 高市政権が発足して21日で半年になりました。
 12日の自民党大会で高市首相は憲法改定の発議について、「時は来た」「発議に何とかめどが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」「議論のための議論であってはならない。行うべきは決断のための議論だ」と述べ、「1年以内」にめどをつけるという期限付きの目標を打ち出し、体制面でも「改憲シフト」を鮮明にしました。高市氏は、期限を区切り人事で体制を固めるなど、あらゆる手段を通じてトップダウンで改憲を押し通そうとしています。
「立憲主義」の何たるかを知らない高市氏が、改憲にこれほどの執念を持つのは恐ろしいという他はありません。改憲の実現には当然多くのハードルがあります。条文の起草、国会提出、憲法審査会での審議を経て、発議には衆参両院で3分の2の賛成が必要となり、その後も国民投票で過半数の承認を得なければなりません。
 高市発言に対しては、自民党内からも「勇ましい発言だが1年では時間が足りない」といった否定的な見方があり、鈴木俊一幹事長も「憲法は国の基本法であり、スケジュールありきで進めることにはならない」と述べました。高市首相の姿勢は独断専行との批判を免れません。
 高市首相が9条改憲に前のめりになればなるほど、国民との矛盾は深まります。米国からホルムズ海峡への自衛隊派遣を要請され、国民の間では米国の無法な戦争に巻き込まれるとの懸念が高まり、軍事偏重で暮らしを守る有効な対策を打たない政治への不満も強まっています。
 共同通信の世論調査によると、自衛隊派遣のための改憲は「必要ない」が64%(対して原油供給不足に対する首相対応は「不十分」が49%)でした。
 国民は改憲を優先課題とせず、イラン戦争や首相の改憲策動を受け「戦争反対」「9条守れ」と訴えるデモや署名が広がっているのが実態です。
 9日の衆院憲法審査会で、自民は9条への自衛隊明記を主張し、「具体的な条文案の作成に入りたい」と提案しましたが、立憲民主党は「9条改憲および自衛隊明記改憲と、その条文起草委員会の設置に明確に反対する」と表明し、中道改革連合は、自衛隊の憲法上の位置づけを民主的統制の観点から深めるべきだと述べました
 衆院の2回目の審査会では、自民の9条改憲の主張もトーンダウン。次回からは緊急事態条項に関する集中討議を行いたいと提案しました。与党内でさえ合意形成が難しく、国民の反対の強い9条改憲を議論の焦点から外した格好です。
 このように、憲法審は早々に条文起草に着手できる状況になく、国民の間では改憲反対の世論が強まっています。自民党の運動方針のいう「車の両輪」は、思惑通りには進んでおらず、決して「時が来た」と言える状況ではありません。

 しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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そんな「時」ではない 首相の改憲 前のめり姿勢に道理なし 高市政権発足半年
                        しんぶん赤旗 2026年4月21日
 高市政権が発足して21日で半年が経過しました。衆院で圧倒的多数を占める巨大与党を形成。その数の力を背景に、強権的な政権運営が際立っています。なかでも憲法改悪を自らの最大の政治目標と位置づけ、改憲へとアクセルを踏み込んでいますが、思惑通りに進む見通しは立っていません。

自民内からも疑問視 発議の条件整わず野党も批判
「時は来た」「発議に何とかめどが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」-。12日の自民党大会で高市首相(党総裁)はこう述べ、憲法改定の国会発議について「1年以内」にめどをつけるという期限付きの目標を打ち出しました。昨年秋の所信表明演説での「在任中に」という表現から、さらに踏み込みました。
 自民党が掲げる改憲4項目は「自衛隊の明記」「緊急事態条項の創設」「合区解消」「教育の充実」。これらは、安倍晋三元首相が2017年に打ち出した「2020年に新憲法の施行を目指す」とする改憲宣言を背景に、18年に「たたき台素案」として取りまとめたものです。
 今回の高市首相の手法は、期限を区切って議論を一気に前に進めようとする点で、安倍政権のやり方を踏襲したものといえます。「議論のための議論であってはならない。行うべきは決断のための議論だ」と、結論ありきで検討の加速を呼び掛けています。
 さらに、高市首相は総選挙後の人事で、衆院憲法審査会長に古屋圭司前自民党選対委員長、与党筆頭理事に新藤義孝元総務相ら保守派のベテランを配置するなど、体制面でも「改憲シフト」を鮮明にしています。期限を区切り、人事で体制を固めるなど、あらゆる手段を通じてトップダウンで改憲を押し通そうとしています。

 しかし、改憲の実現には多くのハードルがあります。条文の起草、国会提出、憲法審査会での審議を経て、発議には衆参両院で3分の2の賛成が必要となり、その後も国民投票で過半数の承認を得なければなりません。いずれの段階も高い壁です。
 とりわけ現実的な制約となるのが国会情勢です。参院では依然として与党が少数で、発議に必要な3分の2を確保する見通しは立っていません。野党からは「改憲ありきで議論が進むことに危機感を持つ」(立憲民主党の水岡俊一代表、13日の会見)と強い批判が示されています。
 高市首相の来年の党大会まで″と期限を区切った発言には、自民党内からも「勇ましい発言だが1年では時間が足りない」「保守派をつなぎ留めるために、強気の発言をしただけだ」といった否定的な見方が出ています。鈴木俊一幹事長も13日の会見で「憲法は国の基本法であり、スケジュールありきで進めることにはならない」と発言。高市首相の姿勢は独断専行との批判を免れません。
 そもそも、憲法は国家権力を制約する最高法規で、その改定には幅広い国民的合意が不可欠。憲法尊重擁護義務を負う首相自らが期限を区切り、結論ありきで議論を急ぐ手法は、立憲主義の根幹を揺るがすものだと言わざるを得ません。

9条守れの世洽拡大 反対世論の影響受ける憲法審
 高市首相の改憲の本丸は9条です。2月の衆院選では、自衛隊を「実力組織として位置づけるためにも、当たり前の憲法改正をやらせて」と呼び掛けました。
 自民党結党70年の「新ビジョン」は、厳しい安全保障環境のもとで改憲が「死活的に求められている」と強調。9条改憲を念頭に改憲実現へ党の総力を結集する方針を打ち出しました。
党の2026年運動方針も、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を設置し、改憲原案の国会提出を目指すと明記。「国会での具体的な憲法論議」と「国民の理解の深化」を〝車の両輪″と位置づけ、強力に推進していくとしています。
 しかし、高市首相が9条改憲に前のめりになればなるほど、国民との矛盾は深まります。米国からホルムズ海峡への自衛隊派遣を要請され、国民の間では米国の無法な戦争に巻き込まれるとの懸念が高まり、軍事偏重で暮らしを守る有効な対策を打たない政治への不満も強まっています
 共同通信が公表した世論調査(4、5日実施)結果によると、自衛隊派遣のための改憲は「必要ない」が64%原油供給不足に対する首相対応は「不十分」が49%でした。国民は改憲を喫緊の優先課題とせず、むしろ、イラン戦争や首相の改憲策動を受け、「戦争反対」「9条守れ」と訴えるデモや署名が広がっています。
 改憲原案の発議の場となる憲法審査会の議論の状況も、9条改憲が一筋縄ではいかないことを示しています。
 自民党が衆院選で3分の2以上の議席を獲得して以来初となる9日の衆院憲法審査会で、自民は9条への自衛隊明記を主張し、「具体的な条文案の作成に入りたい」と提案。日本維新の会は、9条2項の削除と国防軍の明記を訴えて速やかな条文起草委の設置を求め、国民民主党も起草委設置が必要だと強調しました。
 一方、引き続き少数与党の参院の憲法審(15日)では、自民は条文起草に言及しませんでした。9条改憲の議論を前に進めたいと述べるものの、参院で特に深めたいテーマは合区解消だと説明。改憲を巡る衆参の温度差が顕在化しました。
 立憲民主党は「9条改憲および自衛隊明記改憲と、その条文起草委員会の設置に明確に反対する」と表明。衆院の審査会(9日)で中道改革連合は、自衛隊の憲法上の位置づけを民主的統制の観点から深めるべきだと述べていましたが、立民は中道と異なる9条護憲の姿勢を打ち出しました。
 参院審査会の翌日に開かれた衆院の2回目の審査会では、自民の9条改憲の主張もトーンダウン。次回からは緊急事態条項に関する集中討議を行いたいと提案しました。与党内でさえ合意形成が難しく、国民の反対の強い9条改憲を議論の焦点から外した格好です。
 国民民主も、首相が言うように来春までに発議のめをつけるには「9条改正に安易に手をつけない方がいい」と主張。期限を考慮すれば、発議に結びつく「最有力候補」は緊急事態条項だとして、その集中討議を求めました。
 このように、憲法審は早々に条文起草に着手できる状況になく、国民の間では改憲反対の世論が強まっています。自民党の運動方針のいう「車の両輪」は、思惑通りには進んでおらず、「決して「時が来た」と言える状況ではありません


            高市首相の改憲策動~半年の歩み~
2025
   10月21日 高市政権発足
     24日 臨時国会の所信表明演説で「在任中」の憲法改定に向けた国会発議を訴え
2026
   1月5日 年頭記者会見で、憲法改定を重要課題の一つに位置づけ、「立ち止まっ
       ている暇はない。政治のリーダーシップを発揮する年に」と表明
    19日 記者会見で衆院解散の意向を表明。「国論を二分するような大胆な政策」
       に挑戦するとし、憲法改定など長年の課題に取り組む考えを強調
    23日 通常国会冒頭に衆院を解散
    27日 総選挙公示。第一大声で、憲法審査会委員長ポストを野党が握る現状に不
       満を示し、「奪還」へ与党過半数確保を訴え
   2月2日 総選挙期間中の演説で、「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか」
       「実力組織として位置づけるためにも、当たり前の憲法改正もやらせて」と
        9条改憲を呼び掛け
    18日 第2次高市政権発足。記者会見で、国会発議の早期実現と国民投票に向け
       た環境整備に取り組むと表明
    20日 特別国会の施政方針演説で、「国の理想の姿を物語るものが憲法」と持論
       を展開。国会発議の早期実現に期待を表明
       衆院憲法審査会長に古屋圭司前自民党選対委員長、与党筆頭理事に新藤義孝
       元総務相を起用。「改憲シフト」が鮮明に
    4月12日 自民党大会での演説で、「時は来た」「改正の発議について何とかめどが
       立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」と発言