2013年1月9日水曜日

防衛予算が11年ぶりに増額へ


安倍政権になって2013年度の防衛予算が11年ぶりに増額(1,200億円)になりそうです(概算要求額は約47,700億円)。
野田前政権下で昨年9月に行われた概算要求では前年度比6,200億円減であったというので、差引7,400億円の増額になります。増額の理由は自衛隊員の増員のほか、尖閣列島をはじめとする領土防衛強化のための装備品購入などということで、やはり尖閣列島の雲行きが恰好の口実になっています。 

尖閣列島周辺での漁業は、それまでは日中の漁船同士がその都度折り合って平和共存を果たしていたのに、菅政権になって突然日本側が中国漁船の船長を逮捕し、「尖閣列島問題を棚上げするという日中間の合意は存在しない」と、前原国交相(当時)が鄧小平氏の棚上げ提言を否定したのがことの始まりで、野田政権下で尖閣列島を国有化したことが、さらに中国の怒りに火を点けました。その点で民主党政権の責任も決して小さくはありません。 

安倍政権は民主党政権下で策定した防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画(中期防)を凍結し、新大綱や新計画については「夏の参院選前には骨格を固める」としています。
軍備拡大の安倍カラーがこれからドンドン発揮されていくのであれば、それこそ『財政の健全化』の上でも、民生への圧迫の点でも大変な問題となります。 

防衛計画の大綱> 政府が定める長期的な防衛力の整備、維持、運用に関する基本指針。これに基づき中期防衛力整備計画(中期防)で詳細な部隊規模や経費を明示する。大綱は1976年に初めて策定され、95年と2004年、10年に改定された。現行大綱は沖縄・南西諸島などで警戒監視活動を強化し、多様な事態に機動的に対処する「動的防衛力」の構築が柱。(東京新聞201318日付記事より 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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防衛安倍色鮮明 11年ぶり予算増へ
 東京新聞 201319 

 防衛省は2013年度予算の概算要求で、12年度より約1,200億円、26%増の約47,700億円を計上した。認められれば、防衛予算は11年ぶりの増額になる。安倍晋三首相は、就任後はタカ派的な言動を抑え、経済政策を最優先にしているが、防衛分野では「安倍カラー」が鮮明になった。(生島章弘) 

 防衛予算の概算要求が増えた理由は。
 自民党が衆院選で、自衛隊の人員や装備、予算の拡充を訴え、新たに盛り込まれたからだ。沖縄県・尖閣諸島など領土をめぐる緊張の高まりを受け、安倍晋三首相は「日本の領土、領海は断固として守る」と繰り返してきた。政権を取ったことで、従来の概算要求を白紙にし、公約を実行に移した。米国の新型輸送機MV22オスプレイの購入を検討するための調査・研究費八百万円は象徴的だ。 

 なぜ防衛予算は減り続けたのか。
 国の借金が膨らみ、社会保障費が年々増えていることが大きい。当初予算の比較で防衛予算が減り始めたのは、防衛庁時代の03年度。2000年代初めは49,000億円台だったが、12年度は46,500億円と、ピーク時を3,000億円ほど下回る規模だ。民主党政権下で昨年9月に行われた13年度の概算要求では、こうした流れをくみ、前年度比6,200億円減に抑えていた。 

 予算増額は、首相が改憲で実現を目指す「国防軍」への布石か。
 防衛省は、北朝鮮によるミサイル発射や尖閣を含む南西諸島の防衛など、目の前の課題に素早く対応する体制を整備するためだと説明している。 

 ただ、首相は集団的自衛権行使のための憲法解釈変更に意欲を示し、政府は年内にも「安倍カラー」を反映した新たな防衛計画の大綱と、中期防衛力整備計画を策定する見通しだ。今回の予算増額が直接、国防軍に結び付くわけではないが、自衛隊の役割を大きく拡大する第一歩になる可能性は否定できない。