2013年1月5日土曜日

再び『自助』を強調する安倍政権


 安倍政権は公共事業の大々的な拡大を目指す一方で、社会保障費は出来るだけ切り詰めるべく種々画策しています。しかも狡猾にも参院選に悪影響が出ないようにと、保障費引き下げや負担のアップは全て秋以降に行うようにしているということです。 

 特に生活保護費については、総額を抑制・削減するために支給額を1割も引き下げようとしています。このところ生活保護費受給者数が年々最高値を更新しつつありますが、それは社会的要因で貧困化が進んでいる現況下では極めて当然の現象です。しかも日本では税の再分配に問題があって、諸外国とは異なり、再分配の前後で相対的貧困率が全く改善されないという異常な状態にあります(ユニセフの指摘)。
そういうことを考慮することもなく、只々 総額を抑制するためにいきなり1割もカットするというのは言語道断です。 

そもそも自民党は社会保障を「自助の補完」と位置づけて、まず自分と家族による「自助」を基本とし、それを国民同士の「共助」で補い、それでも困窮している人にだけ「公助」で対応しようという考えですが、それ自体 憲法がうたっている「健康にして文化的な最低限度の生活をする権利」を実現するという国の責任を放棄するものです。 

    しんぶん赤旗に“自助を掲げて社会保障の変質を狙う安倍政権“とする記事が載りましたので紹介します。
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2013内政展望 「自助」掲げ変質狙う安倍政権
                                   社会保障・教育守る年
しんぶん赤旗 201314 

 自民、民主、公明3党が進める「税と社会保障の一体改革」路線。「社会保障は自助が基本」という自民党政権で、この路線の加速、社会保障の解体がすすむ恐れがあります。しかし、消費税を増税しながら社会保障を切り捨てるやり方は、国民の怒りを広げざるをえません。(西沢亨子) 

医療・介護縮小 国民会議で議論
 民自公3党がつくった「社会保障制度改革国民会議」は821日までに結論を出すとされています。そこでの議論が焦点の一つです。
 すでに3党は、医療・介護についての保険範囲の縮小を議題とすることで合意。▽風邪などの「軽い」病気や高度医療、「薬屋で自分で買えるような薬」とされたものを保険から外す▽軽度者への介護サービスを保険から外す▽終末期医療の見直し ― が狙われます。 

世論をおそれて先延ばしの姿勢
 一方、世論を恐れる安倍政権は、国民負担増の実施の多くを7月の参院選後に先送りする姿勢です。
 狙っている7074歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げ、高校授業料無償化への所得制限導入の決定は、2014年に延ばす方向です。昨年秋の衆院解散のどさくさに通した年金の25%削減は、実施を10月にしました。
 消費税増税とあいまった、これらの社会保障改悪は国民生活に激痛を与え、日本経済も破壊します。実施先延ばしのごまかしを広く国民に明らかにし、消費税に頼らない社会保障拡充の道を示して、参院選で自公両党に審判を下すことが必要です。 

保護費削減狙う 国の責任を放棄
 「自助」を振りかざす安倍政権は、1月中に編成する13年度予算案で生活保護費引き下げを狙います。田村憲久厚生労働相は就任後の会見で引き下げを明言しました。同時に、「現内閣が弱い立場の人に厳しいイメージになっちゃう」と世論を気にしています。
 生活保護費の引き下げは、国が国民に保障する最低生活ライン(ナショナル・ミニマム)の切り下げです。最低賃金や課税最低限、国民健康保険料(税)の減免、保育料などに影響します。賃金低迷は「デフレ」からの脱却も困難にします。 

 社会保障切り捨ては、社会保障を「自助の補完」とする自民党の「基本理念」に基づきます。自分と家族による「自助」が基本で、それを国民同士の「共助」で補い、それではどうしても対応できない困窮状況の人にだけ「公助」で対応するという考え。社会保障に対する国の責任を放棄するものです。
 これでは何のために国があり、国民は税金を納めているのかわかりません。

 自民党の考えでは、“お恵み”として救貧策がとられた時代へ逆戻りします。貧困は個人の責任によらない社会的要因で生じます。だからこそ、憲法25条が国民全てに生存権を保障し、国の責任で社会保障が進んできたのです。社会保障の変質を許してはなりません。 

教育の反動化に立ち向かう共同
 総選挙公約に、▽教職員統制を強める「新教育3法」▽教科書検定基準の抜本見直し▽教育制度の「複線化」▽飛び級導入―など教育への統制と競争強化を掲げた自民党。
 教育基本法を改悪した安倍晋三首相のもと、教科書内容への圧力を公言する下村博文氏を文科相にあて、「公約実現」の布陣をしいています。
 統制と競争の強化は教員の多忙化や子どものストレスを招き、現場を困難にするだけです。幅広い共同で教育の自主性を守る運動を新たにするときです。