2013年1月14日月曜日

自民党改憲案は生活保護や年金を削る狙い



自民党の憲法改正草案の第24条には、「家族は、互いに助け合わなければならない」という極めて違和感を持つ条文があります。現行憲法には確かに三大義務として労働・教育・納税の義務がうたわれていますが、それは「それなくしては国家が存立し得ない」からであって誰もが納得できるものです。
「家族は、互いに・・・」の条文はそれらとは異なるもので、そんな徳目のようなものを憲法に盛り込むとは、憲法の主旨をはき違えているという批判が当初からありました。そして事実起草者には立憲主義の認識がなかったことがその後明らかになりました。 

 それはともかくとして経済アナリスト森永卓郎氏は、上記の家族条項を「要するに、生活保護や年金などの社会保障を国に求めず、家族が面倒をみろと明言しているのだ」と指摘しました。

同氏は消費増税に対しても「結局、やっていることは金持ちの減税と庶民の増税。1930年代、ヒトラーが出てきた時代とものすごく似ていて、非常に危険だ」と批判した論客ですが、安倍首相はやがて国民に痛みを強いる冬の時代を作るだろうと警告しています。 

 以下にNEWS ポストセブンに載った森永卓郎氏の批判を紹介します。
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安倍自民の憲法改正案は生活保護や年金削る狙い
 NEWS ポストセブン 2013113
(週刊ポスト2013125日号) 

 安倍自民党が提示した憲法改正草案の24条には、「家族は、互いに助け合わなければならない」という条文が追加されている。わざわざ憲法に書くようなことかと疑問をもつ内容だが、実はちゃんと意味がある。要するに、生活保護や年金などの社会保障を国に求めず、家族が面倒をみろと明言しているのだ。

 自民党は高校の無償化や高速道路の無料化、子ども手当(児童手当)の削減を検討しており、今後、家庭負担の大幅増が見込まれる。この改正案には、憲法を改正したら社会保障をバッサリ切る狙いが隠されている。
 安倍首相がやろうとしているのは、小さな政府を目指す小泉構造改革路線の継承である。

 実は小泉元首相も安倍氏と同様に、就任当初は金融緩和を実施していた。一時的に景気を浮揚させて国民の支持を取り付け、財政のパイを大きくした後に、「痛みに耐えろ」と財政構造改革に突き進んだ。その結果、貧富の格差が拡大したのだ。

 安倍首相が力点を置いている景気拡大という名のバラマキは、その後にやってくる厳しい冬の時代を受け入れさせるための撒き餌なのである。