2013年1月31日木曜日

原発再稼働の動きが・・・


 安倍首相は30日の衆院本会議で、民主党政権がまとめた2030年代に原発ゼロを可能とする「革新的エネルギー・環境戦略」について、「具体的な根拠を伴わないものなので見直して責任あるエネルギー政策を構築する」と表明しました。

 また米原子力大手ウエスチングハウス(WH)の最高経営責任者は29日、「日本の原発は年内に2基の稼動が再開する可能性があり、いずれ、すべてではないが多くが再稼働するだろう」と述べたということです。WHは現在東芝の傘下なので、東芝を通じるかして政府筋からの情報を得たものと思われます。 

 ひところ大いに新聞紙面を賑わせた活断層の問題については、敦賀原発と完成間近の大間原発は活断層を理由に(再)稼働させないことにし、その代わりにその他の原発は再稼働させるというのが政府・原子力ムラの戦略だと、元原子力安全委員会専門委員の武田邦彦教授は述べていましたが、それがどうも真実味を帯びてきました。 

 一方原子力規制委員会は22日に、「直下に活断層が見つかっても、コンピューターによる解析で安全が確認できれば運転を認める」という原案を示して批判されましたが、29日に再提出した骨子案では、活断層を「40万年前以降の活動が否定できない断層」としていたのを、再び従来通りの「12万~13万年前」に戻して限定的に定義したということです。

 注目の大飯原発地下の活断層についてはまだ結論は出ていませんが、規制委は当初は(一般論として)「活断層の疑いが否定できなければ」再稼働はできないとしていたのに、いつのまにか「全員一致でなければ活断層とは認めない」の方向に傾いている感じがします。
 激甚な災害を引き起こしてしまった反省から設立された筈の規制委員会ですが、一体頼りに出来るのかどうか早くもあやふやになってきました。 

 以下に関係の記事を紹介します。
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日本の原発、段階的に稼動再開の見通し=米原子力大手CEO
ロイター通信 2013 01 30 

[プラハ 29日 ロイター] 東芝傘下の米原子力大手ウエスチングハウス(WH)のダニエル・ロデリック最高経営責任者(CEO)は、日本政府が国内原発の稼動を段階的に再開するとの見方を示した。
新政権の関係者や顧客と話をした結果、国内のムードが変わったと感じているという。プラハで記者団に述べた。

同CEOは「日本の原発の稼動再開をかなり楽観している。すべてではないだろうが、多くが再開されるだろう」と発言。年内に2基の稼動が再開する可能性があり、来年以降も再稼動する原発の数が増えるだろうとの見方を示した。

同CEOは「日本国内を見渡せば、準備が整っていることがわかる。安全向上に向けた措置が多数導入されており、津波対策も施されている」と発言。
「まだ時間はかかるだろうが、福島原発の事故の真相が明らかになり、ムードがかなり大きく変わった」と述べた。

政府は昨年12月、3年以内に全原発の再稼働の可否を判断する考えをあらためて示した。
 

消えた「40万年前」 規制委 活断層の定義後退
東京新聞 2013130 

 原発の設計で想定する活断層は、これまで通りの「12万~13万年前以降」に動いた断層なのか、より厳しい「40万年前以降」なのか-。地震や津波に対する原発の新しい安全基準を検討してきた原子力規制委の専門家チームは、29日の会合で骨子案を決めたものの、活断層の定義という重要な部分で結論を積み残した。 (大野孝志) 

 規制委は、活断層は「40万年前以降の活動が否定できない断層」と定義し、危うい断層を見逃さない姿勢を強く示す考えで、今回の骨子案でも明記される見通しだった。
 ところが、出てきた案は、基本的には従来通りの「12万~13万年前」のまま。上の新しい地層が残っておらず、過去の断層活動がはっきりしない場合に限り「40万年前以降までさかのぼって、地形や地質を調べる」とし、後退とも受け取れる内容だった。

 この日の会合で、名古屋大学の鈴木康弘教授(変動地形学)がこの問題を取り上げ「40万年前以降と明記するべきだ。不明確なままでは、こじれる。結論を出してほしい」と求めた。これまで電力会社は、比較的新しい地層だけを調べ、動いた証拠がないから活断層はない-と主張するケースが多く、断層が動く可能性を完全に否定できない調査に終止符を打とうとする発言だった。
 これに対し、規制委の島崎邦彦委員長代理は「基本的には、断層が長い間隔で繰り返し動くことはない。12万年前以降に動いていなければ、40万年前まで動いていないと考えていい」と一般論で応じた。今後つくるマニュアルに、活断層の判断や調査方法を具体的に書くという折衷案で幕引きを図った。

 決まった骨子案は、活断層の上に原発の重要施設があることを明確に禁じ、津波に対しては防潮壁や頑丈な水密扉で建屋を守るよう電力会社に求める内容。7月までに新しい安全基準となるが、肝心の活断層の定義があやふやなままでは、例えば、20万年前に動いた断層が見つかった場合はどうするのかなど原発の安全性の議論に火種を残したともいえる。