29日、米ニューヨーク州上院は旧日本軍の従軍慰安婦問題について、「人道に対する罪」として非難する決議案を採択しました。下院でも同様の決議案が来週にも採択される見通しです。
非難決議自体は正当なものとして受け止める必要がありますが、その一方で、では広島・長崎への原爆投下や東京大空襲をはじめとする都市への無差別爆撃で数十万の市民を殺害したことは人道に対する罪に当たらないのか、もしそれを失念しているのであれば余りにも迂闊ですし、罪には当たらないというのであれば余りにも不当であり傲慢です。
日本以外に対してもベトナムを新型兵器の実験場にした罪、第一次イラク戦争で上下水道施設を爆撃破壊したうえで飲み水を消毒する次亜塩素酸ソーダの輸出を禁止して、事後に数十万人の児童を中心とする病死者を出した罪などがあります。
米国や米州議会にもしもそうした公平さと正当性を見ることが出来るならば、より価値のある決議になったであろうにと思われます。
以下に時事通信の記事を紹介します。
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慰安婦は「人道に対する罪」=NY議会が非難決議
時事通信 2013年1月30日
【ニューヨーク時事】米ニューヨーク州上院は29日、旧日本軍の従軍慰安婦問題について、「人道に対する罪」との表現を使って事実上、これを非難する決議案を採択した。
決議案はニューヨーク市近郊の公園に2012年6月に「慰安婦の碑」が建てられたのを記念し、今月、上程された。「日本がアジアと太平洋の島々に対し、植民地支配と戦時占領を行った1930年代から第2次世界大戦の間、約20万人の若い女性が強制的な軍の売春である慰安婦システムに従事させられた」と指摘。慰安婦の碑は、人道に対する罪を思い起こさせる役割を果たすとしている。
決議案を提出したトニー・アベラ議員は採択に先立ち、慰安婦問題を「20世紀最大の人身売買事件の一つ」と断じた。
下院にも同様の決議案が提出されており、来週にも採択される見通し。
米国では2007年7月、慰安婦問題で日本の首相が公式声明の形で明確な謝罪をするよう促す決議が連邦議会下院で採択されている。