2013年1月18日金曜日

アメリカには朝貢外交、中国には


 2月に開催予定の日米首脳会議に向けてアメリカからは、普天間飛行場の移設、TPP交渉参加、ハーグ条約への加盟、米国産牛肉の規制緩和の4つの分野での具体的な成果を求められているということです。
挨拶に来るのならそれだけのお土産が要るという朝貢外交の強要です。
  例えばアメリカで国際結婚していた日本の婦人が離婚後に幼児や子供たちを日本に連れ帰ることを禁止するもので、親権が母親に帰するケースが圧倒的に多い日本人から見ると違和感のある条約 

 普天間の移設、TPP参加は勿論のこと、他の2項目も簡単に飲めるものではないので、「戦後レジームから脱却」・「美しい日本」を標榜した安倍首相であれば断固拒否して欲しいものです。 

 安倍首相がこれらの要求にどう対応するのかはまだはっきりしませんが、はっきりしているのは、米大統領に「集団的自衛権の行使に向けての姿勢」を示そうとしていることです。
まず13日のNHK番組で、安倍首相は日米首脳会談では「集団的自衛権の行使を禁じている憲法解釈の見直しを加速させる方針を伝える考え」を明らかにしました(毎日新聞113日)。
そして、その行使の容認に当たっては、「遠距離の公海上にいる米艦船が攻撃を受けた場合でも自衛艦が防護できるよう検討する方針を固め」、さらに「米領グアム島などが攻撃を受けた場合にも自衛隊による米軍支援ができることも検討課題に上がっている」ということです(産経新聞115日)。 

当初は確か「2艦が並走していた時に・・・」という前提でしたが、それが2500kmの彼方とは? ・・・ 一体どんな尺度を使えばつながるのでしょうか。唯一説明できる尺度は「アメリカへの隷属・迎合」しかありません。
まさにアメリカのためであれば憲法の蹂躙でも何でもするという底なしの恐ろしさです。 

 その一方、小野寺防衛相は17日のBSフジ番組で、中国訪問中の鳩山由紀夫元首相が沖縄県・尖閣諸島を巡り「日中間の係争を認めるべきだ」と発言したことについて「理解できない。『国賊』という言葉が一瞬、頭をよぎった」と批判しました。(日経新聞1月18日)

政府・外務省は一貫して「領土問題は存在しない」との立場ですが、そんな外務省用語が今の事態になっても通じ、意味を持っているとでも思っているのでしょうか。
相手がアメリカであれば見苦しい程にゴマをするのに、周囲の国に対してはそんな対応です。
前後の見境もなくそんな無意味な言い分を固守するとは、かつて「原子炉は5重の安全装置によって防護されている」とうたって自己陶酔に陥っていた原子力村の空気と空言を連想させる話です。
    いずれにせよ安倍内閣こそ『国賊』とならないように十分に自戒すべきです。 

 以下に東京新聞の二つの記事を紹介します。
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米、普天間など4分野の成果要求 首脳会談の事前調整
東京新聞 2013118 

 米政府が、2月開催で調整中の日米首脳会談に向けた外交当局間の事前折衝で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設や環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題など計4分野で「具体的な成果」を示すよう日本側に求めていることが17日分かった。複数の日米外交筋が明らかにした。

 同筋によると、米高官は今月、日本側関係者に「両首脳が会談時に記念撮影をするだけでは意味がない」と述べ、日本側の決断を促した。
 他の2分野は、国際結婚が破綻した子どもの扱いを定めたハーグ条約の早期加盟と米国産牛肉の輸入規制緩和問題。

 会談開催の「条件」とは言えないまでも事実上の圧力をかけた形。 (共同)
 

集団的自衛権 行使容認 訪米前 有識者で再議論
東京新聞 2013118 

 【バンコク=金杉貴雄】安倍晋三首相は十七日、バンコクで同行記者団と懇談し、集団的自衛権の行使容認について、二月で調整している訪米前に、第一次安倍内閣で設置した有識者会議がまとめた報告書を自ら受け取った上で、あらためて検討を求める考えを示した。

 第一次安倍内閣で設置した有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は(1)公海上で攻撃を受けた米艦船の防御(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国連平和維持活動(PKO)での他国部隊に対する「駆け付け警護」(4)他国部隊への後方支援の拡大-の四類型で行使を認める報告書をまとめた。しかし、安倍首相が退陣した後だったため、報告書は後継の福田内閣に提出され、行使容認は実現しなかった。

 首相は「安全保障環境が(第一次安倍内閣当時と)大きく変わってきているため、四類型で十分かを含め、もう一度議論をお願いしたい」と述べた。
 首相は「当時、私自らが受け取ることができなかったため、まず(以前まとめた)報告書を首相として受け取りたい。おそらく日米首脳会談以前になるだろう」と見通しを示した。

 訪米については「(日米首脳会談を)二月中にでも開催できればいい。なるべく早いうちに、と考えている」と述べた。
 首相としては訪米前に、同懇談会を衣替えして、四類型にとどまらずより広い場面で行使できるように検討を始めることで、日米同盟強化の意思を明確にする狙いがある。 (後 略)