2013年1月16日水曜日

米人の平均寿命は先進国中最低


アメリカの専門委員会が調査した結果、アメリカの平均寿命は先進国1 7ケ国で最低であることが分かりました。
そして医療の受けにくさ、貧困と所得不平等レベルの高さ、蔓延する銃暴力が短命の主な要因であることが明らかにされました。 

まず1歳生存率、5歳生存率が最低で、「国民の不健康状態が幼児から老齢者に至るまで蔓延している」ことがベースにあります。出生時の低体重、負傷(と殺人)、10代での妊娠と性感染症、HIVAIDS、麻薬関連死、肥満と糖尿病、心臓病、慢性肺疾患等々です。
さらに自動車事故による死、銃による死、兵役による死、果ては警官の暴虐による死まで、アメリカ社会には多くの事故死・事件死の要因も氾濫しています。 

とりわけ適正な医療を受けらないことによる死は深刻で、医療制度が完全に資本主義市場に従属し、儲け主義に堕している結果 医療費があまりにも高額になって、圧倒的多数の人々が正規の医療を受けることが出来なくなっていることが、米人を短命にしている最大の原因と思われますまさに病める大国、貧困大国の病像と言えます。 

野田前首相は最後までTPPの害毒に対する認識を持たなかったようですが、こんな状況一つを取ってみても、安易にTPPに参加してアメリカと同じような医療環境を強制されることは絶対に避けなくてはなりません。 

 以下に「マスコミに載らない海外記事」のサイトに載った記事を要約文で紹介します。(原翻訳文は下記のURLにアクセスすればご覧いただけます)
~~~~~~~~~~~~~~~~
アメリカの平均寿命は先進国中で最低
マスコミに載らない海外記事 2013115
Kate Randall 2013111

(要約文)
国立衛生研究所(NIH)が委託した新たな研究結果によれば、アメリカ合州国の平均寿命は、西欧、カナダ、オーストラリアや日本に劣ったままである。この報告書は、アメリカの社会的不平等がアメリカ国民の生活状態に影響していることへの痛烈な批判となっている。 

米国学術研究会議と医学研究所のメンバーで構成された専門家委員会による378ページの報告書(「国際的視野から見たアメリカ人の健康状態: 短命、劣った健康状態」)は、医療の受けにくさ、貧困と所得不平等レベルの高さと、まん延する銃暴力が、アメリカの短い平均寿命の主な要因であると明らかにした。

1970年代以降のデータ、主に1990年代後半から2008年までの統計を元に検証し、アメリカ合州国の平均寿命と健康状態を、やはり高収入の“比較対象諸国”16ヶ国のそれと比較している。
専門家委員会は、アメリカ人は他のほぼ全ての“比較対象諸国”の国民よりも若くして亡くなるだけでなく、この『不健康状態』が “人生の全段階 (=出生時、子供・思春期、若者や中年や、より高齢の成人にいたるまで)で驚くほど首尾一貫して浸透している”ことを見いだした。 

調査した1 7ヶ国の中で、2007年、アメリカは、男性の平均寿命(75.64 歳)は最下位で、女性(80.78歳)は最後から二番目だ。差異が一番大きかったのは、2007年生まれの女性の寿命で、平均寿命が一番長い85.98歳という日本人女性より、5年以上短い。スイス人男性の平均寿命79.33歳はアメリカ人男性のそれより3.69年長い。
専門家委員会のリーダ、スティーブン・ウルフ博士は語っている。「アメリカの赤ん坊は、1歳の誕生日まで生きられる確率が他の高収入の国々に生まれた赤ん坊より低い。幼児が5歳まで生きられる率も低い。アメリカの若者は、他の国々の若者より悪い健康状態にある。アメリカの成人は、肥満、糖尿病と慢性疾患の割合が高い」 

他の国々の平均と比較して、アメリカ人は、少なくとも以下の9つの分野で劣っている。幼児死亡率と出生時の低体重、負傷と殺人、十代での妊娠と性感染症、HIVAIDS、麻薬関連死、肥満と糖尿病、心臓病、慢性肺疾患と身体障害。
こうした健康状態は、国民の中でも若年層に対しとりわけ強烈に影響し、アメリカ人が50歳まで生きる確率を、研究対象の国々の中で最小へと引き下げている。 

アメリカにおける50歳未満での主な死因には、自動車事故、銃暴力と薬物中毒がある。2011年の23ヶ国で小火器による殺人事件の率が、アメリカでは20倍である。アメリカの全体的な自殺率は低いにもかかわらず、小火器による自殺は他国の6倍である。
アメリカ合州国での暴力行為による致死率と不慮の負傷の多さは、小火器が広範に所有されそれを自宅にしまっておくという習慣による。しかし報告書は小火器が広範に入手しやすいことがなぜアメリカの暴力行為比率の高さになるのかという理由は探ろうとはしていない。
アメリカ国民に対して行われる警察の暴虐さ、政府が海外で行っている果てしない軍事作戦遂行、既成政治勢力による暴力行為賛美が背景にある筈である。 

報告書は、“アメリカ医療上の欠点”を生んでいる根本的な社会的原因のいくつかを指摘している。「比較対象の国々とは違ってアメリカ合州国には、医療保険未加入者が比較的多く、初期医療を受けるのもより困難だ。アメリカ人は、医療が益々受けにくかったり、あるいは高すぎて手が届かなかったりする。他方病院外での医療の質は低くて安全性が欠落している。」

要するに医療制度が完全に資本主義市場に従属しているということだ。医療を受けにくい状況、高すぎて医療にかかれない状況は、オバマが推進した、医療費負担適正化法“ACA(これは大企業や政府の費用負担を大幅に削減し、労働者家庭の圧倒的大多数向けの医療サービス供給を制限するのが主目的)の実施によってひどくなるばかりだ。ACA導入が始まるに当たりアメリカの医療保険会社は既に保険料を二桁も値上げしており、品質の良い医療は多くの国民にとり益々手の届かないものになっている。 

報告書は、社会的不平等がアメリカにおけるひどい健康状態の主要因であることに言及している。アメリカ人の平均所得は検討した他の国々より高いものの、アメリカの貧困レベル、特に子供達のそれはより高い。
これが“所得の不平等と社会的流動性の低さ”とあいまって、より短い平均寿命と、全般的な健康状態の悪さの両方の最大の要因の一つとなっている。 

アメリカ人はまた、貧困と社会的不平等の影響を緩和する為の社会的セーフティー・ネットの恩恵を受けることが非常に少ない。アメリカは“比較対象諸国”の大半と比較して既に劣っている社会福祉を、支配層エリートは更に大幅に削減する対象としている。
国民の広範な階層に対して、更に劣悪な健康状態と生活状態とが差し迫っている。 

アメリカの一人当たり医療費は、NIHが委託した専門家委員会が検討した他のどの国よりもはるかに多いのに、アメリカ国民の健康は悪化し続けている。極端なレベルの社会的不平等が支配している社会では、収益第一の医療制度と組み合わさって、大多数の国民の福祉はこの矛盾の犠牲となってしまうのだ。