2013年1月15日火曜日

自民党改憲案は国権を人権に優越させるもの


 13日付の「植草一秀の『知られざる真実』」ブログに、「国権を人権に優越させる自民党の憲法改正草案」と題する記事が掲載されました。

同氏のブログは有料のため記事の一部しか公開されませんが、自民党の改憲案の問題点の部分が極めてシンプルにピックアップされ、それが公開部分となっていましたので以下に紹介します。 (太字、下線は事務局
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国権を人権に優越させる自民党の憲法改正草案
植草一秀の「知られざる真実」 2013113 

20137月に実施される参院選の意味は重大だ。 ・・・・(中略)・・・・
すでに衆議院は大政翼賛状態にあるわけだ。
参議院では定数242議席のうち、半数の121議席が改選になる。 ・・・・(中略)・・・・
参院の3分の2議席は162議席で、自公みんな維新が7月参院選で93義席を獲得すると、この4党による参院3分の2義席が成立する。  ・・・・(中略)・・・・
民主党議員の一部は既得権益勢力であり、憲法改正に加担する可能性が高い。状況は著しく危険である。
この場合、憲法改正が現実の問題として浮上する。 問題はその内容である。 

自民党が20124月に提案した日本国憲法改正草案は恐るべきものである。
一言で言えば、「平和・人権・国民主権」を基本とする現行憲法の骨格が根底から破壊されることになる。憲法改正論者は「自主憲法」を旗印に掲げるが、その内実は「自主憲法」の名を借りた憲法の骨格改変である。
現行憲法前文では、国民主権の宣言、国民主権に反する立法の排除、永久平和主義などが明記されているが、憲法改正草案では、これらの事項が無視または希薄化されている。
 すでに多くの有識者から指摘されている、自民党憲法改正草案が持つ重大な問題点は以下の通りである。

1.天皇制
  自民党草案では、「天皇は、日本国の元首であり」 と明記され、「国旗及び国歌」について、「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする」「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と明記される。

 2.9条
「国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない」としながら、「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない
 と明記され、 「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」と表記された。

3.基本的人権
日本国憲法の「天賦人権説」が否定され、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と表記される。また、「国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない
 
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由に関して、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない
との規定が置かれる。

さらに、第9章に「緊急事態」の章が置かれ、「内閣総理大臣は、(中略)、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」「急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない 

現行日本の基本である、「平和・人権・国民主権」の三大原則は、ことごとく破壊されることになる。この重大性を私たちは認識しなければならない

大政翼賛の状況を強めている日本政治の流れに歯止めをかけなければ、取り返しのつかない事態が生じる。 ・・・・(後略)・・・・