2013年1月22日火曜日

柏崎原発再稼働、県民投票条例案審議始まる (臨時新潟県議会)


 柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案を審議する県議会臨時会が21日開かれ、泉田知事が「投票の実施には条例案を修正する必要がある」とする意見を付けて条例案を提案しました。議案は23日に特別委と本会議で採決されます。 

 泉田知事は意見の中で、県民投票に理解を示す一方、福島事故の検証がまだ済んでおらず、県民に問うための判断材料が提供できないなど下記の6項目の課題を挙げ、投票の実施には条例案の修正が必要としました。

県会議員では、自民、民主、公明党などは条例案に否定的で、社会民主県民連合と共産党、無所属議員の一部が修正案を提出する準備を進めているということです。 

◆知事が挙げた条例案の課題とその対応(骨子)◆
<課題>
1) 福島第1原発事故の検証中。稼働の是非を判断するための情報不足
2) 原発停止の際の地域振興策や賠償問題
3) 使用済み核燃料の処分問題
4) 二者択一では民意を適切に反映できない
5) 県条例では各市町村に投票事務を強制できない
618歳以下の投票権の可否など
 
<対応>
1)(390日以内とした投票期日の撤廃
    知事が県民に情報提供することを義務づけ
2) 県などが支援できる規定を追加
4) 投票の選択肢を工夫し、追加
5) 全市町村の理解、協力を得る手続きを追加
6) 投票資格は現在の法制と同様に扱うよう変更 
                                   毎日新聞117日付記事より引用) 


以下に新潟日報と毎日新聞の記事を紹介します。
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原発再稼働、県民投票条例案を提案 県会臨時会が開会
新潟日報 2013121 

 市民団体が直接請求した東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案を審議する県議会臨時会が21日、開会した。本会議の冒頭、泉田裕彦知事が「投票の実施には条例案を修正する必要がある」とする意見を付け、条例案を提案。「適切な議決をお願いしたい」と求めた。
直接請求に伴う臨時会は199212月以来、約20年ぶり。

 条例案は、市民団体「みんなで決める会」が県内で約68千人分の有効署名を集めて、泉田知事に直接請求した。東電福島第1原発事故の影響で全7基が停止している柏崎刈羽原発の再稼働に賛成か、反対かの二者択一で投票する内容。条例施行から90日以内での投票実施を規定している。 

 泉田知事は意見の中で、「県民投票は、民主主義のあり方として選択肢の一つ」と理解を示す一方、福島事故の検証がまだ済んでおらず、県民に問うための判断材料が提供できないなど6項目の課題を挙げた。
 続いて正副議長を除く県議51人で構成する特別委員会が設置され、決める会のメンバーが意見陳述。その後、自民党と民主党が代表質問。傍聴席には多くの傍聴者が詰め掛けた。 

 臨時会の会期は3日間。22日は10人が質問し、23日に特別委と本会議で採決する。自民、民主、公明などは条例案に否定的で、社会民主県民連合と共産党、無所属議員の一部が修正案を提出する準備を進めている。
 

柏崎刈羽原発 県民投票条例案、知事が修正意見 現状では実施困難示す 県議ら「賛否分からぬ」
毎日新聞(新潟版) 2013117 

 東京電力柏崎刈羽原発再稼働の是非を巡り市民団体が直接請求した県民投票条例案について、泉田裕彦知事が16日に県議会に条例案と共に提出した修正意見書。泉田知事は意見書で「本請求の趣旨を忖度(そんたく)した結論を得ることを期待する」としながらも、「福島第1原発事故の検証を踏まえた情報提供が不可欠」などとして6項目に及ぶ課題を列挙し、現状のままでは投票の実施は困難との姿勢も示した。県議や市民団体などからは、意見書について「賛成か反対か、分からない」という意見も出た。知事は同日夜になって書面で「社会の安定のためにも課題を修正した上で投票を実施すべきだ」と改めてコメントした。 【塚本恒、宮地佳那子】 

 意見書で泉田知事は、原発稼働について「立地自治体ゆえに生じるさまざまな課題や不利益について十分な情報が提供され、県民1人1人が理解した上で議論を進める必要がある」と指摘。その上で、条例案が定める「施行後90日以内に投票期日を定める」という規定では、県民が検証結果を踏まえて考えるための情報提供ができないとした。さらに、仮に原発が停止した場合の地域振興策や賠償の考え方、使用済み核燃料の処理の問題など、6項目の課題を挙げた。投票実施には条例案の修正が必要とした。 

 泉田知事はこの日の定例記者会見で「反対ならば修正意見はつけない」と説明したものの、賛否について問われると「(意見書を)読めば分かる」と突っぱねた。同条例案は県議会が21日から開く臨時会で審議される。

 この知事の姿勢に対して、県議会最大会派の自民党の星野伊佐夫県連会長は「いろんな取り方ができるが、決して賛成(の意見書)ではないだろう。知事として当然の内容ではないか」と評価した。早川吉秀政調会長は「自民党としての意見はまだ決まっていない。今後、党三役を中心に代表質問を練っていく」と述べるにとどめた。だが、同党内には条例案に否定的な考えが強く、投票実施は困難な見通しが強まっている。また、民主党県連の市川政広幹事長は「賛否が明確に示されていない。県民や県議会に対して分かりにくい」と述べた。同党県連は18日に党議を開いて会派としての意見を決定するとしている。 

 一方、条例案を直接請求した市民団体「みんなで決める会」の橋本桂子共同代表(40)は「修正をすれば実現が可能だ、ということ。賛成の意見書だとしか考えられない」と強調した。知事が指摘した条例案の課題については「修正案は議会で真摯(しんし)に話し合ってもらいたい」と語った。同会は今後、臨時会初日の21日に行う意見陳述の内容を話し合うという。

 同様の住民投票条例案は、これまで東京都、大阪市、静岡県で直接請求された。東京都、大阪市では各首長が反対意見を付けて、議会で否決。静岡県では川勝平太知事が賛成意見を付け、また議員提案の修正条例案も出されたが、反対多数で否決された。

 (◆知事が挙げた条例案の課題とその対応(骨子)◆ 以下は冒頭に記載済みにつき省略)