ニューヨーク州議会の2議員が、旧日本軍の従軍慰安婦制度は「人道に対する罪」であるとして、日本政府に公式に謝罪を求める決議案を近く州議会の上下両院に提出することになりました。
提出される決議案は、第2次世界大戦中の日本軍の従軍慰安婦制度は、韓国や中国、フィリピンなどの大勢の女性に多大な苦しみを与えたもので、「人道に対する罪」に当たるとして、日本政府に対して責任を認め女性たちに公式な謝罪を求めるというもので、来月末までの採択を目指して来週にも州議会の上下両院に提出される予定です。
アメリカでは2007年7月に、連邦議会下院で従軍慰安婦問題を巡り日本に謝罪を求める決議が採択されています。
この時は採決直前の6月に、桜井よしこ氏らでつくる「歴史事実委員会」がワシントン・ポストに「日本軍によって強制されたことを示す歴史的な文書は発見されていない」旨の意見広告を出しました。
しかしそれによって決議案から強制連行の文字は削除されたものの、決議案に賛成する議員は逆に増えたといわれています。それは慰安婦問題が「女性の尊厳と人権に関わる問題」であり、強制性の有無などは重要ではなく、広告の中で「慰安婦制度は当時としては一般的なことだった」などと弁明したことが破廉恥だと受け止められたからでした。
昨年9月にもニュージャージー州議会で同様の決議案が上程され、11月にやはり「歴史事実委員会」が、「女性がその意思に反して日本軍に売春を強要されていたとする歴史的文書は…発見されていない」、「(「慰安婦」は)『性的奴隷』ではない。彼女らは当時世界中のどこにでもある公娼制度の下で働いていた」などとする意見広告を米紙に出し、安倍首相他4人の現閣僚が賛同者に名を連ねていました。
以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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米NY州議会
「慰安婦」問題で決議案提出へ
「人道に対する罪」
日本政府に謝罪求める
しんぶん赤旗 2013年1月9日
日本軍の「従軍慰安婦」は人道に対する罪だとして日本政府に公式に謝罪を求める決議案が、近く米ニューヨーク州議会上下両院に提出される予定です。決議案を検討している同州議会のトニー・アベラ上院議員とチャールズ・ラビン下院議員が7日、ニューヨーク市郊外の記者会見で明らかにしました。
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アメリカではこれまで、1999年にカリフォルニア州議会上院で同様の決議案が通過し、2007年には連邦議会下院で決議が採択されました。昨年9月にはニュージャージー州議会でも類似した内容の決議案2件が上程されています。
NHKによると、ニューヨーク州議会に近く提出される決議案の草案は、「従軍慰安婦」は多くの人が巻き込まれ、残酷で人道に対する罪に当たるとし、日本政府に対して歴史的な責任を認め、女性たちへの公式な謝罪を求めています。
2人のニューヨーク州議会議員は、「アメリカは日本という素晴らしい国の同盟国で友人だ。しかし、過去の罪や過ちは忘れてはならない。安倍首相の訪米の際にはそのようなメッセージを伝えたい」などと述べました。来週にも決議案を州議会上下両院に提出し、採択を目指すとしています。
【看板写真の説明】
「ドイツは謝罪したが… 」 ニューヨークのタイムズスクエアに掲げられた「慰安婦」問題で日本に真の謝罪を求める看板。
旧西ドイツのブラント首相がポーランドで、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺について謝罪した際の写真とともに、「彼(ブラント首相)の行動が欧州の和解を進めた」「第2次世界大戦中に日本の性的奴隷として強制的に働かされた韓国の女性はいまも、日本による心からの謝罪を待っている」との解説を表示
2012年10月5日、米ニューヨーク 山崎伸治 撮影