イスラエル軍は15、16日にもガザ地区全域で激しい空爆を実施しました。ガザ保健当局は16日だけで115人以上が死亡し、15日と合わせて250人以上が殺害されたと告発しました。
イスラエル軍は同日、ガザに対する作戦拡大の「第1段階」を開始したと発表し、「人質解放」「ハマス解体」を口実に住民へのジェノサイドを激化させています(しんぶん赤旗)。
それとは別にケイトリン・ジョンストンが「複数欧米メディアが突然イスラエルを強く非難」という記事を出しました。
欧米のメディアや政界の一部に、イスラエルの蛮行を強く非難する論調が生れてきたこと自体は喜ばしいことです。それは今なおイスラエルの肩を持つのに比べれば大いにマシなことですが、余りにも遅きに失していて素直には喜べません。
ケイトリン・ジョンストンは、「19ヶ月もジェノサイドの波に揺られてきた人が、突然その恐ろしさを叫び、ブレーキをかけるよう要求するのは、いささか奇妙に思える。これらの人々は~風の匂いを嗅ぎつけているだけだ。~それに抵抗する最後の一人になるのを避けようとして」いるのだと酷評しています。
この記事には「ジェノサイド」と「ホロコースト」という2つの言葉が登場します。
ネットで調べると、「ジェノサイド」は特定の集団を破壊する意図をもって行われる行為のこと(ジェノサイド条約)で、「ホロコースト」は 具体的に(固有名詞的に)ナチスドイツとその同盟国による欧州のユダヤ人約600万人に対する国ぐるみの組織的な迫害および虐殺を示す、ということです。
関連記事
(5月15日)ガザ飢餓「壊滅的に」9月末までに47万人の可能性
(5月12日)進むイスラエルのガザ虐殺(田中宇氏)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
連日空爆 250人超殺害 国連「民族浄化に等しい」 ガザ地区
しんぶん赤旗 2025年5月18日
【カイロ=米沢博史】イスラエル軍は16日にもパレスチナ・ガザ地区全域で激しい空爆を実施しました。ガザ保健当局は、同日に地区内各地の病院に運ばれた遺体109人を含め、16日だけで115人以上が死亡し、前日と合わせて250人以上が殺害されたと告発しました。
イスラエル軍は同日、ガザに対する作戦拡大の「第1段階」を開始したと発表。ガザ北部の住民に南部への避難を命じるビラを空から散布しました。「人質解放」「ハマス解体」を口実に住民へのジェノサイド(集団殺害)を激化させています。
ターク国連人権高等弁務官は、空爆の強化と住民の強制的な避難について、「民族浄化に等しい」と強く非難しました。
エジプトも、「非武装の市民に対する恐ろしい犯罪」だとして「最大限の非難」を表明。
フランスのマクロン大統領は同日、2023年10月のイスラエルによるガザへの大規模攻撃の開始以降、「人道的に前例のない局面に入っている」「人道危機は耐え難い」と述べました。記者団から、「ロシアに対するものと同等の制裁をイスラエルに課さないのは二重基準ではないか」と問われると、「その質問はまったく正当であり、今後数週間で検討する」と答えました。
複数欧米メディアが突然イスラエルを強く非難
マスコミに載らない海外記事 2025年5月14日
一年半に及ぶ大量虐殺残虐行為の後、多くのイギリス報道機関の編集委員会が、突如、イ
スラエルによるガザへの大量虐殺猛攻撃を強く非難する姿勢を見せた。
ケイトリン・ジョンストン 2025年5月12日
1年半に及ぶ大量虐殺残虐行為の後、多数のイギリス報道機関の編集委員会が、突如、イスラエルによるガザへの大量虐殺猛攻撃を強く非難する姿勢を見せた。
最初の雨粒は、先週、フィナンシャル・タイムズ論説委員会による「The west’s shameful silence on Gaza(ガザに対する欧米の恥ずべき沈黙)」と題する記事から始まった。この記事は、アメリカとヨーロッパが同盟国の犯罪行為について「ほとんど一言も非難していない」と非難し「沈黙していることを恥じ、罰を受けずにネタニヤフが行動するのを許すのを止めるべきだ」と述べている。
その後、エコノミスト誌は「The War in Gaza must end(ガザでの戦争は終結しなければならない)」と題する記事を掲載し、トランプ大統領はネタニヤフ政権に停戦を迫るべきだと主張し「戦争継続で利益を得るのは、連立政権を維持するネタニヤフと、ガザを空にしてユダヤ人入植地を再建することを夢見る極右同盟者だけだ」と述べている。
土曜日「End the deafening silence on Gaza — it is time to speak up(ガザに対する耳をつんざくような沈黙を終わらせ、声を上げるべき時だ)」と題する社説をインディペンデント紙が掲載し「既に壊滅的なガザ爆撃を拡大する新たな計画をネタニヤフ首相が発表した今、特に何も言わなかったことを恥じるべきだ」と主張し「今こそ起きていることに世界が目を覚まし、ガザ地区に閉じ込められたパレスチナ人の苦しみに終止符を打つよう要求すべき時だ」とイギリスのキール・スターマー首相が訴えた。
日曜日、ガーディアン紙編集委員会は「The Guardian view on Israel and Gaza: Trump can stop this horror. The alternative is unthinkable(イスラエルとガザに関するガーディアン紙見解:トランプはこの惨劇を止められる。それ以外の選択肢は考えられない)」と題する記事を掲載し「アメリカ大統領には停戦を強制する力がある。そうしなければ、完全破壊計画とも言えるものを暗黙のうちに承認することになる」と述べた。
「これがジェノサイドでなければ一体何だ?」とガーディアンは問いかける。「今でなければ一体いつ、このテロを止めるためアメリカと同盟諸国は行動を起こすのか?」
念のため申し上げるが、これらは論説記事で意見記事ではない。つまり、これらは一人個人の意見表明ではなくメディア全体の立場を表明する記事だ。ガザ虐殺におけるイスラエルの行動を批判する論説記事が欧米主要メディアで散見されることはあるが、一斉に各メディアがイスラエルと欧米支援諸国を激しく非難する記事を掲載するのは非常に新しい展開だ。
意外にも長年のイスラエル支持者の中にも個人として意見を変え始めた者もいる。
先週下院で、何十年にもわたり「いかなる犠牲を払っても」イスラエルを支持してきたが、イスラエルのガザ地区での行動をめぐっては「間違っていた」と保守党議員マーク・プリチャードは述べ、支持を公式に撤回すると述べた。
「長年にわたり―私は20年間この議会にいる―率直に言って、どんな犠牲を払ってでもイスラエルを支持してきた」とプリチャードは述べた。「だが今日、私はその考えが間違っていたと申し上げたいと思う。ガザ地区やヨルダン川西岸地区のパレスチナの人々に対するイスラエルの行為を私は非難する。そして、今ガザ地区でイスラエルが行っている行為に対する支持を、今すぐ撤回したいと思う。」
「これが人々が振り返る歴史の瞬間で、我々が国として間違っていたのを想起する瞬間なのではないかと私は本当に懸念している」とプリチャードは付け加えた。
ガザでの虐殺の間、激しく大学キャンパスの抗議活動参加者を非難し、イスラエル批判者を「血の誹謗中傷だ」と非難してきた親イスラエル派評論家シャイエル・ベン・エフライムは、今やイスラエルが反対しなければならない大量虐殺を犯していると公に認めた。
「ここまで来るのに長い時間がかかったが、そろそろ現実を直視すべき時だ。イスラエルはガザでジェノサイドを犯している」とエフライムは最近ツイートしたした。「病院の無差別爆撃、住民の飢餓、民族浄化計画、援助活動家虐殺や隠蔽工作。もはや逃れようがない。イスラエルはパレスチナ人を根絶しようとしている。これを認めない限り、止めることはできない」
ここまで来るのにこれだけの人が1年半もかかったとは奇妙な話だ。ジェノサイドや子どもの大量殺戮に対し、私自身決して寛容ではない。19ヶ月もジェノサイドの波に揺られてきた人が、突然その恐ろしさを叫び、ブレーキをかけるよう要求するのは、いささか奇妙に思える。
これらの人々は突然良心が芽生えたわけではなく、風の匂いを嗅ぎつけているだけだ。合意が一定の水準を超えると、当然ながら、それに抵抗する最後の一人になるのを避けようとして狂乱した行動に出るのだ。自分の行いを歴史がはっきり証明した後、生涯その汚点を公式の場で背負うことになると分かっているからだ。
これはトランプ政権がネタニヤフ首相の逆鱗に触れ始めている中での出来事だ。最近、アメリカがテルアビブの意向を無視してハマスと直接交渉して、アメリカ人人質解放を実現させたことに対し「アメリカからの安全保障支援を断つ必要があると思う」とネタニヤフ首相は発言した。イエメン、サウジアラビア、イランといった地域における国際情勢に関する交渉で、アメリカは、イスラエルを益々排除していると報じられている。何かが変わりつつある。
だから、もしあなたが、いまだイスラエルを支持し続けているなら、変われる今のうちに変わるようお勧めする。激しい競争の中、常にガザ・ホロコーストに反対してきたかのよう振る舞い始める最後の一人にならない悪党一番乗りになれる可能性はまだある。
(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。