ニューヨークで2週間にわたり開かれていたNPT再検討準備委員会が9日、閉幕しました。討論ではオーストリアが核抑止に基づく安全保障政策は戦争などの予防策にはならず「危険を増大させる」と指摘するなど大多数の国が核抑止論を批判し、米英仏中ロの核保有5カ国にNPT第6条の核軍備撤廃義務の具体化や実践を求めました。
米英仏中ロの核保有国は互いの批判に終始し、孤立を深めました。
外務省がリードしている日本の核兵器政策は、米国に準じてひたすら「核抑止論」に拘るもので、その矛盾を批判する世界の大勢とは大きく乖離しています。最早何の説得力も持たないこうした口実をいつまで掲げ続けようというのでしょうか。
(註 NPT第6条=「各締約国は、~ 厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する」)
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核抑止論批判が多数 保有国の孤立深まる NPT準備委が閉幕
しんぶん赤旗 2025年5月11日
【ワシントン=柴田菜央】米ニューヨークで開かれていた2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議第3回準備委員会が9日、閉幕しました。2週間にわたる討論では、核兵器禁止条約を推進する国々を中心に大多数の国が核抑止論を批判し、米英仏中ロの核保有5カ国にNPT第6条の核軍備撤廃義務の具体化や実践を求めました。核保有国は互いの批判に終始し、孤立を深めました。
来年の再検討会議に向けた勧告案は採択できず、議長による文書としてまとめられました。同文書は「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」とし、第6条を実践する義務に言及。核兵器使用の壊滅的結果に懸念を示し、核兵器禁止条約の発効に「留意する」としています。
核兵器禁止条約の参加国(署名国94、批准国73)を代表して発言した南アフリカは、3月に開いた締約国会議を踏まえて
・核兵器使用の壊滅的結果はすべての国に影響する
・核兵器の存在自体が使用の危険をもたらす
・核抑止論は核拡散を助長し廃絶を妨げる
―ことなどを指摘。核兵器の禁止はNPT第6条の実践と重なると強調し、核保有国に行動を求めました。
オーストリアは、核抑止に基づく安全保障政策は戦争などの予防策にはならず「危険を増大させる」と指摘しました。
核保有国は「安全保障状況が求める限り核抑止を維持する」(英国)などと主張。自国の核増強を棚に上げて他の保有国を批判したほか、第6条の義務不履行の批判にもまともに答えませんでした。
国際NGOは討論について「核廃絶に積極的に努力する大多数の国々とその他の国」という構図が鮮明になったとしています。
来年のNPT再検討会議は4月27日~5月22日に開かれます。ベトナムが議長国を務めます。