12日の衆院予算委で石破茂首相は、辰巳孝太郎議員(共産党)に対し「御党の 安易に国債発行に頼らない姿勢は、本当に立派だ。志位議長は、党の研修会でそう発言されたというが、私は感動をもって聞いた」と述べました。
ある自民党議員は石破首相の立場について、「消費税減税で包囲され、自民党内の減税論の突き上げもあるが、党内の税調幹部や財務省に縛られ消費税減税に踏み切れない。共産党の主張は正論だが(首相の)共産党評価の発言は無責任な減税論へのけん制だ」と述べました。
現実に共産党の正論は「他の野党へのけん制」にとどまらず、与野党に大きな影響を与えています。
共産党の志位和夫議長と山添拓政策委員長は19日の国会質問で、大企業と富裕層への減税・優遇を見直す具体的財源を示し、消費税5%への減税を緊急に行うよう求めました。
志位氏は衆院決算行政監視委員会で、大企業に今以上の法人税の担税力―税負担能力がある事実を明らかにし、山添氏は参院予算委員会で、医療崩壊の危機打開のためにも消費税減税が必要だと迫りました。
しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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財源示し 消費税5%緊急減税を 衆院、参院委 志位氏、山添氏迫る
しんぶん赤旗 2025年5月20日
日本共産党の志位和夫議長と山添拓政策委員長は19日の国会質問で、大企業と富裕層への減税・優遇を見直す具体的財源を示し、消費税5%への減税を緊急に行うよう求めました。志位氏は衆院決算行政監視委員会で、大企業に今以上の法人税の担税力―税負担能力がある事実を明らかにし、山添氏は参院予算委員会で、医療崩壊の危機打開のためにも消費税減税が必要だと迫りました。
大企業の税負担能力は十分
志位議長「消費税減税の財源に」 衆院決算行監委
志位氏は、国税庁の研修機関である税務大学校発刊の「税法入門」で「税負担は担税力に応じて配分されるのが公平である」と明記されているが、政府としてこの立場に立っているかと追及。加藤勝信財務相は、「同様の認識を持っている」と答えました。
志位氏は、2012~23年に資本金10億円以上の大企業の税引き前利益が、2・6倍になったにもかかわらず、法人3税は1・6倍にとどまっていると指摘。大企業の内部留保も333・5兆円から539・3兆円へと空前の規模に達しているとして、「この事実は大企業が今以上の担税力があることを明瞭に示すものだ。その認識はあるか」とただしました。
加藤財務相は、質問に答えず、大企業の税負担率は「必ずしも中小企業より軽減されているとは言えない」とはぐらかしました。
志位氏は、法人税実質負担率の推計を示し、小規模企業が18・5%、中堅企業は20・6%なのに対し大企業は10・0%と約半分だと指摘。これは子会社から受け取った配当の一部を所得から除外する措置や研究開発減税など大企業優遇税制の結果で「小規模・中堅企業と比べて大企業の担税力が高いのは誰が考えても明らかだ。大企業には今以上の担税力があることは、このグラフを見ても一目瞭然ではないか」と追及しました。
経済産業省の委託調査として三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した報告書も「企業規模が大きな企業の方が税負担率が小さくなっている」と結論づけているとして「中小企業に比べ大企業の担税力が劣る根拠があるのか」と追及すると加藤財務相は根拠を示せませんでした。
志位氏は「十分すぎる担税力を持つ大企業に減税をバラまき、担税力のない低所得者から情け容赦なく消費税を取り立てる。こんな間違った政治はない」と批判。「大企業と富裕層に応分の負担を求める税制改革を行えば、赤字国債に頼らなくても消費税減税の財源はつくれる」と強調しました。(論戦ハイライト下掲)
消費税 医療機関に重い負担
山添氏「社会保障が経済支える」参院予算委
山添氏は、物価高のもとで医療機関の赤字が広がり、患者に転嫁できない消費税の負担が重くのしかかっているとし、消費税の一律5%への減税が即効性のある対策だと主張しました。
山添氏は、全国保険医団体連合会(保団連)の緊急調査で、診療報酬では物価高騰分を「補填(ほてん)できない」とする医療機関が9割を超えている実態を突きつけ、「日本の医療は崩壊の危機だとの認識を持っているか」と追及。全国公私病院連盟の邉見(へんみ)公雄会長が医療機関の赤字の背景と原因として、人口減少や人材流出とともに物価高騰を挙げ、重くのしかかっているのが消費税だと述べているとし、「医療機関は事業者として納税義務がある一方、最終消費者とみなされ、患者に消費税を転嫁できない。医療機関の危機を打開するうえでも消費税5%への減税を」と指摘しました。
石破茂首相は「消費税の仕入れ税額相当分は診療報酬に上乗せする仕組みをとっている」などと釈明。山添氏が「累次の診療報酬改定を経ても、なお消費税による負担が大変重いというのが病院団体からの指摘だ」と主張したのに対し、石破首相は「現場が疲弊しないように対応をとっていきたい」と答えました。
山添氏は「社会保障の財源が消費税でなければならないわけではない。他の税収を社会保障に充てることは禁止されていない」と強調。2012年版「厚生労働白書」に「社会保障は経済成長と社会の安定に寄与し、雇用を創出する」などと書かれているとし、「都会も地方も社会保障の充実こそが経済を支える」と指摘すると、石破首相は「まさしくその通りだ」と答えました。
山添氏は「だからこそ、今消費税を減税し、大企業や富裕層に応分の負担を求め財源を確保し、社会保障を充実させるべきだ」と述べました。(論戦ハイライト下掲)
論戦ハイライト 大企業には十分な担税力 消費税減税の財源に 志位氏迫る
しんぶん赤旗 2025年5月20日
日本共産党の志位和夫議長と山添拓政策委員長は19日、それぞれ国会質問に立ち、具体的財源提案と一体で消費税5%への緊急減税を迫りました。
財務相「負担率低く見えるだけ」
志位「十分すぎる担税力ある」
志位氏は衆院決算行政監視委員会で、消費税減税の財源について、大企業には今以上の担税力(税を負担する能力)があるとして、法人税減税のバラまきをやめ、応分の負担をさせる税制改革の道こそ選択するべきだと強調しました。
志位氏は、消費税を緊急に5%に減税し、インボイス(適格請求書)制度を廃止するための財源は「赤字国債に頼るのではなく大企業・富裕層への減税、優遇を見直すことで賄うという具体的な提案をしている」と主張しました。
志位氏は公平な税負担とは何かと述べ、国税庁の「税法入門」によると「税負担は担税力に応じて配分されるのが公平である」と明記されていると紹介。「担税力とは租税を負担するものが不当な苦痛を感じることなく、社会的に是認できる範囲内で租税を支払える能力」とあり、「政府として『税負担は負担能力に応じて』が『公平』という立場か」とただしました。
加藤勝信財務相は「公平の原則は担税力に応じて税を分かち合うことを意味すると承知している」と応じました。
志位氏は、2012~23年の11年間で、資本金10億円以上の大企業の税引き前利益は29・2兆円から2・6倍の77・1兆円に増えているが、法人3税は9・4兆円から15・2兆円と1・6倍の伸びにとどまっていると指摘。大企業に減税・優遇を繰り返した結果だと迫りました。
志 位 大企業の内部留保は333・5兆円から539・3兆円と空前の規模に達して
いる。大企業は今以上に担税力があることは明瞭だ。
財務相 受取配当等の益金不算入制度、外国子会社から受ける配当の益金不算入制度を
適用する大企業が多いため、大企業の負担率が低く見えるが必ずしも大企業の負
担率が軽減されるとは言えない。
財務相 担税力「ない」と言えず
志 位 法人税減税バラマキ 間違い
志位氏は、資本金1億~5億円の中堅企業をピークに大企業になるほど法人税実質負担率は低下すると指摘。小規模企業は18・5%、中堅企業は20・6%で大企業は10・0%だとして「小規模や中堅企業に比べ実質負担率は約半分だ。受取配当益金不算入や外国子会社配当益金不算入、研究開発減税など大企業優遇税制をしてきた結果だ」として、大企業には今以上の担税力があるのは一目瞭然だと強調しました。
また、「実質負担率は『低く見える』のではなく実際に低い」と指摘。経済産業省の委託調査で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの23年3月の報告書も、企業規模別の税負担率の試算で「企業規模の大きい企業の方が税負担率が小さい」と結論づけていることを示しました。
志 位 私が聞いているのは大企業に今以上の担税力があるかないかの一点だ。中小企
業に比べ担税力が劣る根拠があるとでも言うのか。
財務相 メリハリある法人税体系を構築する必要がある。
志 位 今以上の担税力はないとは言えなかった。法人税減税は賃上げにも設備投資に
もつながらず失敗だったと首相も認めている。
志位氏は「十分すぎる担税力を持った大企業に減税をバラまき、担税力のない低所得者から情け容赦なく消費税を取り立てる。こんな間違った政治はない」と批判。大企業や富裕層から応分の負担を求める税制改革を行うことで赤字国債に頼らず消費税5%への減税の財源はつくることができると主張しました。
論戦ハイライト 医療崩壊くい止めるため 財源確保し社会保障充実を 山添氏迫る
しんぶん赤旗 2025年5月20日
日本共産党の志位和夫議長と山添拓政策委員長は19日、それぞれ国会質問に立ち、具体的財源提案と一体で消費税5%への緊急減税を迫りました。
山添 日本の医療は崩壊の危機
首相 ご指摘のとおり
山添氏は参院予算委員会で、物価高のもと医療機関が危機にある実態を直視するよう迫り、社会保障の財源を消費税に限定する政府の姿勢を批判しました。
全国保険医団体連合会の緊急調査によると、昨年比で収入減の医療機関は65%に上り、診療報酬改定で光熱費や材料費など物価高騰分を「補填(ほてん)できていない」が9割超です。山添氏は切迫した病院の事例を紹介。都内のある病院では、入院ベッドの使用率が9割以上でないと経営が成り立たず、それでは余裕がなくなるので、やむなくボーナスをカットしたため看護師が20人退職しました。山添氏は、診療時間や診療料、入院の受け入れを減らし、救急医療を停止する病院が全国で広がり「国民の命に関わる状況だ」と強調しました。
山添 日本の医療が崩壊の危機だという認識はあるか。
首相 大変厳しい状況にあるのはご指摘の通り。
山添氏は、物価高騰から暮らしを守る日本共産党の緊急提案(4月)で、患者の負担にならないよう国費を5000億円投入して診療報酬の基本部分を引き上げ、医療従事者の賃上げを求めていると説明。現在、物価上昇2・7%に対し、診療報酬改定は0・88%引き上げと不足しているが、5000億円の国費投入は診療報酬の実質2%引き上げになると強調しました。
福岡資麿厚生労働相は、2024年度の補正予算で1300億円の緊急支援などを行うほか、融資事業を拡充したなどと答弁。山添氏は、補正予算で最も使われているのは病床を削減する医療機関に1床当たり400万円超を支給する補助金で、現在5万床分申請されているとして「この通り進めば医療体制が崩壊する」と警告しました。一方で、賃上げに充当可能な支援事業は、200床の病院でも最大800万円程度の支援で、使われていないと批判しました。
山添 診療報酬上乗せ 負担は重い
首相 行き届いているか検証する
山添氏は、カテーテルなどの治療材料や医療機器、入院給食の材料費など値上がりは大きいが「命を守るために必要な経費で節約できない」と指摘。最終消費者とみなされ患者に負担を転嫁できない医療機関の消費税負担の重さを示しました。
山添 日本医師会などの資料によると2018年からの5年間で消費税負担は48・9
%増え、1・5倍。消費税一律5%への減税が即効性のある対策だ。
首相 (消費税分は)診療報酬に上乗せしている。
山添 診療報酬での対応を経てもなお、消費税負担が重いというのが、病院団体からの
指摘だ。
首相 補正予算や本予算で対応した部分が本当に行き届いているかどうか。検証結果を
見て対応する。
山添氏は、消費税の財源問題を追及し、主要国で付加価値税(消費税)の使途を社会保障に限定している国はあるのかと追及しました。加藤勝信財務相は日本以外には「把握していない」と答弁。首相は消費税以外の財源を社会保障に充てることは「法的に禁止されていない」と答えました。
山添 社会保障充実こそが経済を支える
首相 社会保障機能 安心に
山添氏は『2012年版厚生労働白書』は社会保障の機能・役割について▽生活の安心を提供▽現役世代の生活保障にも貢献▽経済成長に寄与―としていることに言及。医療や介護、福祉機関の収入は、そこで働く人の雇用を支え、その給料は消費に回ると指摘しました。
山添 社会保障の充実こそが経済を支える。
首相 まさしくその通り。社会保障が機能することは安心につながり消費を喚起する。
山添氏は、だからこそ消費税を減税し、大企業や富裕層に応分の負担を求めて財源を確保し、社会保障を充実させるべきだと強調しました。