2025年5月22日木曜日

ガザでジェノサイド 世界が抗議

 15日、イスラエルの建国により70万人以上のパレスチナ人が土地を奪われ難民となった「ナクバ(大災厄)」から77年を迎えました。
 イスラエルによるガザでのジェノサイド(集団殺害)は現在進行形で行われています。イスラエル軍はガザで18日、大規模な地上作戦を開始し未明からガザ全土に激しい爆撃を続け、1日でガザの住民144人以上が殺害されました。

ガザでジェノサイド 世界が抗議
国の首都ワシントンで18日、パレスチナ連帯行動が取り組まれました。参加者は、イスラエルがパレスチナのガザ地区で続けているジェノサイドに抗議し、米政府によるイスラエルヘの武器輸出の停止を求めました。
オランダのハーグで18日、パレスチナのガザ地区への軍事侵攻を強めるイスラエルに抗議し、オランダ政府に対してイスラエルにより厳しい態度をとるよう求めて市民がデ行進しました。10万人以上が参加し、オランダでは過去20年で最大規模のデモ行進になりました。
メキシコ市では18日、ガザ地区で続くイスラエルの蛮行に抗議し、パレスチナに連帯するデモが行われました。パレスチナ連帯組織や教員組合などが共同で呼びかけたもので、デモの先頭には、パレスチナのラシード駐メキシコ大使がパレスチナの旗を掲げて参加しました。
「メキシコはパレスチナと共にある」「パレスチナの解放を」などのプラカードを掲げた参加者は市内中心部のレフォルマ大通りを埋めました。
イスラエル南部のスデロットで18日、「すべてを捨ててガザ境界へ」をスローガンにデモが行われ、「ガザを救い、戦争参加を拒否しよう」「みんなのために戦争を終わらせよう」と書かれたプラカードを手に、数百人の参加者が激しい爆撃が続くガザ地区北部の境界を目指して行進しました。行進の途中、警察による弾圧を受け、主催団体の一つ「スタンディング・トゥゲザー(ともに立ち上がろう)」の全国代表アロンリー・グリーン氏ら10人が拘束されました。同団体の幹部で教員のサブリン・マサルワ氏は、「私は、人間性を保つためにここに来たのです。無実のパレスチナ人や子どもたちに対して行われている犯罪を見過ごすことは、人間として許されないと思うからです」と述べました

 しんぶん赤旗の5つの記事を紹介します。
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ガザでジェノサイド 世界が抗議
                       しんぶん赤旗 2025年5月20日
「ナクバー終わってない」 ワシントン
【ワシントン=柴田菜央イスラエルの建国により70万人以上のパレスチナ人が土地を奪われ難民となった「ナクバ(大災厄)」から77年(15日)を迎え、米首都ワシントンで18日、パレスチナ連帯行動が取り組まれました。参加者は、イスラエルがパレスチナのガザ地区で続けているジェノサイド(集団殺害)に抗議し、米政府によるイスラエルヘの武器輸出の停止を求めました。
 行動はパレスチナ系の若者団体が呼びかけました。今年のナクバの日はイスラエルのガザ攻撃が激化するなか、これまでにもましてイスラエルを非難し、「ナクバは終わっていない」との訴えが響きました。トランプ米大統領がガザ住民の移住に言及していることに対し、参加者は厳しく抗議しました。
 両親がナクバを経験したという参加者の女性(75)は、ヨルダン川西岸の出身で、1967年に同地がイスラエルに占領された影響で学校が3年間閉校になった経験などを語りました。「民族浄化」が続いているとして、人殺しをやめろと訴えました。
 エジプト出身のアミーラさん(45)は、トランプ氏がガザの「所有」やガザ住民の移住を主張していることについて、「まるでガザの人びとが存在しないかのようだ。彼らにもほかの人たちと同じように権利がある。私たちはその権利の保障を求めて闘い続ける」と力を込めました。
 生後13カ月になる娘と参加したハサンさん(35)は、「ガザで起きていることが自分の子に起きたらと考えると、ガザから発信される写真をすべては見ることができない」といいます。虐殺に加担する米政府に対し「ひどく憤っている」とし、抗議に参加し続けていると話しました。

オランダで10万人超デモ
 オランダのハーグで18日、パレスチナのガザ地区への軍事侵攻を強めるイスラエルに抗議し、オランダ政府に対してイスラエルにより厳しい態度をとるよう求めて市民がデ行進しました。ユーロニュースによると、主催者発表で10万人以上が参加し、オランダでは過去20年で最大規模のデモ行進になりました。
 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルや国境なき医師団などが呼びかけました。ジェノサイド(集団殺害)を続けて人道支援物資の搬入も妨害しているイスラエルは「レッドライン」(灘えてはならない線)を越えたという批判の意味を込めて、参加者は赤色のシャツを身に着けて集まりました。
 参加者は「ジェノサイドは決して正当化できない」「パレスチナに自由を」などと書いたプラカードを掲げて市中心部をぐるりと囲むように歩きました。
 アムネスティ・インターナショナルのマージョン・ロゼマさんはユーロニュースに対し、「イスラエルがガザでの人道支援物資の配布を妨害し、ジェノサイドや構造的な人権侵害などの罪を負っている限り、イスラエルヘの政治的、経済的、軍事的支援をやめるようオランダ政府に求める」と語りました。

メキシコ市でも
 メキシコ市では18日、ガザ地区で続くイスラエルの蛮行に抗議し、パレスチナに連帯するデモが行われました
 現地メディアによると、デモはパレスチナ連帯組織や教員組合などが共同で呼びかけたもの。デモの先頭には、パレスチナのラシード駐メキシコ大使がパレスチナの旗を掲げて参加しました。
メキシコはパレスチナと共にある」「パレスチナの解放を」などのプラカードを掲げた参加者は市内中心部のレフォルマ大通りを埋め、イスラエル側の攻撃について「戦争ではなくジェノサイド(集団殺害)だ」とシュプレヒコールを上げながら大統領府のある憲法広場まで行進しました。

「パレスチナ人の命も大切だ」 イスラエル
【カイロ=米沢博史】イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への爆撃の激化と、それに伴うジェノサイドに抗議するデモが、18日、イスラエル南部のスデロットで開催されました。このデモは、「すべてを捨ててガザ境界へ」をスローガンに、イスラエルとパレスチナの平和団体が共同組織したものです。
パレスチナ人の命も大切だ」「ガザを救い、戦争参加を拒否しよう」「みんなのために戦争を終わらせよう」と書かれたプラカードを手に、数百人の参加者が激しい爆撃が続くガザ地区北部の境界を目指して行進しました。
 行進の途中、警察による弾圧を受け、主催団体の一つ「スタンディング・トゥゲザー(ともに立ち上がろう)」の全国代表アロンリー・グリーン氏ら10が拘束されました。
 団体の活動家ナダブ・ショフェト氏は本紙の取材に対し、「イスラエル国民の7~8割がこの戦争に反対している。道中で止められても、戦争に反対する声がイスラエル国内に多数あることを示すことができた」と胸を張って語りました。

人間性を保つために
 同団体の幹部で教員のサブン・マサルワ氏は、本紙の取材に次のように語りました。
       
 きょうは、イスラエル人とパレスチナ人という民族の違いや、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教といった宗教の違いを超えて、みんなでガザにおけるジェノサイド戦争の終結を訴えるために集まりました。
 私は、人間性を保つためにここに来たのです。無実のパレスチナ人や子どもたちに対して行われている犯罪を見過ごすことは、人間として許されないと思うからです。
 私はイスラエルの学校で教師をしていましたが、抗議運動に参加したことにより、教育省に呼び出され、停職と罰金の処分を受けました。
 それでも私たちは、ジェノサイド戦争の終結を求めるたたかいをやめません。弾圧は、政権が平和と人命を尊重する市民をどれだけ恐れているかの証しです。
 日本や世界のみなさんにも訴えたい。人間としての良心を保ち、ジェノサイド戦争を終わらせるために、ともに立ち上がりましょう。


ガザ日で死者144人 イスラエル軍 病院など謬爆撃
                       しんぶん赤旗 2025年5月20日
【カイロ=米沢博史】イスラエル軍は18日、大規模な地上作戦を開始しました。一方で、未明からガザ全土に激しい爆撃を続け、ガザ保健当局によると1日で144人以上が殺害されました。
 イスラエル軍が住民の避難先に指定した南部ハンユニスのマワシ地区の避難テントなども攻撃を受け、36人が殺害されました。
 ガザ北部で唯一集中治療をおこなっていたインドネシア病院は包囲され攻撃を受けました。医療施設に対する執拗な攻撃により、ガザ北部の主要病院はすべて機能停止に追い込まれました。
 インドネシア病院の院長のマルワン・スルタン医師は本紙に対し、「イスラエル軍は病院を完全に包囲し、動く者すべてを攻撃している,医療従事者は家族を殺され、心身ともに極限状態だ。まさに皆殺しの戦争だ」と語り、国際社会にイスラエルがガザ攻撃を停止するよう圧力をかけるように訴えました。
 国際社会は攻撃に対し、即時停戦を求めています。エジプトのシシ大統領は18日、カイロでトランプ米政権のマサド・ボウロス中東担当大統領上級顧問と会談し、ガザの即時停戦と人道援助の実施を求めました。
 世界各地でデモも行われています。18日、オランダのハーグで10万人の抗議行動が行われたのをはじめ、17日のアイルランドのダブリンのデモでは「ジェノサイド反対」が掲げられるなど、イスラエルの攻撃に対し国際社会の反発が広がっています。


イスラエル軍のガザ空爆で50人死亡、批判高まる中でも攻撃継続
                            ロイター 2025/5/20
[カイロ/テルアビブ 20日 ロイター] -     パレスチナ自治区ガザの保健当局は20日、イスラエル軍の空爆で少なくとパレスチナ人50人が死亡したと発表した。軍事作戦の停止とガザへの無制限の援助物資搬入を求める国際社会からの声が高まる中でも、イスラエルは攻撃の手を緩めていない。
ガザの医療関係者によると、空爆は南部ハンユニスのほか、中部のデイルアルバラ、ヌセイラト、北部のジャバリア、ガザ市など広範囲に及んだ。住宅2棟が攻撃を受け、女性や子どもを含む18人が犠牲となった。避難民が身を寄せる学校も被害を受けた。
イスラエル軍が軍事作戦を強化する中、過去8日間の死者は500人を超えたという。
イスラエル軍はコメントしていない。


イスラエルの新たなガザ地上作戦を糾弾し即時中止を求める―国連決議にもとづく制裁の実施を
                       しんぶん赤旗 2025年5月20日
志位和夫議長が声明
 日本共産党の志位和夫議長は19日、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への大規模地上作戦再開について次の声明を発表しました。

 一、イスラエル軍はパレスチナ・ガザ地区への大規模地上作戦を再開した。これは、イスラエルが1月の停戦合意を破って以来、攻撃と支援物資の搬入阻止を続けているもとで、ジェノサイド(集団殺害)を新たな段階にエスカレートさせるものである。ガザ住民の悲惨な非人道的状況を極限にまで深刻化させるものであり、断じて許されない。イスラエルによる地上作戦と無差別攻撃を糾弾し、その即時中止を強く求める。

 一、国連総会は昨年9月、イスラエルによる長年のパレスチナ占領政策を国際法違反と断じた国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を受け、イスラエルに占領政策の1年以内の終結を求め、加盟国にはイスラエルへの武器輸出、違法入植地からの輸入の禁止など、非軍事的措置・制裁の実施を呼びかける決議を採択した。わが党は、ビジネス界を含む国際社会が、国連決議にもとづく制裁を厳格に実施するよう強く求める

 ー、日本政府はこの国連決議に賛成しており、石破首相は日本は「法の支配に基づく国際秩序を堅持」すると述べてきた。ならば、イスラエル製攻撃ドローンの輸入計画の破棄、同国との経済連携協定交渉の中止など、具体的な行動をとるべきであるイスラエルを政治的・軍事的に支援する米国に、中止を迫るべきである。ガザでのジェノサイドを止める日本でのたたかいと支援、国際連帯のたたかいを緊急に強めるよう心から呼びかける。


きょうの潮流
                       しんぶん赤旗 2025年5月21日
 「新しい概念の形成には新しい用語が必要だ」。そう考えたポーランドの法律家は一冊の本を書き上げます。「占領下のヨーロッパにおける枢軸国の支配」。その中でつくられたのが「ジェノサイド」でした
 人種や部族を意味するギリシャ語の「ジェノス」と、ラテン語で殺人を意味する「サイド」の合成語。ナチスドイツのユダヤ人集団殺害をどう呼び、どんな法で裁くか。その先駆者となったのがラファエル・レムキンでした
 彼が考案した言葉は、戦後のニュルンベルク裁判で使用され、国連はジェノサイド犯罪の防止と処罰に関する条約を採択しました。これは発足後、最初の人権条約となり、現在では150を超える国が批准しています
 見渡す限りのがれきの山、重なる遺体、飢えに泣く子どもたち。「ガザはまるで生き地獄だ。食べ物や飲み物もない。このまま死んでしまいたい」。現地から伝わる絶望の叫びです
 医師のひとりは本紙に「イスラエル軍は動く者すべてを攻撃している。医療従事者は家族を殺され、心身ともに極限状態。まさに皆殺しの戦争だ」。連日の空爆に住民の強制避難、さらに大規模な地上戦の再開。国連は「民族浄化に等しい」と

 ジェノサイド反対のデモは世界各地で。その声は条約に批准しているイスラエルからも。親族49人をホロコーストで失ったレムキンはユダヤ人だけでなく、すべての人間集団の破壊を危惧していました。彼が発し、人類の力となった「ジェノサイドを禁じる」。いま改めて。