2025年5月8日木曜日

メディア情報誘導に最大警戒/対米交渉の戦略上の誤り(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の2つの記事を出しました。

「メディア情報誘導に最大警戒」では、昨年の都知事選で石丸伸二氏が得票を伸ばしたのは個人の力ではなくまたSNSの力でもなく、彼の「大がかりな組織選挙」をオールドメディアが大々的に宣伝したために付和雷同の投票者が増えたと分析しています。
 同様の戦術は12年に創設された日本維新の会をメディアが連日連夜〈第三極〉とはやし立てる大宣伝活動を展開して大幅に躍進させた際にも採られ、本当の〈第三極〉であった小沢新党=〈国民の生活が第一〉については「1秒も報道しなかった」結果、50名を超える議席を大幅に減少させました。
 そして〈国民の生活が第一〉から〈未来の党〉に党名を変更し、総選挙に向けての公約発表会見のパーティーを12月2日に開催したのですが、石原慎太郎都知事がその日に知事辞任を表明したことでメディアは石原辞任だけを報道しました(のちに石原氏は維新に合流)。
 こうしてメディアが小沢新党の報道を完全遮断した効果は大きく、〈未来の党〉の議席は激減し、替わりに議席を増やしたのが〈日本維新の会〉でした。この実績から「メディア情報誘導」の効果が再確認されました。〈日本維新の会〉の大宣伝に投下された放送時間をテレビCMスポンサー料に換算すれば天文学的な水準に達します。
 昨年の都知事選、総選挙では、それぞれ石丸新党、国民民主にメディアのリソースが集中投下されました。大手広告代理店は地上波だけが商品でなく、SNS対応が車の両輪の一つになっていてそれを活用した大宣伝活動が展開されています。
 植草氏は「メディアが情報誘導する対象には絶対に投票しない。これが重要になる」と結論づけています。

「対米交渉の戦略上の誤り」では、トランプ経済政策で右往左往する日本政府は基本戦略を間違えているとして、慌てふためいて米国に馳せ参じ御用聞きに回るのでは足元を見透かされ国益を損ねるだけであるとします。それに対して中国の対応は日本と好対照をなしていて、19年5月の対応は実に見事で、米国に譲歩せずに対等に立ち向かう方針に転換したことで最終的に米国に譲歩させたと述べています。
 中国は「毅然とした対応を示すことが最善」だとして、「それを実行すればやがて米国が譲歩するしかない」、「米国が白旗を上げざるを得なくなることは明白」だとまったく慌てないで、「王者の戦いを演じている」と評価しています。すべて事実に基づいているので説得力があります。
 なお、この記事はメルマガ記事の前半なので「尻切れトンボ」になっています。ごく簡略に「三つ」の内容を紹介すると、「」「軍事費」「日本保有米国国債」です

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メディア情報誘導に最大警戒
                植草一秀の「知られざる真実」 2025年5月6日
参議院選挙に際して留意すべきことはメディアの情報誘導に流されないこと。
オールドメディアとニューメディアが対比されるが根は同じ。投下される資金量が影響力に比例する

昨年の都知事選で石丸伸二氏が得票を伸ばしたが個人の力で伸ばしたわけではない。
メディアが大宣伝を展開した結果だ。蓮舫氏が得票を伸ばせなかったのは個人の魅力の不足。
熱烈に支持する人が少なかった。
石丸氏の選挙は大がかりな組織選挙でこの陣営をオールドメディアが大々的に宣伝したために付和雷同の投票者が増えたというもの。

同様の戦術は2012年に日本維新の会で採用されている。2012年に創設された日本維新の会は所属国会議員もわずかの弱小政党だった。
しかし、メディアが連日連夜〈第三極〉とはやし立てる大宣伝活動を展開した
本当の〈第三極〉は小沢新党=〈国民の生活が第一〉だった
こちらは所属国家議員が50名を超える正真正銘の〈第三極〉だった。
しかし、メディアは〈国民の生活が第一〉に関する報道を一切行わなかった。

メディアは〈日本維新の会〉創設パーティーに巨大な時間を投下して報道し続けた。
このパーティー後に〈国民の生活が第一〉が創設記念パーティーをホテルニューオータニで開催した。参加人数は〈日本維新の会〉パーティーを上回った。
ところが、メディアは〈国民の生活が第一〉創設記念パーティーを1秒も報道しなかった。
このパーティー開催日に合わせて東京都知事の石原慎太郎氏が都知事辞任を表明。
メディアは石原辞任だけを報道した。のちに石原氏は維新に合流。
〈国民の生活が第一〉パーティー報道を完全消去するために、パーティー開催日に辞意表明した。

12月2日、〈未来の党(国民の生活が第一から党名変更)〉が総選挙に向けての公約発表会見を行った。メディアは各党公約発表を大々的に報道してきた。
ところが、この日、中央高速笹子トンネルで崩落事故が発生した
日曜夜10時のフジテレビ報道番組は番組の全時間をトンネル事故報道に充当。
〈未来の党〉公約発表を1秒も放送しなかった。
自民党はトンネル崩落事故を活用して〈国土強靭化政策〉をアピール。

トンネル崩落は人為的に創作された〈事件〉であった疑いが強い。
野田佳彦氏が実行した2012年12月の自爆解散。安倍自民に大政奉還するための選挙だった。野田佳彦氏が年内総選挙を強行した最大の目的は小沢新党に巨額の政党交付金が交付されるのを阻止することにあったと思われる

メディアが小沢新党報道を完全遮断した効果は大きかった。〈未来の党〉の議席は激減。
入れ替わりで議席を増やしたのが〈日本維新の会〉。
この実績から〈メディア情報誘導〉の効果が再確認された。
〈日本維新の会〉大宣伝に投下された放送時間をテレビCMスポンサー料に換算すれば天文学的な水準に達しただろう。
昨年の都知事選、総選挙では、石丸新党、国民民主にメディアのリソースが集中投下された。
大手広告代理店は地上波だけが商品でない。
現時点ではSNS対応が車の両輪の一つになっている。SNSを活用した大宣伝活動が展開されている。

そのなかに、動画の切り貼り加工、拡散などが有償業務として実行されている。
公選法違反事案に該当するケースが無数に存在することが推察される。
メディアが情報誘導する対象には絶対に投票しない。これが重要になる。

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対米交渉の戦略上の誤り
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年5月8日
トランプ経済政策で右往左往する日本政府。基本戦略が間違っている
ものごとは大局から判断しなければならない。日本サイドが慌てふためいて譲歩すべき事項であるのか。それとも、非は先方にあり、先方が誤りに気付いて引き下がるのを毅然と見守るのか。中国の対応と日本の対応が好対照をなしている

トランプの高率関税政策に矛盾がある。矛盾は必ず米国に災厄を招く。
米国は自らの誤りによって窮地に陥り、上げた拳を降ろすことを迫られる。
この大局の読みがあれば慌てる必要はない。毅然とした対応を示すことが最善だ。
これを実行しているのが中国。やがて米国が譲歩するしかない。これを見越して王者の振る舞いを示している。

日本は高率関税に慌てふためいて米国に馳せ参じ、御用聞きに回っている。
この卑屈な対応によって足元を見透かされる。赤沢特命相に至っては「格下も格下」と公言して朝貢外交にいそしむ。国益を損ねるだけだ。

米国はレアアースの95%を海外に依存している。そのうち、70%以上が中国への依存。
保護主義を貫いて窮地に陥るのは米国である。米中貿易戦争が始動したのは2018年。
当初、中国は一方的譲歩の姿勢を示した。ところが、中国の譲歩にあぐらをかいてトランプ大統領が傍若無人の行動を示し始めた。2019年5月のこと。閣僚級会合が予定されるなかで、突然、トランプ大統領が高率関税の上乗せを一方的に通告した。

中国はワシントンで予定されていた閣僚級会合を1日延期させた。しかし、キャンセルはしなかった。しかし、トランプ大統領の傍若無人の振る舞いを確認して基本姿勢を転換した。
一方的譲歩を中止して、米国の強硬対応に見合う強硬対応を示す対応に切り替えた。
一方的譲歩を評価して穏当な着地を探るような相手ではないことを認識し、譲歩せずに対等に立ち向かう方針に転換した。その結果、最終的に譲歩に転じたのは米国である。
第一次米中貿易戦争は最終的に米国が要求を取り下げて2019年12月に決着した。

中国はこの経緯を教訓として積んでいる。しかも、戦略産業に必要不可欠なレアアースについて米国は中国依存から抜けられぬ状況に置かれている。米国は保護主義関税を設営しているが、他国には自由貿易を要求している。究極のダブルスタンダード。
中国は米国が保護主義に突き進むなら対米関係では足並みを揃えるスタンスを示している。
米国は輸入の門戸を閉ざすが、その行為が米国の首を絞める結果につながる。
やがて米国が白旗を上げざるを得なくなることは明白なのだ。
だから、中国はまったく慌てない。王者の戦いを演じている。

これと対照的なのが日本。米国のご機嫌を伺いに朝貢外交を展開する。
しかし、慌てふためいた行動がもたらすのは不必要な日本の譲歩の結末だ。
飛んで火にいる夏の虫である。
日本が絶対に〈やってはいけない〉ことが三つある。
その三つを日本がやらされるリスクが高まっている。

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