植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
政府は備蓄米を放出しているというもののコメ価格は一向に下がらないなかで、店頭のコメ在庫も底をつき始めているということです。価格高騰が止まらない根本原因はコメの供給不足で、政府が一貫してコメの生産を抑制してきたからです。
政府が農業人口削減に力を注いできた結果いまや日本の農業は風前の灯で、食料自給率は38%(以下)にまで低下しました。コロナショックが浮き彫りにしたのは、食料危機が発生すれば海外からの食料供給が遮断され、日本国民が餓死する可能性が顕在化したことでした。
米国は日本とは対照的に、食料が最重要の「戦略物資」であることを踏まえて外交政策を構築しているので、もしも米国が日本人の食料を支配する体制を構築すれば、日本は米国に隷属するしか道がなくなります。この状態で世界が食糧不足に直面すれば、まずは日本への供給を断ち切るだろうから日本は「飢餓大国」に転落する、そう植草氏は述べます。
そして「コメ生産を守ることは農家を守ることではなく、日本国民を守るための〝食料安全保障″なので、この根本を間違えてはならない」、「備蓄米放出が価格抑制の効果をまったく持たないのは備蓄の水準が過小で放出量が過小であるからだ」、「政府はコメ農家の所得を補償すると共に政府がコメを買い上げて、備蓄水準を国内消費量の1年分以上に引き上げるべきだ。そして需給がひっ迫した場合に備蓄米を放出すれば価格高騰を防止できる」、と具体的に述べます。いつもながら明快です。
当然「コメ農家の所得を補償する一方で、コメ小売り価格を低位に維持する」ためには「財政資金の投下が必要」です。いま日本に必要なのは無用で有害な「兵器」ではなく、量と価格が共に安定した「コメ」です。
そして非公開の後段では、「日本の農耕地の分布状況を踏まえても大資本農業は不適である。小規模農家が持続可能な条件を整備することが重要で、この取り組みをせずに農家が潰れることを前提に大資本農業への移行を想定することは誤り」で、最大の「戦略物質」であるコメの確保のために応分の費用が掛かるのは当たり前の話だとしています。
併せてまるこ姫の2つの記事
・備蓄米「停滞」の一因、処理能力追いつかず「さばききれない」なんで入札した?
・備蓄米放出後もコメ価格下がらず 江藤「期待された結果出ず申し訳ない気持ち」アホ!
を紹介します。
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食料安全保障軽視する不見識
植草一秀の「知られざる真実」 2025年5月11日
令和の米騒動が続いている。
コメ価格は高騰を続け、店頭のコメ在庫も底をつき始めている。政府は備蓄米を放出していると言うが価格高騰は止まらない。根本原因は米の供給不足。政府がコメ生産を抑制してきた。また、コメ農家の収入が限界まで抑制されてきた。コメ農家の年収は1万円。時給10円。この所得環境下で誰が過酷なコメ作り農業に力を注ぐのか。
政府は農業人口削減に力を注いできた。日本農業は風前の灯。
食料自給率は38%にまで低下している。コロナショックが浮き彫りにしたのは食料危機が発生すれば海外からの食料供給が遮断されること。日本国民が餓死する可能性が顕在化した。
国家の最大の役割は国民のいのちと暮らしを守ること。その根幹が食料の確保である。
米国は食料が最重要の〈戦略物資〉であることを踏まえて外交政策を構築している。
日本人の食料を支配する体制を構築すれば日本は米国に隷属するしか道がなくなる。
この状態で世界が食糧不足に直面すれば、まずは日本への供給を断ち切るだろう。
これにより、日本は飢餓大国に転落する。
コメ生産を守ることは農家を守ることではない。日本国民のいのちを守ることだ。この根本を間違えてはならない。
日本経済新聞はコメ農家を守るために〈食料安全保障〉が唱えられているとの偏向報道を展開する。日本重罪新聞だ。
コメ農家のための〈食料安全保障〉ではない。日本国民を守るための〈食料安全保障〉だ。
この新聞社は2001年から完全に売国新聞社に転じた。経営トップが鶴田卓彦氏から杉田亮毅氏に交代したのと同時に同新聞社は国際カルトの手下になった。
国際カルトは日本を利益収奪の対象としてしか見ていない。〈郵政民営化〉も国際カルトが日本の郵政マネーを収奪するための仕掛けだった。これを推進した小泉純一郎氏の〈盟友〉が杉田亮毅氏だった。
この新聞社の経営トップ交代と連動して同新聞社系列テレビ局の経済報道番組に出演していた私に対する激しい攻撃が展開されるようになった。
日本のコメ生産を守ることは〈農家を守ること〉ではなく〈国民のいのちを守ること〉を目的とするもの。この根本すら理解できないなら経済新聞事業を廃業にするべきだろう。
政府はコメ農家の所得を補償するべきだ。同時に政府がコメを買い上げて備蓄水準を国内消費量の1年分以上に引き上げるべきだ。需給がひっ迫した場合に備蓄米を放出すれば価格高騰を防止できる。政府の備蓄米放出が価格抑制の効果をまったく持たないのは備蓄の水準が過小で放出量が過小であるからだ。
政府はコメ農家の所得を補償する一方で、コメ小売り価格を低位に維持するために財政資金を投下するべきだ。
自動車の対米輸出関税の引き上げを緩和してもらうためにコメの輸入を増やすような愚策に手を付けてはならない。自動車産業はこれまでの〈日本円暴落誘導政策〉によって激烈な超過利潤を享受してきた。その自動車業界が関税率引き上げに直面するからと言って、コメ輸入を拡大する理由にはまったくならない。
関税率が上昇しても、これまでの日本円暴落誘導による利益を帳消しにするものにはならない見込み。
食料安全保障の観点から日本のコメ農業を守る重要性を明確に認識する必要がある。
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備蓄米「停滞」の一因、処理能力追いつかず「さばききれない」なんで入札した?
まるこ姫の独り言 2025.05.10
備蓄米の顔を未だに拝めない人間からしたら、農水省と農水大臣、そして蓄米を入札・落札したJA・全農の無能さに腹が立って仕方がない。
もう5月の半ばになろうとしているのに、備蓄米が小売市場に出回らないのは、「精米工場の処理能力が追いつかず、さばききれない」のが一因だと記事に書かれていたが、農水省も業者間の事情が初めから分かっていたのに、なぜJAにほとんど落札させたのか理解に苦しむ。
>備蓄米「停滞」の一因、卸売業者の段階で精米・袋詰めに時間…処理能力追いつかず「さばききれない」 5/10(土) 7:01配信 読売新聞オンライン >政府は2月に備蓄米を放出する方針を発表し、3回の入札ですでに計31万トンが落札された。だが卸・小売りサイドには十分に出回っておらず、コメの価格高騰に歯止めがかからない一因となっている。 |
まず、落札させる業者を分散させる必要があった。
いくら大手でもJAにだけ米を回せば、どうなるか予測がつかなかった農水省も農水大臣も「おーい頭ついていますか~、脳みそ入っていますか~」と言いたい。
これだけ米が不足していたら入札するにも高い金額を提示するのは分かっていたことでもあり、冗談だが抽選とかアミだくじとかでやりゃあよかったのに。
落札金額も低い設定で上限を決めると。
どうせ、どの業者も上限ぴったりで入札するだろうし、宝くじの抽選会場みたいな、見た目、公平公正を期してテレビ中継するとか?(笑)
それにしても、そんなにトラックの輸送手配や精米の袋詰めに時間がかかるのだろうか。
JAも処理能力が追い付かない事が分かっていたのなら、欲の皮の突っ張ったような落札はどうなのか。
国民に迷惑をかけるだけじゃないか。
出来ない理由が、トラック手配とか袋詰めとか、初歩の初歩のような感じもするし言い訳にしか聞こえないのだが。
ツイッターを見ていたら、そんなに精米するのに時間がかかるのなら「玄米」で放出しろとの声が・・・
それにしても、政権与党の自民党や農水官僚の能力の無さばかりが際立つ結果に。
米騒動だけ見ても国が衰退して行くさまが手に取るようにわかる。
備蓄米放出後もコメ価格下がらず 江藤「期待された結果出ず申し訳ない気持ち」アホ!
まるこ姫の独り言 2025.05.09
>備蓄米放出後もコメ価格下がらず 江藤農水大臣「期待された結果出ず申し訳ない気持ち」「さらなる方策ないか日々検討」 5/9(金) 12:24配信 テレビ朝日系(ANN) >備蓄米の放出後もコメの価格が高止まりしている状況について、江藤農林水産大臣は、「期待された結果が出ていないことについて申し訳ない気持ちを持っている」と話しました。 |
この大臣、自信をもって4月になったら安くなるなんて言っていた。
安くなるどころか高くなる一方という事は、農水省も農水大臣も短期間の予測すらできずアホだったという事じゃないか。
今、自分達が発した言葉とは真逆のコメ価格。
よくこんな、ぬけぬけと「期待された結果が出ていないことについて申し訳ない気持ちを持っている」と言えるものだ。
私は無能です。と言っているも同然の発言だ。
この記事の見出しには、備蓄米放出後コメ価格下がらずと書いてあるが、実際問題「備蓄米」そのものを見たことがない。
私が行くスーパーではコメ売り場にカリフォルニア米が積み上げられているが、そももそ最近国産米そのものが希少価値で4月になっても5月になっても下がる気配がなく、上がる一方だ。
何万トン放出と報道されてはいるが、一向に「備蓄米のお姿」も見られないし、国産米も恐ろしいほどの価格になっているし棚にごくわずかの量少。
しかし去年から国民は、主食である米高騰で、相当生活がひっ迫してきている。
政府が備蓄米放出をしても、入札制度にしたら現状、コメが少ないからと天井知らずになる可能性はあったと思う。
ここは、従来通りのコメ価格を維持するために、低い価格の上限を設定すればよかったのに。
ほとんど農協が落札したようだが、私が買い物に行く農協の直売所にもほとんど米が無い状態が続いている。
どうなっているの?
江藤は農水大臣と言うものの、実態は無能そのものでその顔を見るだけで腹が立ってくる
これだけ主食がまともに食べられない国にした責任を取って、とっとと早く辞任するべきじゃないか。
しかも農水省は、今年は大幅に米を増産する考えをしていないという。
これからは、いっそう気候変動が激しくなっていく時代だと言われているのに、農水省も農水大臣どこを見ているのだろう。
今年の秋も米騒動が続くかと思うとゲンナリする。
全く、政府が国民を殺しにかかっているとしか思えないのだが。。