2013年2月18日月曜日

住宅の除染はまだ2割、ゼネコンは除染も独占しようと


(お詫び: 15日夕刻事務局のパソコンが故障したため2日半 記事の更新が出来ませんでした。今朝ほど仮復旧しましたので運用を再開します) 

国の費用負担で各自治体が除染を行う地域(東北や関東の市町村)の住宅の除染は、昨年末の時点でまだ23%にとどまっているということです。
住宅以外では学校や保育園などの教育施設は全体の85%、道路や公園はいずれも58%ということです。 

一方、福島県内の警戒区域や計画的避難区域では12市町村で各12カ所ずつ「除染モデル事業」(国直轄)を行っていますが、そこでは環境省が明示している手当「1日 1万1700円+危険手当1万円」を大幅に下回る額しか作業従事者に渡っていないことが、「除染労働者110番」で明らかにされました。
除染モデル事業を内閣府から119億円で受託した原子力機構は、それから47億円を減額して大手ゼネコンの大成・鹿島・大林(を中心とする3JV=企業連合体)に丸投げしました。随分な“ピンはね”ですが、それでも採算がとれるのでしょうか。
旧 動力炉・核燃料開発事業団(動燃)
そもそも除染は人海戦術が柱で、大型の機器類や高度な技術は必要ないので、大手ゼネコンが介在する必要などありません。しかし「除染モデル事業」はいずれ全域の大規模除染事業に発展するので、ゼネコンはそれが目的です。
原発建設受注のビッグ3である大成・鹿島・大林が、ここでもまた原子力機構と一体になって除染事業を独占しようというわけです。

こんな風にして「原子力むら」の白アリ構造は依然として健在で、先にスクープされた「手抜き除染」(=山野の除染で汚れた靴や用具を川の水で洗ったり、汚染した木の枝や葉を川に流したりしている)も、そうした下請けいじめの構造の延長線上にありました。 

 以下にNHKニュースとしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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東北・関東 住宅除染はまだ約2割
NHK NEWS web 2013217 

国の費用負担で各自治体が除染を行う地域に指定された東北や関東の市町村で、昨年末時点で住宅の除染が終わったのはおよそ2割にとどまっていることが環境省の調査で分かり、各地で住宅の除染が十分に進んでいない状況が改めて浮き彫りになりました。

環境省は、国の費用負担で市町村が除染を行う、岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、それに千葉の、合わせて58の市町村について、昨年末時点の除染の進捗状況を調べました。
その結果、住宅の除染については、予定されている10万3713戸のうち、すでに終わっているのは2万3762戸で、全体の23%にとどまっていることが分かりました。

環境省は主な原因について除染の対象となる住宅が増えたことや、除染対象の住宅の数が多く、除染方法を巡って住民から合意を得るのに時間がかかっていることなどを挙げていて、住宅の除染が十分に進んでいない状況が改めて浮き彫りになりました。

また、住宅以外の除染については▽学校や保育園などの教育施設は全体の85%、▽道路や公園はいずれも58%で、作業が終わっているということです。
環境省は「自治体との連携を強め、対象となっている住宅の除染を急ぎたい」としています。
 

除染でピンハネ 「最低賃金+危険手当」を下回る日当
危険手当ゼロでも「もらったことに」 福島県労連が「労働者110番」
     しんぶん赤旗 2013217

 福島県労連労働相談センターは、「除染労働者110番」(14日)に寄せられた16件の相談内容を16日までに公表しました。1万円の除染手当(危険手当)が支払われるべき国直轄の「除染特別地域」から7件の相談がありました。環境省が明示している「1日1万1700円+危険手当」をもらう人は誰もおらず、逆に「最低賃金+危険手当」の1万5312円を下回る日当しかないとの相談が3件もありました。 

 相談では、除染手当がまともに支払われていないことを隠す悪質な例もありました。危険手当が支払われていないのに会社から「もらっていることにしてくれ」といわれたという人や、「危険手当はもらわない」と一筆を書けといわれた人がいました。

 「除染事業の元請けのゼネコンが受け取る金額は膨大なのに、ピンハネせずにきちんと払ってほしい」「原発の被害者で一生懸命働いているのに、何を考えているのか。やる気がなくなる」などの厳しい指摘がありました。
 雇用保険や社会保険の未加入、交通費の未支給、内部ひばく線量を調べるホールボディーカウンターを受けるときは無給になることなどの苦情がありました。
 
 国直轄の除染特別地域と放射線量に違いはない市町村実施の「除染実施区域」から、おもに「危険手当の対象にならないのか」との相談が5件ありました。 

誇りと自覚もてる労働に
 福島県労連労働相談センターの小川英雄所長の話

問題の重大さが浮き彫りになる相談でした。放射性物質を取り除く「除染」という労働の特別の危険を考えて「危険手当」が払われているものを、実際の作業に携わらないゼネコンなどがピンハネするなどは言語道断です。危険手当を「国直轄地域に出すが市町村実施地域には出さない」との制度も不可解で、改善すべきです。
 除染労働者の無権利・不安定な雇用の実態も明らかです。労働者が確保できなければ除染が進まず、安心して自分の家に戻れません。安定した労働条件で除染労働者が誇りと自覚をもって除染に取り組める制度の確立を国に求めていきます。