このところ中国海軍の火器管制レーダー照射を非難するニュースが新聞紙面やTVの画面に登場しない日はありませんが、中国政府や軍上層部が関与したものでなければ(内密に)強く抗議すれば済むことで、これほど繰り返し国を挙げて報じる必要はありません。
安倍首相は、これが9条改憲・国防軍の創設への環境づくりのまたとない好機だと思っているに違いありません。またアメリカの中国重視政策にショックを受けた首相が、中国の非をアメリカに訴える好材料にしているという見方もあります。
いずれにしてもこれでは日中関係の再構築は遠のく一方です。
◇では足元の国内はどうなのでしょうか。
灯油の値段が高騰するなか、底冷えのする仮設住宅で避難生活を送る福島の人たちは、就寝・起床の生活時間を工夫したりして灯油代の節約に努めているということです。以前に安普請の壁に段ボールを貼って保温効果を高めているシーンが放映されましたが、厳寒のこの時期どんなにか寒いことでしょうか。国にはせめて灯油代を補助するという意思はないのでしょうか。
政府は莫大な額の補正予算を立てましたが、その多くはいわゆる「○○基金」という形で役人たちの掌中に帰したと言われます。役人たちは自らには「寒冷地手当」、「へき地手当」、「都市手当」、「危険手当」、・・・といくらでも手当を付けながら、困窮者への現金給付策には頑強に反対します。現金給付には何の旨みも伴わないからだと言われています。
◇福島近海の魚介類はまだまだ高濃度の放射能を含んでいます。
当時、放射性廃液を取り敢えず10万~数十万トンのタンカーを用意してそれに移送すべきだという識者からの提案がありましたが、それを無視し国際法規も無視してどんどん海に放流した結果です。一体いつになれば魚介類中の放射性物質が正常値に復し、地元の漁民や水産加工業者が正常な生活に戻れると思っているのでしょうか。数十年を要するものであれば早く関係者に明らかにすべきでしょう。
◇昨年度収穫分でも高濃度汚染米が見つかりました。
そしてその都度いつも「流通はしていない」と発表されますが、どこにどのように処分されたかが明らかにされないままに、いつの間にか消失します。
一昨年産分は全体で数十万トンあった筈ですが、その所在は結局明らかにされませんでした。闇にまぎれて流通したとしか考えられません。汚染米の管理や迅速な補償の体制がないからです。
◇放射能汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設は当該の大熊、双葉、楢葉3町の了承がないままに、環境省は現地調査を行う業者の選定に入りました。双葉町の井戸川町長が「調査は事実上の着工だ」として反対を唱えていたものでした。そんな風に強行してこの先の見通しはあるのでしょうか。
◇そして埼玉県加須市内に役場機能を移しそこで避難生活を続けている人たちをはじめとして、福島の避難生活者には、いまだに何の見通しも希望もないままの生活をただただ強い続けています。
以下に関係記事を紹介します。
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寒さしみる「避難生活」 灯油、野菜高騰追い打ち
福島民友ニュース 2013年2月7日
今冬、古里の浜通りなどと異なる寒さと連日の大雪に戸惑いながら仮設住宅で避難生活を送る県民に、灯油代と野菜の値段の高騰が追い打ちを掛けている。避難者の中には「灯油を使う量を減らした」などと、生活防衛に取り組んでいることを明かす人も。避難前、自家菜園などで野菜を作っていた人からは「畑のありがたさが身に染みる」と、古里を懐かしむ声も聞かれた。
「灯油は3日に1度、買いに行くが(価格が)高い。早く寝て遅く起きるなど、起きている時間を短くして、なるべく灯油を使わないようにしている」。郡山市の仮設住宅に避難する富岡町の深谷クニ子さん(74)は、古里よりも厳しい冬の寒さと物価の高騰に生活の不安を募らせる。
富岡町の自宅では使うことのなかった電気毛布は今や必需品。「仮設住宅の底冷えが大変。(電気毛布に)くるまって寒さをしのいでいる」と中通りの寒さへの戸惑いを語る。加えて今冬の大雪。「こんなに降るなんて。外に出られないからテレビ、こたつ、暖房にお金がかかる」。浜通りからの避難者にとって不安は大きい。
「水産物」10点から基準値超セシウム検出
福島民友ニュース 2013年2月7日
(福島)県は6日、水産物59種、153点の放射性物質検査結果を発表、アイナメやイシガレイ、ウスメバルなど8種、10点が食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えた。
基準値を超えた10点のセシウムの検出値は、最大で1キロ当たり510ベクレル。
自家消費用米から規制値超セシウム…宮城・栗原
読売新聞 2013年1月10日
宮城県は10日、同県栗原市の旧沢辺村地区の農家が生産したコメから、国の規制値(1キロあたり100ベクレル)を超える最大240ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
規制値が変わった昨年4月以降、福島県以外で基準を超える放射性物質が検出されたのは初めて。
宮城県が昨年12月、この農家が自家消費用に生産したコメ16袋(1袋30キロ)を検査。全ての袋から1キロあたり110~240ベクレルが検出された。県は、同地区に出荷の自粛を要請し、全袋検査を始めた。同地区のコメは同11月以降、首都圏や東海、近畿に39トン流通しており、県は同日、卸売業者に回収を要請した。
月内にも現地調査着手 県内3町の中間貯蔵候補地
福島民友ニュース 2013年2月7日
環境省は6日、(福島)県内の除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設の設置に向けた現地調査について受注を希望する業者向けの説明会を都内で開いた。同省は大熊、双葉、楢葉3町の計9カ所の候補地が対象になると説明。20日ごろに業者を決め、3町と調整した上で、月内にもボーリング地点の選定などの現地調査に着手したい意向。しかし、3町が調査を受け入れる見通しは立っておらず、先行きは不透明なままだ。
同省はまた、設置の適否を判断するため、必要に応じて9カ所の候補地周辺に範囲を広げて調査する必要があるとの見解を明らかにした。ただ、調査で私有地に立ち入る際は、地権者の同意を得るよう業者に求めた。
福島・双葉町が住民意向調査 将来描けず、放射線も不安
東京新聞 2013年2月7日
東京電力福島第一原発事故で埼玉県加須市内に役場機能を移している福島県双葉町は、避難生活を送る住民の意向調査結果を発表した。町帰還までの間に別の自治体で集団で暮らす「仮の町」(町外コミュニティー)について回答者の42・8%が「住むつもりはない」とした。双葉町への帰還については30・4%が「戻りたいとは思わない」と回答した。
仮の町に「移り住みたい」は6・7%にとどまった。仮の町の具体像が示されていないことから「今後検討したい」が45・5%で最多。住むつもりがない理由(複数回答)は「いつできるかわからない」が32・1%で最も多く、「避難先での暮らしに慣れた」も29・4%あった。
双葉町への帰還について、戻りたいと思わない理由(複数回答)のトップは「帰還まで時間がかかる」で63・9%。次いで「放射線への不安」が62・3%にのぼった。世代別では、子育て世代に当たる三十代の約四割が戻りたいとは思わないと回答した。
調査は中学生以上の全町民6293人を対象に昨年12月20日~今年1月8日に実施し、3710人(回収率約59%)から回答があった。