国連は1月、アメリカの無人機攻撃の実態の調査に乗り出すことを決め、アメリカがどのような法律の枠組みで無人機の攻撃を実行しているのか検証し、国際法に違反していないかどうか年内に報告書を提出することになっています。
そうしたなかアメリカの上院議員が、これまでアメリカの無人機による攻撃で計4700人が殺害されたことを明らかにしました。メディアに載った無人機攻撃による世界規模での犠牲者をまとめた数字ということですが、このうちの何人がアメリカが殺害しようとした対象で、関係のない民間人が何人なのかは明らかではありません。
10,000kmも離れた外国領空上の無人機をテレビゲームさながらにアメリカ本土で遠隔操縦し、ミサイルを発射して無関係な子供を殺害した経験を持つ若者の述懐が先にインターネットに載りました※が、民家や民間の施設を標的にして、しかも確認も警告もなくミサイルを撃ち込むのですから、民間人の犠牲者が出ない方がおかしいと言えます。
※1月26日付「米
無人攻撃機の犯罪性にようやく国連のメスが」
以下に同記事をはじめ無人機関連のニュースを3つ紹介します。
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無人機攻撃による死者総数は4700人 米上院議員明かす
CNN 2013年2月24日
米連邦上院のグラハム議員(共和党)は24日までに、米国がパキスタンやイエメン、ソマリアなどで実行する無人機によるアルカイダ系組織幹部らへの攻撃でこれまで計4700人が殺害されたことを明らかにした。
地元選挙区であるサウスカロライナ州のインターネットメディアによると、同州イーズリーでの講演で述べた。
米政府は無人機攻撃について諜報に関わる機密性の高い作戦などとして詳細に立ち入ることは一貫して避けている。パキスタンでは無人機攻撃による民間人死亡も多いことから反米批判も広がっている。無人機攻撃は米中央情報局(CIA)が実施しているとされる。
同議員は4700人との数字について、諜報や国家機密を暴露したわけではないと主張。CNNの取材には、メディアに載った無人機攻撃による世界規模での犠牲者をまとめた数字と説明した。
CNNのテロ問題専門家は、無人機攻撃による死者数は1900~3300人、うち民間人は261~305人と指摘。米国の調査報道団体はこれまでの総数は4756人と推定している。
海外での無人機攻撃は、オバマ政権誕生後に激増した経緯もある。国家安全保障問題担当のドニロン大統領補佐官は、無人機攻撃は米国に深刻な脅威をもたらす集団と個人だけが対象と主張している。
米、テロ組織監視で無人機運用 ニジェールで
東京新聞 2013年2月24日
【ワシントン共同】オバマ米政権は23日までに、アフリカ西部マリでイスラム過激派の掃討作戦を展開しているフランス軍との情報共有に向け、マリの隣国ニジェールに派遣している米軍部隊を100人規模に増強した。オバマ大統領が議会に通知した。テロ組織を監視するため無人偵察機を運用するとみられる。議会への書簡によると、ニジェール政府の了承を得て20日に40人の米兵を新たに派遣した。米国はこれまで兵員輸送や空中給油などでフランス軍を後方支援していた。
イラン、無人偵察機捕捉と発表 革命防衛隊
東京新聞 2013年2月24日
【テヘラン共同】イランの革命防衛隊は23日、同国南部で実施している軍事演習の区域内に侵入しようとした外国の無人偵察機1機を捕らえたことを明らかにした。どの国の偵察機かは言及していない。イランのメディアが伝えた。
革命防衛隊によると、無人偵察機の航行システムを乗っ取り、演習区域近くの「地上に着陸させた」としている。
イランは2011年12月、同国東部の領空を侵犯した米無人偵察機を撃墜したと発表。同機は敵のレーダーに探知されにくい高度のステルス性能を持つRQ170とされ、米側は高度な技術情報の流出を懸念している。