2013年2月13日水曜日

今度は「自殺の要因の一つ」と


 大阪桜宮高男子生徒の自殺問題で市の外部監察チームが、バスケット部顧問の暴力行為が「自殺の一因」=「自殺の要因の一つ」になったとの見解をまとめたということです。一因(要因の一つ)というからには、他にもいくつかの「要因」があった筈ですが、それらは明確にされたのでしょうか。
 通常自殺の要因になり得るものとしては、病苦、生活苦(金銭面での苦痛)、うつ病、極度の落胆・挫折感、極度の悲しみ、激しいショック、錯乱などが考えられますが、顧問から受けた暴力とは独立してそうした要因があったというのでしょうか。あるいは彼に精神的な虚弱性があったのでしょうか。 

同生徒は、少なくとも昨年1218日と22日の練習試合中に、顧問から頬を3040回平手打ちされたと報じられています。それも衆人環視のなかで行われたということなので、感じやすい年頃の彼にとってどんなにか屈辱だったことでしょう。
その上バスケットボール部の主将をやめれば主力メンバーからも外されると言われていたので、当初目指していた大学進学に大いに不利になり、彼が前途を悲観したであろうことは容易に推測されます。

 しかしそうした事柄が暴力からは独立した要因としてカウントされて、結局顧問の暴力は自殺の「要因の一つ(に過ぎない)」とするのであれば、大いに当を失した判断だと言わざるを得ません。
 折角市が外部観察チームを作って調査したというのに、もしも大いに釈然としない報告書になるとしたら残念なことです。 

 以下に、東京新聞と読売新聞の記事を紹介します。 

    追記) 関連記事 23日付「教育委は深甚な反省を」
(青字部分をクリックすれば同記事にジャンプします。以下同)
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桜宮高自殺 顧問の暴力 一因 市教委、処分を協議
東京新聞 2013212

 大阪市立桜宮高バスケットボール部の男子生徒自殺問題で、市の外部監察チームが、バスケット部顧問の男性教諭(47)による昨年12月の生徒への暴力行為が自殺の一因になったとの見解をまとめたことが、市教育委員会関係者への取材で分かった。市教委は12日、この見解を基に顧問の処分などについて協議する会合を開いた。

 顧問は市教委に対し、昨年1218日と、自殺前日の同22日の練習試合で、生徒の頬などを複数回、平手打ちしたと申告。部員への“体罰”が常態化していたことを認め、自殺した生徒に対しては「厳し過ぎた」と語っていた。

 市教委は社会的影響の大きさも考慮し、免職を含めた厳しい処分とする見通しだ。
 外部監察チームがあらためて副顧問や部員らから聞き取りした結果、これらの行為が自殺の要因の一つになったと判断した。
 職員の懲戒基準を定めた市条例は常習的な体罰を「免職または停職」と規定しており、厳しい処分に踏み切るとみられる。顧問は現在、自宅謹慎中で、市教委は処分の書面を本人に交付した後に正式発表する。

 市教委は5日、この顧問を代えて複数顧問体制でバスケット部を指導することを決めた。
 

桜宮高教諭の「暴力」が自殺の一因…懲戒免検討
読売新聞 2013212

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部の2年男子生徒(17)が自殺した問題で、実態を調査している市外部監察チームが、自殺直前の同部顧問の男性教諭(47)による暴力が自殺の要因の一つ、と認定する報告書をまとめたことがわかった。 

 顧問に対し厳しい処分が相当とも指摘しており、市教委は報告書の提出を受け、12日の教育委員会議で、顧問の懲戒免職を検討する。 

 市教委や弁護士でつくる外部監察チームは、顧問や生徒らから聞き取り調査を実施。その結果、男子生徒が自殺前日の昨年12月22日、同高体育館で行われた他校との練習試合中に顧問から顔などを平手で何度もたたかれ、同18日の練習試合でもコート内でほおを平手でたたかれていたことを確認した。