東電 柏崎刈羽原発の運転差し止めを求めた訴訟の第3回口頭弁論が4日、新潟地裁であり、東電側は柏崎刈羽原発について福島第1原発事故を踏まえた安全対策を講じるとし、継続的な安定運転は可能だとの書面を提出しました。
弁論の冒頭、福島県郡山市から新潟県へ避難している原告の2人の男性が意見陳述をし、「苦労をしてでも子どもの健康を願い二重生活を選択している。東電はこの大変さを理解しているのか」と訴えました。
次回は5月16日に開かれます。
以下に新潟日報と毎日新聞の記事を紹介します。
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東電「安定運転は可能」 柏崎刈羽原発訴訟・第3回口頭弁論
新潟日報 2013年2月5日
東京電力柏崎刈羽原発の周辺住民らが東電を相手取り、全7基の運転差し止めを求めた訴訟の第3回口頭弁論が4日、新潟地裁であった。原告側の「脱原発県弁護団」によると、東電側は柏崎刈羽原発について福島第1原発事故を踏まえた安全対策を講じるとし、継続的な安定運転は可能だとの書面を提出した。
提出した書面の内容について、東電は「訴訟に関することなので公開は差し控えたい」として明らかにしていない。
弁論終了後、新潟市中央区の県弁護士会館で会見した弁護団によると、東電側は書面で、福島事故は津波により電源が失われ、原子炉の冷却機能が喪失したことが原因と主張。それを踏まえ、柏崎刈羽原発については防潮堤設置などの津波対策や外部電源の確保策などに取り組み、安全を確保するとした。
これに対し、原告側の代理人は弁論の中で、防潮堤以外の対策の実施時期が明示されていないとして、具体的なスケジュールを明らかにするよう東電側に要求。しかし、東電の代理人は内容を書面で受けた上で回答したいとの意向を示した。
このほか、原告側は福島第1原発の津波対策を怠るなどしてきた東電側の姿勢を批判し、「原発を動かす電力事業者として安全を最優先する意識がない」と主張。福島事故により避難生活や二重生活を送っている原告2人が意見陳述をした。
次回期日は5月16日。
柏崎刈羽原発:差し止め訴訟
「安全性に問題ない」東電が準備書面提出
毎日新聞 新潟版 2013年02月05日
東京電力柏崎刈羽原発全7基の運転停止を求める住民訴訟の第3回口頭弁論が4日、新潟地裁(大竹優子裁判長)であった。被告の東電側は「中越沖地震や福島第1原発事故を踏まえた対策を講じており、安全性に問題はない」と主張する書面を提出。一方、原告側は「福島の事故の検証からして不十分で、安全性は立証されていない」と批判した。
弁論の冒頭、福島県郡山市から新潟県へ避難している原告の男性が意見陳述。「苦労をしてでも子どもの健康を願い二重生活を選択している。(東電は)この大変さを理解しているのか」と訴えた。
東電側はこの日提出した準備書面で、柏崎刈羽原発周辺の活断層や耐震安全性の評価、事故を踏まえた津波対策などを根拠に「安全性に問題はない」と主張した。だが、そもそも原告側は福島の事故原因について「津波によるものだけではない」と訴えており、津波原因説を挙げる東電側の主張と対立する。
また、東電側が福島の事故の被害実態について言及を避けたことについても原告から批判が相次いだ。
閉廷後、原告側の和田光弘弁護団長は「今後、争点の整理を裁判所側にも求めていく」と話した。次回弁論は5月16日に開かれる予定。【塚本恒】