2013年2月11日月曜日

維新の会が改憲に前のめり


 国会の開催に伴って各院の憲法審査会も再開の準備を進めていますが、野党第2党の日本維新の会が第1党の民主党を差し置いて衆院憲法審査会の会長代理ポストを獲ろうとしているということです。
維新の会が自民党組んで憲法調査会を改憲の方向に導こうとしていることは明白で、「民主党が会長代理になると憲法論議が停滞するから」などの言い分が通用する筈もありません。 

維新の会が改憲を主張していることは知られていますが、具体的にどのように改正しようとしているのかは明らかではありません。
共同代表の石原慎太郎氏は「憲法改正ではなくて破棄だ」と主張しているので、それでは終戦後に松本委員会が作った草案のような「大日本帝国憲法」に近いものを登場させようとでもいうのでしょうか。それならそれで自民党案とはかなり整合するので国民も判断がし易くなります。
自民党以外の改憲政党もいずれかの段階でその案を国民の前に提示し、議論を尽くすべきです。 

自民党の世耕官房副長官が参院選挙制度改革に関し、将来的には「憲法改正も視野」に“1票の格差”には拘らない改革を検討すべきだとの考えを示したということです。政府の要職にありながら憲法改正に向かって前のめりの姿勢を示したものです。 

民主党はいま綱領の検討を進めていますが、憲法については「『国民主権、基本的人権の尊重、平和主義』の基本精神を大切にしながら、未来志向の憲法を構想していく」として、それ以上の方向性は示しませんでした。
党内には前原氏や野田前首相などの名うての改憲論者がいるからと言われていますが、野党第一党が明確な護憲をうたえないのは困ったものです。 

 以下に関係の記事を紹介します。
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維新、衆院憲法審会長代理を要求 民主は譲る気なし
産経新聞 2013210

 衆院憲法審査会の会長代理ポストをめぐり、日本維新の会と民主党が争奪戦を繰り広げている。衆院の議席数で民主にわずか2足りない維新は「野党第一党も二党もない」として、憲法議論に後ろ向きな民主からポストを奪おうと必死。一方の民主は、野党第一党が代理ポストを得るという各党申し合わせを盾に譲る気がないのだ。

 7日、衆院憲法審の非公式幹事懇談会で、民主の武正公一氏と維新の馬場伸幸氏が激突した。武正氏が「代理は民主がやらせていただく」と表明すると馬場氏がすかさず反論、結論は先送りされた。
 馬場氏はほかにも、14日の審査会開催や与野党筆頭幹事間協議への維新の参加も求めたが、武正氏はいずれにも即答を避けた。
 維新幹部は「民主に会長代理を任せたら憲法論議が停滞してしまう」といらだつが、対決モードは民主の術中にはまっているとの見方も出ている。
 

憲法改正も視野 参院選挙制度で世耕官房副長官
産経新聞 201329

 世耕弘成官房副長官は9日、福島県内で開かれた討論会で「1票の格差」是正をめぐる参院選挙制度改革に関し、将来的には憲法改正も視野に抜本的な改革を検討すべきだとの考えを示した。
 人口の多少にかかわらず各州から2人ずつ議員を選出する米国上院の選挙制度を例示し「例えば各都道府県1人という考え方もある。憲法をいじるくらいのことはやってもいい」と述べた。
 

民主、綱領修正案で「憲法」踏み込まず
 読売新聞201329

民主党執行部が8日の綱領検討委員会総会(委員長・細野幹事長)に提示した綱領の修正案は、「憲法」に関する項目を新たに盛り込みながら、保守系と旧社会党系の議員双方に配慮し、具体的な見直しの方向性を示さないものとなった。

 1月22日に公表された綱領素案の時点では、憲法への言及はなかったが、修正案には「憲法の基本精神を具現化する」との項目を設けた上で「『国民主権、基本的人権の尊重、平和主義』の基本精神を大切にしながら、国民とともに未来志向の憲法を構想していく」などとした。 

 改憲に前向きな前原誠司前国家戦略相ら保守系議員の要求に配慮したものだが、護憲を掲げる旧社会党系議員の反発を招かぬよう、改正に直結するような表現は避けた。小川淳也副幹事長も記者団への説明で「国民とともに議論していくという立場の表明」とするにとどめた。