2024年5月29日水曜日

29- 中国は決して忘れない:「仕返しは地獄になる」(賀茂川耕助氏訳)

 NATO軍によるいわゆる「コソボ空爆」の一環として1999年5月7日、米軍の爆撃機B-2がベオグラード市内に出撃した際に、駐ユーゴスラビア中国大使館を爆撃し、29人の死傷者を出しました。

 後に緊急会議が開催されNATOと米国は中国に対し誤爆を謝罪しましたが、当時中国はセルビア側を支援していたため、故意に攻撃したのではないかという観測も報道されました。
 それから25年が経過した同日、米国のブリンケン国務長官が中国の空港に降り立ちましたが、出迎えたのは外相ではなく上海市党委員会主任で政治局委員のチェン・ジーニンで、レッドカーペット敷かれていなかったということです。

 この事実は もはや25年前の中国ではなくたとえ「誤爆」と言い訳されたとしても、唯では済まされないまでに、中国はいまや軍事的、経済的な大国になったことを顕わしています。
 米国がそのことをとうに忘れていたにしてもです。
「耕助のブログ」の掲題の記事を紹介します。
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中国は決して忘れない:「仕返しは地獄になる」
                 耕助のブログNo. 2161  2024年5月28日
   China Never Forgets: “Paybacks can be HELL!”  by Seth Fcerris
ベオグラードの中国大使館爆撃25周年に中国がベオグラードを訪問したことは、米国務長官が中国に到着した際に冷遇されたことと合わせて考えれば、米国に明確なメッセージを送るはずだ。ワシントンのエリートたちがそれを理解できるほど賢いかどうか別問題であるが。
アンソニー・ブリンケン米国務長官は中国に到着し、飛行機を降りると、出迎えには伝統的なレッドカーペットが敷かれていなかった。ブリンケンを出迎えた高官たちのヒエラルキーのトップにいたのは、上海市党委員会主任で政治局委員のチェン・ジーニンだった。ブリンケンは米国の国務長官であり、儀礼上、出迎えは少なくとも中国の外相のワン・イーだが、彼はいなかった。
また、米国と特にブリンケンが、ロシアとの緊密な関係を理由に中国に対する制裁の脅威を発していることも注目に値する。国連安全保障理事会で承認されていない制裁は違法であると考える中国側にとっては、間違いなく好ましくないことであろう。
ウクライナでのロシアの「特別軍事作戦」(SMO)が始まって以来、米国は、中国がロシアに武器を供給しているという噂を持ち上げてきた。今、彼らは「デュアルユース(二重使用)」という包括的な用語のもと、中国のあらゆる輸出品に狙いを定めているように見える。
このような懲罰的制裁の実績は悲惨なもので、特にイラクの場合をみると医療品や食料品などの「デュアルユース」品目に対する制裁で、子どもたちだけで50万人が死亡したと考えられている。もちろん米国はこの数字が「誇張されたもの」であると主張しようとしているが、これにはまともな証拠がない。
このような制裁の本質を示す証拠としては、ローデシア、そしてその後継国ジンバブエ、さらにはイラン、そして現在のロシアへの適用が挙げられる。経済的とはいえ、制裁は戦争の武器であり、その主要な行使者に牙をむき始めている

言うまでもなく、中国がすぐに方針を変えることはないだろう。ロシアとの貿易は急成長しており2023年には目標の2000億米ドルを400億米ドルも上回っている。これにより中国経済は2024年の第1四半期だけで5.4%の成長となった。
EUが愚かにも拒否し、禁止したロシアからのエネルギー輸出を、中国は喜んで手に入れ、ますます増大する工業力の燃料として役立てている。その見返りとして中国は米国とEUの制裁によって生じたロシアへの輸入不足を補い、工作機械やコンピューター・チップなどの製造品を提供してロシア経済を支えている。
米国の制裁の脅威に対して、中国外務省のワン・ウェンビン報道官は中国の立場を改めて表明した:
    米国は、中国とロシアの間の正常な貿易と経済交流をめぐって根拠のない非難を続ける一方で、ウクライナに多額の援助を提供する法案を通過させている。これは偽善的で非常に無責任である。中国はこれを断固として拒否する。
    ウクライナに関して、中国の立場は公正かつ客観的である。和平と政治的解決のための協議を促進することに積極的に取り組んできた。政府は法律と規則に従い、デュアルユース品の輸出を監督している。中国はウクライナ危機を作っていないし、当事者でもない。私たちは決して炎上を煽ったり、利己的な利益を求めたりしないし、スケープゴートになることも決して認めない。
    中国がロシアや世界の他の国々と、平等と相互利益に基づいて正常な貿易と経済交流を行う権利を妨害したり、妨げたりすべきではないということを、もう一度強調しておく。中国の合法的かつ合法的な権利と利益は侵害されるべきではない。
    米国は、炎上をあおったり、他国を中傷したり、責任を転嫁したりすることは、ウクライナ問題を解決する方法ではないことを知る必要がある。すべての当事者の正当な安全保障上の懸念を受け入れ、対話と交渉を通じてバランスの取れた、効果的で持続可能な欧州の安全保障体制を構築することだけが、正しい道なのだ。
 
中国の立場は、地球上で最も古く偉大な文明のひとつである中国に期待されるように、バランスのとれた思慮深いものである。米国政府全般、特にアンソニー・ブリンケンは、自分たちの祖先がまだ泥の小屋に住んでいた時代に中国が外交を行っていたことを思い出すべきである。
中国人はまた、米国とEUが戦争を長引かせるために何十億ドルもの兵器を投入しておきながら、他国にはロシアとの民間貿易の停止を要求していることに反感を持っている。この件に関する欧米の偽善に対する彼らの明らかな嫌悪を責めることはできない。
さて、米国によるベオグラードの中国大使館空爆25周年についてである。1999年5月7日の中国大使館空爆は、当時は多くの人がそう考えていなかったが、画期的な出来事だった。この空爆は3人の中国人ジャーナリストを殺害し(当時は衝撃的だったが、米国とその「最大の同盟国」イスラエルによって行われた現代の戦争では当たり前のことになっている)、その他多数の中国人を負傷させた。
当時、中国は国連でNATOによるユーゴスラビア空爆に反対を表明しており、米国主導の攻撃承認案にロシアとともに拒否権を発動していた。米国は後に、空爆は「偶発的」なものだったと主張したが、当時、中華人民共和国よりもはるかに強大な権力を誇っていた米国が、さりげないメッセージを送った可能性は高い。
爆撃の後、北京の米国大使館前で大規模な抗議デモが行われたが、これは政府公認の抗議デモとしては10年ぶりのことだった。爆撃によって中国が軍隊の大規模なアップグレードに力を入れるようになったという証拠もある。なぜなら米国との平和共存政策が支持されないだけでなく米国によって積極的に悪用されていることに気づいたからだ。
しばしば「富国強兵」と呼ばれるこの政策はこの20年間で実を結び、中国は現在、J-20やFC-31のようなステルス戦闘機や、DF-21のような弾道弾対艦ミサイル(「空母キラー」とも呼ばれる)を独自に生産できるようになった。これらはすべて、すでに実績のあるロシアのSu-35のような、より通常の航空機の幅広い配列でバックアップされ、急速に成長し近代化しつつある中国海軍は今や世界最大である。
島嶼基地を作るという中国の政策は、将来の戦争において米国の空母を中国本土や重要な航路から遠ざけ、これらのプラットフォームにおける米国の優位性を否定するのに十分な広さの「立ち入り禁止」区域を作ることを意図しているようだ。

軽視された中国設計の兵器
言うまでもなく、西側の軍事評論家たちは中国が設計した兵器システムを軽視する傾向があり、実際の証拠を示すことなく、米国の兵器システムが「著しく優れている」と決めつけている。ジャベリンATGMやスティンガーMANPADから、レボード2、チャレンジャー2、エイブラムス、ブラッドレーAFV、そして「戦争に勝つ」HIMARS、パトリオット、ストームシャドウ、地上発射型小口径爆弾(GLSDB)に至るまで、西側の「驚異の兵器」はすべて戦争の流れを変えることができず、多くの場合、見事に失敗している
さらに悪いことに、中国を制裁するという脅しは、それが銀行に対する金銭的なものであれ、主要企業や輸出品に対するものであれ、とんでもない裏目に出る可能性が高い。中国は世界の工場であり、世界の機能を維持する日常品の大半を供給している。製造品だけでなく、現代の技術社会が機能し続けるために必要不可欠なレアアースも中国が供給量の92%を占めている

流れは変わった
中国はもはや、1999年の米国大使館爆撃に安全に報復する術を持たない発展途上国ではない。中国は今や、軍事的なものであれ一方的な制裁という非常識な考えであれ、米国のいかなる侵略に対してもさまざまな方法で報復することができる軍事的、経済的な大国なのである。
すでに中国人は米ドル、特に米国債を手放し、金を買っている。このような動きが急速かつ大規模に拡大すれば、脱ドルのプロセスが急速に加速し、ひいては米国が金を刷り続ける能力に深刻な影響を与えるだろう。
米国の大企業に対する逆制裁も、深刻な経済的苦境を引き起こすだろう。レアアースの供給が途絶えれば、米国のテクノロジー産業、特に米軍産複合体を支える産業は急停止するだろう。

まるで米国政府はブロックの中で一番大きな子供ではなく、ブロックの中でたった一人の子供であることに慣れきっていて、発展についていくのに完全に失敗したように私には見える。そして、いじめられっ子が、自分がいじめる相手よりも大きく強くなったことに気づいたときに何が起こるかを知ることになるのだ。

がんばれ米国。責めるのは自分しかいない!
https://journal-neo.su/2024/05/13/china-never-forgets-paybacks-can-be-hell