「戦争する国づくり」を進める法律が10日の参院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成で次々に可決・成立しました。 政府は、兵器の共同開発を推進するために同盟国・同志国と同等の秘密保全体制を整備する経済秘密保護法について、最後まで軍事分野とは無関係であるかのような説明に終始し、陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」創設などを盛り込んだ改定防衛省設置法も、自衛隊を米軍の指揮下に組み込むという最大の狙いを認めないまま、わずかな審議時間で採決を強行しました。 これらは今に始まったことではありませんが、そうして強行採決された憲法違反の法案の害悪が増々直接的に国民に及ぶ形態になってきています。多くは国会の審議をしないまま決めたり国会で審議しても真実を偽るなど、岸田政権の危険性は安倍政権のそれに優るとも劣りません。加えて残念なのは立憲民主党がフラフラしていて、憲法違反の案件にもかかわらずその意識がないなど相変わらず捉えどころがないことです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 戦争国家2法 共産党 反対貫く 審議わずか 自公など成立強行 しんぶん赤旗 2024年5月11日)
日米首脳会談の合意に沿って、「戦争する国づくり」を進める法律が10日の参院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成で次々に可決・成立しました。政府は、兵器の共同開発を推進するために同盟国・同志国と同等の秘密保全体制を整備する経済秘密保護法について、最後まで軍事分野とは無関係であるかのような説明に終始。陸海空自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」創設などを盛り込んだ改定防衛省設置法も、自衛隊を米軍の指揮下に組み込むという最大の狙いを認めないまま、わずかな審議時間で採決を強行しました。衆院では外務委員会で、英国・イタリアとの次期戦闘機の共同開発・生産・輸出を推進するための政府間機関(GIGO)を設立する条約の承認案が可決。日本共産党はいずれも憲法の平和原則を踏みにじるものだとして反対しました。
同日、国会前では、市民が集まり抗議行動を展開し、「戦争する国、反対」「思想調査反対」の怒りの声をあげました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 日本共産党の井上哲士議員は、経済秘密保護法案の反対討論に立ち、同法は米国と日本の財界の要求に応え、科学技術全体を軍事に動員するためのものだと告発し、「日本を戦争国家、死の商人国家におとしめる法案は断じて認められない」と厳しく批判しました。(反対討論要旨 下掲)
岸田文雄首相はこれまで“同法は軍事とは無関係”との説明を繰り返し、「防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではない」と答弁してきました。井上氏は、一方で、軍需産業への参入を希望する企業からは「セキュリティー・クリアランス(適性評価、SC)」を求める声が上がり、質疑では経団連の参考人がその狙いを認めていると指摘。さらに、米英豪の軍事的枠組みAUKUS(オーカス)や駐日英大使が兵器の共同研究開発に関わってSCを含む情報保全体制を要求していることなどを挙げ、これらの追及に一度もまともに答えない首相の姿勢を糾弾しました。
政府は、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から防衛省の研究開発に結びつく可能性が高いものを効率的に発掘・育成する目的で「マッチング事業」の認定まで始めています。井上氏は、「政府はこの事業による研究成果で軍事利用の可能性が出てくれば、重要経済安保情報の要件を満たす形にして指定できることを否定しなかった」と指摘。「科学技術全体を防衛目的に動員することを可能にするものだ」と批判しました。
また、法案が秘密を扱う人に課すSCの調査は、個人情報を根こそぎ調べ上げるものだとして、「個人の思想・心情・良心の自由を踏みにじり、日本を監視社会にする憲法違反の法案は認められない」と訴えました。 「戦争する国づくり」を進める悪法に対する参院本会議での政党・会派の態度 | | 共産 | 立民 | 自民 | 公明 | 維新 | 国民 | れいわ | 沖縄の風 | N党 | 経済秘密保護法 | × | ● | ● | ● | ● | ● | × | × | ● | 統合司令部設置法 | × | ● | ● | ● | ● | ● | × | × | ● | ●…賛成 ×…反対 |
経済秘密保護法 井上議員の反対討論(要旨) しんぶん赤旗 2024年5月11日 参院本会議 日本共産党の井上哲士議員が10日、参院本会議で行った経済秘密保護法(重要経済安保情報法)に対する反対討論の要旨は次の通りです。
法案は、米国と日本の財界の要求に応え、同盟国・同志国と兵器の共同研究開発を推進するために「セキュリティー・クリアランス(適性評価、SC)」を導入するものです。 総理は、法案はあたかも軍事分野とは無関係であるかのように答弁してきました。しかし、SCに関する有識者会議では軍需産業への参入を希望する企業の声が紹介され、質疑では経団連の参考人がSCが必要とされる国際的な共同研究開発として軍需産業の参入を想定していることを認めました。 総理は、法案は防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではないとも答弁しました。それならなぜ、日本との先端軍事技術での協力の検討を宣言したAUKUS(オーカス)の共同声明が連携国にSCを含む情報保全を求めたのか。なぜ、次世代戦闘機の共同開発プログラムGCAPに関し、駐日英大使がSC制度は機密技術の共同開発を促進するために欠かせないと述べているのか。この問いに、総理は「答える立場にない」と述べるだけでした。
政府は、国家安全保障戦略を踏まえ、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から、防衛省の研究開発に結びつく可能性が高いものを効率的に発掘・育成する目的で「マッチング事業」の認定を始めました。この事業による研究成果で軍事利用の可能性が出てくれば、重要経済安保情報の要件を満たす形にして指定できることを否定しませんでした。 国際的な兵器の共同研究開発で利益を上げるために科学技術全体を防衛目的に動員することを可能にするものです。憲法の平和原則を踏みにじり、日本を戦争国家、死の商人国家におとしめる法案は認められません。 法案が秘密を扱う人に課すSCの調査は、政治思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、犯歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで根こそぎ調べ上げるものです。 警察庁は、調査に関して照会をうけた場合、日常業務としての個人情報の収集や第三者への提供があることを認めました。SCで得た個人情報の目的外利用は禁止されていますが罰則規定はありません。そうした個人情報はSC以外の目的に使用してはならないとするのが当然なのに、重要経済安保情報の保護以外の目的への利用を禁止しているに過ぎません。「重要経済安保情報の保護」を口実に、情報漏洩(ろうえい)の事実把握のためとして、警察による日常的な監視が行われる懸念が拭えません。 個人の思想・心情・良心の自由を踏みにじり、日本を監視社会にする憲法違反の法案は認められません。
廃止勝ち取る運動を 国会前で抗議行動 しんぶん赤旗 2024年5月11日
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経済秘密保護法の強行成立に反対し声を上げる人たち=10日、参院議員会館前
参院議員会館前では10日、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、総がかり行動実行委員会が経済秘密保護法(重要経済安保情報法)の強行採決に反対して、抗議行動しました。参加者は国会に向けて「戦争する国絶対反対」「思想調査の法案反対」と声をあげました。
秘密保護法対策弁護団の海渡雄一弁護士は「技術者など民間人が身辺調査の対象になり、私生活から政治信条まで調べられることになる。政権交代を起こし、秘密保護法もろとも廃止を勝ち取ろう」と訴えました。
武器輸出反対ネットワークの杉原浩司代表は「経済秘密保護法とともに、統合作戦司令部を創設する法案も参院でわずか1日の委員会審議で採決され、日英伊による次期戦闘機の共同開発条約もたった1日の委員会審議で衆院を通過させようとしている」と批判。総がかり行動実行委員会の高田健さんは「岸田政権の『戦争する国づくり』を止めるために、各分野の運動を結集して大きな流れを起こそう」と語りました。
日本共産党の井上哲士参院議員、社民党の福島瑞穂党首ら国会議員があいさつしました。