イスラエルはラファの人たちに再び避難を強制し、エジプトとの境界にある検問所を制圧して支援物資の搬入を完全に阻止しました。
ラファでもイスラエルによる爆撃・銃撃・糧道を断つなどの蛮行が行われています。そもそも住民の退避の強制することからして人道法違反で、イスラエルは「戦争犯罪」の限りを尽くしています。
そうしたイスラエルの鬼畜の行為に対して武器・弾薬を供与しながら支えてきた米国は、ここにきてようやく武器の供与を「一時停止」しました。西側メディアはそれを、米国の「強硬姿勢」と評していますが余りにもズレていて二の句が継げません。
しんぶん赤旗の7つの記事を紹介します。
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ラファ住民 再び避難 イスラエル軍 大規模侵攻の危険切迫
しんぶん赤旗 2024年5月10日
パレスチナ占領地のガザ地区南部ラファへのイスラエル軍の大規模な地上侵攻の危険が切迫しています。
カタールのテレビ局アルジャジーラによると、ガザ全域で攻撃が続く中、南部のラファ市東部がもっとも激しい攻撃にさらされています。ロイター通信は、ラファ中部で8日、戦車の砲弾が着弾し25人が負傷したと報道。同西部では空爆によって4人が死亡、16人が負傷したとの住民の話を伝えました。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)当局者は8日、退避勧告の出た6日以来、1万人のパレスチナ人がラファを離れたと発言。アルジャジーラの現地特派員は9日、爆撃の激化に伴いラファから40万人近くがガザ中部などへ避難を強いられていると報じました。ロイター通信は、ラファの市街地が「ゴーストタウン」となりつつある、と報じました。
ラファ検問所からの物資の搬入が止められたことで、医療や人道援助に重大な影響が出ています。国連人口基金(UNFPA)は、ラファ唯一の産科病院が新規患者の受け入れを停止したと発表。世界保健機関(WHO)は8日、医療機関の燃料はあと3日分しかないと警告しました。
ラファ 病院対応困難 1キロ先に戦車 医療従事者退避
しんぶん赤旗 2024年5月9日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍がパレスチナのガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所を制圧し、部分的な地上戦を行うなか、ガザ南部ラファではイスラエル軍による大規模な地上侵攻を恐れ、病院から医療従事者が退避しています。
ラファにあるクウェート病院のスハイブ・アルハムス院長は7日、本紙の電話取材に応じ、「イスラエル軍の戦車は私たちの病院からわずか1キロメートルしか離れていない」と語り、病院に支援に入っていた医療従事者らが緊急に退避していると話しました。
アルハムス氏は「保健省で働く医師たちも職場を離れた。ガザ北部の病院の同僚たちがされたように、イスラエル軍による拘束や危害を恐れている」と語りました。
アルハムス氏によると前日から激しい爆撃が続いています。同氏は「病院にはひどいけがを負った患者が大勢いるが、受け入れ能力の不足で対応が困難だ。レントゲンの機械も動かない。病院を長期間運営するには食料、医薬品、ベッド、設備、燃料が足りない」と嘆きます。
イスラエル軍の攻撃によりラファでは死傷者が増えています。
本紙の電話取材に応じたアブ・アメルさんは、4人の子どもとガザ各地で避難を繰り返し、ラファにたどり着きました。「イスラエル軍は住民に退避を命じたが、どこにも安全な場所はない。爆撃が続き、大砲の音が響いている。人々が殺されている」と言いました。
ロイター通信は医療支援団体の話として、ラファ検問所が閉鎖され、病人と負傷者の搬送と、ガザへの薬の搬入が妨げられていると伝えました。
エジプトは治療を要する負傷者などに限定してガザからの入国を認めてきました。ガザ保健省によると、7日は140人の患者がガザを離れる予定でした。
ガザ中部のアルアクサ病院にいるラマ・アブホリさん(8)は足のけがの治療のためにガザを離れるはずでした。彼女は「検問所が閉鎖されて行けなかった。動揺している」とロイター通信に語りました。
ラファ侵攻 容認できない 国連総長 休戦合意の実現訴え
しんぶん赤旗 2024年5月8日
【ワシントン=石黒みずほ】イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ最南部ラファの住民に退避を勧告し、本格的な地上侵攻の可能性が高まる中、グテレス国連事務総長は6日、報道陣を前に「地上侵攻は容認できない」と強調しました。イスラエル政府とイスラム組織ハマス指導部に対し、休戦合意の実現へ歩み寄るよう訴えました。
グテレス氏は同日発表の声明でも、「多くの人々が絶望的な人道状況におかれ、繰り返し避難を余儀なくされてきた」と指摘し、「民間人の保護は国際人道法の最優先事項だ」と語りました。
ターク国連人権高等弁務官は同日、イスラエル軍が、すでに爆撃を受け、病気や飢餓に苦しむガザの人々に避難を命じたことは「非人道的だ」として、「民間人の保護を最優先とする国際人道法や国際人権法の「基本的原則に反している」と述べました。
その上で、厳格な法的条件を満たす数少ない例外を除き、国際人道法は紛争下で民間人に避難を命じることを禁じていると指摘。条件を満たさない場合は「強制移動となり、それは戦争犯罪だ」と述べました。
国連児童基金(ユニセフ)も、イスラエル軍によるラファヘの地上侵攻は「60万人の子どもを壊滅的な危険にさらすことになる」と警告しました。ラッセル事務局長は、現在ラファの多くの子どもたちが負傷や病気、栄養失調、心的外傷に複合的に苦しんでいると指摘。医療設備や避難所を含む、わずかに残った支援事業とともに「子どもたちが保護されなければならない」と強調しました。
イスラエル、ラファ検問所制圧 侵攻反対 世界が声
しんぶん赤旗 2024年5月8日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍は7日朝、パレスチナのガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所を制圧しました。ガザ当局者はロイター通信に対し、ラファ検問所はイスラエル軍の戦車がいるため閉鎖されたと話しました。イスラエル軍のラジオはこれより先に、同軍が検問所にいると発表していました。
パレスチナ保健当局によれば、イスラエル軍の戦車と戦闘機が一晩中、ラファの複数の地域を攻撃。少なくとも家屋4棟への攻撃でパレスチナ人20人を殺害し、数人を負傷させました。
イスラエルは、ハマスの戦闘員数千人と人質数十人がラファにいる可能性があり、大規模な侵攻を開始すると脅しています。
欧州連合(EU)のボレル外相は、「ラファ攻撃は再び始まった」「これは多くの犠牲者を生む。彼ら(イスラエル)が、なんと言おうと」と記者団に語りました。
国連事務総長はじめ国連諸機関や各国がこの間、イスラエルのラファ侵攻に反対を表明しています。
苦しみ増大させる 欧州首脳ら行動呼びかけ
しんぶん赤旗 2024年5月8日
イスラエル軍がパレスチナ自治区南部ラファの民間人に退避を呼びかけ地上侵攻の意図を表明していることについて、7日までに欧州各国首脳らから批判が相次いでいます。
EUのポレル外交安全保障上級代表(外相)はX(旧ツイッター)への投稿で「さらなる戦争と飢饉(ききん)という最悪の事態を予感させる。容認できない」と指摘。イスラエル側にラファ侵攻を断念するよう求めた上で「EUは国際社会と共に、このシナリオを防ぐために行動することができるし、そうする必要がある」と語りました。
スペインのサンチェス首相もXに「パレスチナの人々がすでに耐えている苦しみをさらに増大させる」と投稿。「罪のない市民のこれ以上の犠牲を防ぎ、人道援助を行き渡らせ、イスラエル人の人員解放を可能にするためには即時停戦が必要だ。国際社会は、この悲劇を前にして無関心ではいられない」と強調しました。
ロイター通信によると、フランス外務省は、「民間人の強制移住が国際法上の戦争犯罪であることを想起する』と表明し、イスラエル軍がラファ侵攻を行わないよう警告しました。
ガザ支援妨害するな イスラエルに対しUNRWA
しんぶん赤旗 2024年5月8日
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリ二事務局長は5日、X(旧ツイッター)への投稿でパレスチナのガザ地区では「飢饉(ききん)の回避が時間とのたたかいになっている」と指摘し、イエルに対して人道支援を妨害しないよう求めた。
ラザリニ氏は「人道支援アクセスの拒否、スタッフやトラックヘの攻撃が増加している」と懸念を表明。同氏自身も過去1週間に2回もガザ訪問を拒否されました。また過去2週間に、支援トラヅクヘの銃撃や国連スタッフの拘束などが10件もありました。
国運スタッフはイスラエル軍から嫌がらせを受けたり、裸にさせられたり、武器で脅迫されたり、検問所で長時聞待たされたりしています。
ラザリニ氏は「人道支援物資のアクセスを否定することは国際人道法に違反する」と指摘し、イスラエル当局に人道支援活動を認めるよう求めました。またイスラム組織ハマスに対しても人道支援活動を狙った攻撃の中止を求めました。
世界食糧計画(WFP)のマケイン事務局長も5日、米NBCテレビで「ガザ北部で本格的な飢饉が起き、南部へ広がっている」と語り、イスラエルに人道支援活動の妨害をやめるよう求めました。
マケイン氏は、WFPはガザについて飢饉を正式に宣言していないものの、「直視するのが困難なほどの状況」だと述べました。また「われわれが継続的に要求しているのは停戦であり、ガザヘ安全かつ自由にアクセスできるようにすることだ」と強調しました。
虐殺止める介入を アラプ各国
しんぶん赤旗 2024年5月8日
【カイロ=時事」イスラエル軍が6日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファに避難勧告を出したことを受け、アラブ諸国は一斉に反発の声を上げました。エジプト外務省は声明を出し、ラファの地上戦は「重大な人道的リスクを伴う」と警告。最大限の自制を求めました。
エジプトはラファと境界を接しており、避難民が自国に流入することを強く懸念。境界一帯の警戒レベルを引き上げました。
ヨルダンのアブドラ国王は、ラファ侵攻が「新たな虐殺につながる恐れがある」と警鐘を鳴らしました。サウジアラビア外務省は声明で「虐殺を止めるための即時介入」を国際社会に要請しました。