ニューヨーク市のコロンビア大学から始まったイスラエルに対する抗議行動は米国各地の大学で広がっています。当然米国で大学当局が警察を導入して学生のストを弾圧していることに批判が高まっています。
米国の大学経営者の反動性は顕著で、2日の時点で少なくとも25州の40以上のキャンパスで2000人以上が逮捕されました。まるで「マッカーシズム」の再来に歩調を合せるかのようです。
コロンビア大学やニューヨーク市立大での講義や講演を拒否する学者たちも現れました。
国運人権高等弁務官は4月30日、「大学や警察による対応は人権法に基づく必要がある」と指摘しました。
米国の大学における学生たちの抗議行動が、欧州や他地域にも波及しています。
英国、スイス、スペイン、フランス、オーストラリア、カナダ、メキシコなどの一部大学で、イスラエルに関連する研究機関との取引停止やガザでのジェノサイドをやめるよう求めるデモが行われ、大学側の譲歩を引き出す事例も出ています。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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イスラエル抗議への弾圧 米大学当局に批判
しんぶん赤旗 2024年5月4日
パレスチナのガザ地区を軍事侵攻するイスラエルに対する抗議行動が米各地の大学で広がるなか、大学当局が警察を導入して強制退去や逮捕などの弾圧を行っていることに批判の声が上がっています。表現や言論の自由など基本的人権の侵害にあたるとして、学生を排除した大学での講演を辞退する識者も出ています。
大学生の抗議行動は4月18日からニューヨーク市のコロンビア大学で始まり、全米各地に一気に拡大しました。コロンビア大学当局は学生らが退去要請に従わないとして同月30日に警察を突入させて学生らを逮捕しました。その後、同大以外でも警察権力を用いた強制排除が続いています。
米CNNによると、2日時点で少なくとも25州の40以上のキャンパスで2000人以上が逮捕されました。
テキサス大学の1年生(19)は米テレビに「かなり離れた場所に立って、抗議行動を録画していただけなのに、数人の警官が来て地面に押さえ付けられて逮捕された」と話しました。平和的に抗議している人や行動と無関係な大学生も逮捕されているもようです。
気候危機問題に取り組識者〝言論の自由侵害″
コロン'ビア大では講演辞退も
かつてコロンビア大学で教授を務めたディパリ・ムコパディヤイ氏は2日、コロンビア大学のシャフィク学長に対し、現在行っている同大学の研究機関への協力を辞退すると表明しました。「ガザ地区での集団殺害に抗議する学生の平和的なデモに大学当局は非人間性を持って応じた」と批判しました。
機構危機問題に取り組む団体「気候に関する沈黙を終わらせよう」の創般者、ジュズビエーブ・ギュンター氏は1日、コロンビア大学で3日に予定されていた催しでの基調講演をキャンセルしたと明らかにしました。大学側の対応は言論や表現の自由を認めた米憲法に反するとし、「コロンビア大学と関係を持つことは権威主義的な対応を容認することになる」としました。
米人権団体「全米市民自由連合」(ACLU)のデボラ・アーーチャー氏]はこのほど、ニューヨーク市立大学ロースクールーの学位授与式での講演を取りやめる意向を表明しました。
ターク国運人権高等弁務官は4月30日、「大学で行われた警察の行勣のなかには不均衡なものがある」「大学や警察による対応は人権法に基づく必要がある」と指摘しました。
学生の抗議キャンプ 警官撤去 労組がスト実施向け投票へ
しんぶん赤旗 2024年5月4日
米加州立大学ロサンゼルス校
【ワシントン=石黒みずぼ」米西部のカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校で2日、警官隊がキャンパスに突入し、イスラエルのガザ侵攻に抗議する学生のキャンプを撤去しました。パレスチナに連帯する学生らに対する警察の弾圧が強まる中、学生労働者らを代表する労組もストライキ実施に向け行動を始めるなど、抗議の声がさらに高まっています。
同大学の学生らは4月25日に行動を開始。警官隊は1日夕、学生らに対し抗議キャンプの撤収を呼ぴかけていました。学生らはヘルメットやゴーグルを着用して身を守り、腕を組むなどして対抗。警官隊は2日未明、キャンプにめがけて閃光(せんこう)手りゅう弾などを投げ込みました。警官は学生らを逮捕し、キャンプを取り壊しました。
同大学では4月29日夜、親イスラエル派のデモ隊との衝突が起き、パレスチナに連帯する学生らは催涙スプレーを受けたり、棒で殴られるなどの攻撃を受けました。しかし、警察が対応をとったのは数時間後でした。
力リフォルニア州のニューサム知事は1日、警察の対応が遅れたことについて「受け入れられない」と批判しました。
同大学の学生労働者などを組織するUAW(全米自動車労組)4811支部は同日の声明で、対抗者の攻撃により、抗議キャンプに参加していた組合員も被害に遭ったと告発。「大学当局は表現の自由を行使する学生や教職員に対抗するための手段として暴力を許容している」と非難し、ストライキ実施の是非を問う投票を来週にも行うと発表しました。
世界各地 学生抗議広がる ガザでの虐殺やめよ
しんぶん赤旗 2024年5月5日
パレスチナのガザ地区への軍事侵攻を続けるイスラエルに対し、米国の大学で広がりを見せている抗議行動が、欧州や他地域にも波及しています。欧州メディアの3日までの報道によると、英国、スイス、スペイン、フランスの一部大学で、イスラエルに関連する研究機関との取引停止やガザでのジェノサイド(集団殺害)をやめるよう求めるデモが行われ、大学側の譲歩を引き出す事例も出ています。
米国学生に連帯
スペイン東部バレンシアのバレンシア大学では「パレスチナでの虐殺に終止符を打つ」をスローガンに、4月末から大学内に複数のキャンプが設置されました。学生らは大学側に対し、ガザでのジェノサイドをやめるよう呼びかける声明を出すよう求めています。
現地の報道によると、大学側は参加者のために携帯用トイレを用意し、雨の日は施設内の一部を開放。警備を強化しつつへ平和的なデモを行う学生の退去を求めない姿勢を明らかにしています。
英国のマンチェスター大、ニューカッスル大、ブリストル大などの学生らは「パレスチナの解放を」と書いたプラカードを掲げ大学施設外にテントを設置。イスラエル関連企業や武器製造企業への投資をやめるよう訴えました。1週間以上にわたり抗議を続ける学生もいます。
批判の高まりを受け、ヨーク大はイスラエルの名指しを避けつつ、武器製造・販売企業には「投資しない」と表明しました。
スイスのローザンヌ大学では約40人が抗議行動に参加。スイス政府が一部停止を表明した国運パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出を全面再開するよう訴えました。先月末にはフランスの名門高等教育機関のパリ政治学院でも抗議行動が行われました。
メキシコ市の国立自治大学では学生らが2日から40以上のテントを設置し、ガザでの虐殺に抗議。政府に対しイスラエルとの通商関係を絶つよう求めました。カナダのトロント大やオタワ大でもテント設置が相次いでいます。
強制的排除行われず
オーストラリアを代表する名門校シドニー大学でもガザ連帯キャンプが設営されるなか、同大学では3日、多くの学生が参加してイスラエルと関係のある企業への投資をやめるよう求める集会が開かれました。
ロイター通僻によると、シドニー大学のほか、メルボルン、キャンベラなど他の都市でも大学に連帯キャンプがつくられています。オーストラリアの大学では、米国のように警察が強制的にキャンプを排除することは行われていないといいます。
シドニー大学での集会には300人超が参加。2歳の息子を肩車して、大学への要求を唱和していたマットさん(39)は、ロイター通信に対し、「何が起きているのかを理解した人間には、抗議に参加し、人々の意識を高め、連帯を示す責任がある」と語りました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。