櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。
豪州連邦判事は5月14日、オーストラリアのSAS(特殊空挺部隊連隊)に所属する25名の隊員がアフガニスタンで民間人や捕虜39名以上を殺害したことを示す証拠をABCへ渡したデイビッド・マクブライドに対し、機密情報を開示したとして懲役5年8カ月を言い渡しました。この件でABCも家宅捜索されました。
戦場?であったとしても民間人や捕虜を殺害するのは犯罪でこそあれ、それを明らかにすることが「機密情報の開示」の罪に当たるとは・・・、国の醜悪さを暴露する以外のどんな罪に当たるというのでしょうか。それこそ司法が、「自国軍の戦争犯罪を告発すること」を許さない姿勢であることを明らかにするものです。
アサンジ氏への「懲役175年」という加罰を策している米英と同様、オーストラリアも「言論の自由」を旗印にする資格はありません。
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米英と同様、オーストラリアの裁判所も自国軍による戦争犯罪の告発者に厳罰
櫻井ジャーナル 2024.05.15
オーストラリアのSAS(特殊空挺部隊連隊)に所属する25名の隊員がアフガニスタンで民間人や捕虜39名以上を殺害したことを示す証拠をABC(オーストラリア放送協会)へ渡したデイビッド・マクブライドに対し、キャンベラの連邦判事は5月14日、機密情報を開示したとして懲役68カ月(5年8カ月)を言い渡した。オーストラリアの警察当局はこの件でABCを家宅捜索している。
オーストラリア軍は2001年にアメリカ軍やイギリス軍などとアフガニスタンへ軍事侵攻している。SASによる虐殺が2009年から13年にかけての時期にあったことはオーストラリア軍も2020年11月に提出した報告書の中で認めているのだが、そうした軍の犯罪行為を明らかにすることをオーストラリアの裁判官は許さないという決意を今回の判決は示したと言える。オーストラリア政府も当初から殺害に参加した軍人を処罰する意思を示していないが、その軍人は今でも自由の身だ。
アメリカは2003年にイラクを軍事侵攻したが、その作戦にもオーストラリア軍やイギリス軍は参加している。そのイラクで2007年7月にアメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが非武装の一団を銃撃、ロイターの特派員2名を含む十数名が殺された。
内部告発を支援してきたWikiLeaksがその様子を撮影した映像を2010年4月に公表したのだが、その映像を含む情報を提供したアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵は逮捕された。
WikiLeaksの象徴的な存在であるオーストラリア人のジュリアン・アッサンジは2019年4月11日、エクアドル大使館の中でロンドン警視庁の捜査官に逮捕され、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所で拘束されている。
アメリカの当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴している。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ハッキング容疑はでっち上げだ。アッサンジがアメリカへ引き渡された場合、懲役175年が言い渡される可能性があるのだが、オーストラリア政府は自国民であるアッサンジのために動いているとは思えない。
アメリカ、イギリス、オーストラリアのような国々は「知る権利」を認めていないと言えるが、この3カ国は2021年9月、AUKUSなる軍事同盟を創設したと発表した。中国やロシアを仮想敵としているはずだ。
その際、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられたが、そうした潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。
岸田文雄政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにしているが、その日本政府はAUKUSへ参加しようとしている。
AUKUSが言論の自由や基本的人権を否定、国際的なルールを無視していることは明確であり、勿論、民主的でもない。日本政府が言論統制を強化しているのは必然だ。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。