ガザは酷暑の季節を迎え気温は40℃に達しました。今後まだまだ上昇します。水も十分に飲めない環境の下で生後5カ月の女児がテントで亡くなりました。ウィサムさんの義妹(19)は25日に熱中症で死亡し、彼女の母親も熱中症で現在昏睡状態です。
硬質の「プラスチックでできたテントの中はオーブンのような熱さ」で、爆撃と飢餓に加えて「暑さ=熱さ」がガザの住民の命を奪おうとしています。
アメリカではガザ地区への攻撃に抗議するデモが一層広がり、およそ20の大学で学生800人以上が逮捕されました。コロンビア大学では29日、敷地内にテントを張って抗議を続ける学生たちに対し、現地時間の午後2時までに退去しなければ停学処分にすると通告するなど学生への弾圧を強めています。
またハマスとの衝突が起きた去年10月以前に、イスラエルの5つの治安部隊が重大な人権侵害を起こしていたことが明らかにされました。アメリカの法律は、外国の治安部隊などが重大な人権侵害に関与したという信頼できる情報があった場合、その部隊などへの軍事支援を禁じています。果たしてどうなりますか。
全米各地の大学でガザを侵攻するイスラエルヘの抗議運動が広がっています。西部オレゴン州にあるポートランド州立大学は26日、学生たちの要求に応じてイスラエル軍が使用する兵器の製造元である大手軍需企業ボーイング社との関係を一時停止すると発表しました。
ロンドンで27日、イスラエルのガザヘの攻撃に抗議し、即時停戦を求めて数万人がデモに参加しました。これはロンドン中心部での昨年来第10次のデモです。
しんぶん赤旗とNHKの3つ記事を紹介します。
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ガザ、酷暑が命奪う
しんぶん赤旗 2024年4月30日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍が攻撃を続けているパレスチナのガザが猛烈な暑さに見舞われています。国連は、非人道的な環境で避難生活を強いられている住民の健康被害が増すことを懸念しています。
28日に本紙の電話取材に応じたアワドさん(40)は中部デイルバラで避難生活を送っています。「プラスチックでできたテントの中はオーブンのようだ。爆撃と飢餓に加え、暑さが私たちの命を奪おうとしている」と語りました。
気温が40度に達し、少なくとも2人が暑さで死亡しています。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると25日、ウィサムさんは「義理の妹は家が爆撃され、死と破壊から逃れようとしていた途中で命を落とした。戦争はもういやだ」と嘆きます。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は25日、「猛烈な気温が苦しみをさらに増している」と述べ、「病気の発生の新たな懸念を引き起こしている」と警告しました。
前出のアワドさんは「避難者は過密状態で、きれいな水とトイレが不足し、薬も足りない。これに加え、高温が病気を増加させる」と話し、「気温が上がってハエや蚊がわき、サソリも出ている」と語りました。医療従事者は感染症、皮膚過敏症、シラミ症などの病気のさらなるまん延を懸念しています。
イスラエルのガザ攻撃に抗議デモ 米で学生ら逮捕 大学は約20に
NHK NEWS WEB 2024年4月30日
中東で戦闘が続く中、アメリカでは、イスラエルによるガザ地区への攻撃に抗議するデモがさらに広がり、アメリカメディアは、学生らが逮捕された大学は、およそ20に上るとしていて、緊張が高まっています。
このうち、ニューヨークにあるコロンビア大学では29日、大学側が、敷地内にテントを張って抗議を続ける学生たちに対し、現地時間の午後2時、日本時間の30日午前3時までに退去しなければ停学処分にすると通告しました。
これを受けて、さらに多くの学生が集まり、「私たちは立ち止まらない」などと声をあげて行進しました。
学生の代表の1人は、大学側が、イスラエルに関係する企業から支援を受けないとする要求を拒んでいるなどとして、「ほかの大学の学生たちと連帯していく」と述べ、抗議を続ける考えを強調しています。
アメリカでは、今月18日、コロンビア大学などで退去に応じない学生たちが警察に逮捕されたあと全米各地の大学で抗議活動が広がり、有力紙のニューヨーク・タイムズのまとめによりますと、これまでに16の州のおよそ20の大学で800人以上の参加者が逮捕されたということです。
29日には、南部のテキサス大学オースティン校で学生側と警察が小競り合いになって逮捕される人も出ています。
各地の大学は、学生以外の人もデモに加わり、ユダヤ系の学生に対する差別や偏見も報告されているとしています。
アメリカのメディアは今後、大学側が強い対応に出れば、一気に緊張が高まるおそれがあるという見方を伝えています。
組織ハマスの衝突が起きた去年10月以前に、イスラエルの5つの治安部隊が重大な人権侵害を引き起こしていたことを確認したと明らかにしました。
人権侵害の具体的な内容は明らかにしていませんが、アメリカのメディアは、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人に対する虐待などが行われていたと伝えています。
パテル副報道官はこのうち4つの部隊についてはすでに効果的な措置がとられ、是正されているとしています。
アメリカの法律では、外国の治安部隊などが重大な人権侵害に関与したという信頼できる情報があった場合、その部隊などへの軍事支援を禁じていて、会見に先立ち、アメリカのメディアは、イスラエルへの支援停止の可能性について報じ、ネタニヤフ首相が反発していました。
ただ、国務長官が、外国政府が効果的な措置をとっていると判断した場合は支援は認められることになっていて、ハマスとの戦闘が続く中、バイデン政権がどのような対応をとるのか注目が集まっています。
軍需企業との関係一時停止
しんぶん赤旗 2024年4月29日
【ワシン今ン=石黒みずほ】全米各地の大学でパレスチナ自治区ガザを侵攻するイスラエルヘの抗議運動が広がる中、西部オレゴン州にあるポートランド州立大学は26日、イスラエル軍が使用する兵器の製造元である大手軍需企業ボーイング社との関係を一時停止すると発表しました。
米ポートランド大
同大学のアン・カッド学長は、学生や教員に宛ったメールでボーイング社に対し資金提供はしていないとしつつも、同社から助成金を受け取っていることを明らかにしました。その上で、「大学コミュニティーから(同社との関係を断つべきだという)要求が熱意をもって繰り返し示された」として、適切な対応について協議がなされるまで、同社からの資金の受け取りを停止すると述べました。
大学は5月に、学生や教員らと問題について議論するフォーラムを開催し、学長も出席するとしています。
現地メディアによると、26日夜、同大学の近くでテントが張られ、パレスチナの旗などが掲げられました。参加者は週末にかけて抗議行動を続けるとしています。運動団体は、ポーイング社との関係を断つことや即時停戦を支持することなど、大学に対し13項目を要求。同大学の学生は学長に対し、同社との関係を断ち切るよう求める書簡を送っていました。
全国に先駆けて抗議が始まったニューヨーク市のコロンビア大では18日、100人以上の学生らが逮捕されました。以降、同様の抗議行動は全米各地の大学に一気に拡大し、米メディアによると、カナダを含め40以上の大学で抗議行動が実施されています。
ロンドン 数万人がデモ
ロンドンで27日、イスラエルのガザヘの攻撃に抗議し、即時停戦を求めて、数万人がデモに参加しました。「パレスチナ連帯運動」が呼び掛けたもので、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによる越境攻撃以来イスラエルによる軍事攻撃によってパレスチナ住民に対するジェノサイド(集団殺害)が続く中で、ロンドン中心部での第10次のデモとなりました。
現地からの報道によると、参加者は「ジェノサイドやめよ」「すぐ停戦を」「パレスチナ解放を」などと叫びました。
参加した女性は「多くの母親や子どもたちが殺されているのはとてもとても心苦しい」と話しました。
ユダヤ人も参加し「私はユダヤ人だ。ジェノサ不ドに反対だ」と書いたプラカードを掲げました。
デモの先頭には、パレスチナ連帯活動を続けている歌手のシャルロット・チャーチさんが参加し、集会で歌も披露しました。労働党の前党首ジェレミー・コービン氏も参加し「デモは巨大であり、ガザに対する爆撃が今も続いていることにがく然としているからここに来ている」とインタビューで語りました。
ホロコースト 生存者も参加
27日のロンドンでのパレスチナ連帯デモには、ホロコースト(ナチスドイツによるユダヤ人大虐殺)生存者スティーブン・カポス氏(87)も参加しました。
ロイター通信によると、同氏は「このホロコースト生き残りは主張する。ガザでのジェノサイードをやめよ」と書いたプラカードを持ちました。
カポス氏はハンガリー生まれ。第2次大戦中のナチスドイツによるユダヤ人迫害のさなか、7歳で家族と引き離されました。ホロコーストのなかで家族の多くは殺された一方、同氏は生き残り、1956年に英国に渡りました。
カポス氏はロンドンでの集会で、「ユダヤ人であることは、(ユダヤ人が建国した)イスラエルによるジェノサイドを自動的に支持することを意味しない」「イスラエルが今行っているジェノサイドを正当化ずるためにホロコーストを利用することに反対だ」と話しました。