5月15日は1948年のイスラエル建国記念日の翌日に当たるもので、パレスチナ人に連帯する人たちにとって、彼らが難民となった「ナクバ(=大災厄)を想起する日」でした。
この前後にパレスチナの200以上の村が破壊され75万人が故郷を追われました。
その人たちとその子孫が所謂「パレスチナ難民」で現在約590万人にのぼります。
ガザでは人口約230万人のうち約170万人が難民です。
米国はイスラエルへの武器・弾薬の供与を止めようとはせずに、正気の沙汰とは思えないイスラエルの凶行・虐殺はいまも続いています。
西側がこれまで振りかざしてきた「正義」とは一体何だったのでしょうか。それとも正義とは元々、不法、不条理、不可解、没論理の謂いだったのでしょうか。
同様に、これまで誇らしく「米国と価値観を共有している」などと口にして来た日本の政治家には何の動揺もないのでしょうか。
しんぶん赤旗の9つの記事を紹介します。
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ナクバ 76年前故郷奪われ ガザ また住まい追われる
攻撃はるかに残忍 飢えと渇き
しんぶん赤旗 2024年5月17日
【カイロ=秋山豊】パレスチナは15日、1948年のイスラエル建国で約75万人が難民となったナクバ(大災厄)を想起する日を迎えました。イスラエル領となった村の出身で現在ガザに暮らすファティマさん(87)は、今回のイスラエルの侵攻でまたも住まいを追われ、家族と繰り返し退避を強いられています。ユダヤ人による攻撃から逃れた76年前の記憶と今を重ねています。
(ナクバとパレスチナ難民)1948年のイスラエル建国と前後して、200以上の村
が破壊され約75万人のパレスチナ人が故郷と家を失いました。パレスチナではこ
れを「ナクバ(大災厄)」と呼んでいます。この時、故郷を追われた人々とその子
孫がパレスチナ難民で現在、約590万人にのぼります。このうち150万人以上
がヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザ、ヨルダン、レバノン、シリアの難民キャ
ンプに暮らしています。ガザでは人口約230万人のうち約170万人が難民。国
連総会は48年、パレスチナ難民の故郷への帰還権を認める決議194を採択しま
したが、イスラエルは帰還を拒否しています。
パレスチナ難民のファティマさん(左)と孫(ファティマさんの家族提供)
ファティマさんは14日、本紙の電話取材に応じ、「私は11歳でユダヤ人の部隊に故郷の村を追われ、おいを背負って逃げた。今はガザで息子と孫に背負われ、バスに乗って逃げている」と話しました。
前日に、イスラエル軍が空と地上から攻撃を強めている南部ラファから、中部デイルバラに逃れたばかりです。ラファに退避する前は、やはり激しい攻撃にさらされてきた北部のジャバリヤ難民キャンプに暮らしていました。
家と広い農地が
ファティマさんの故郷は、北部ガザ市から約20キロメートル北東にあった村でした。家と広い農地があり、野菜や果物を植えながら両親やきょうだいたちと暮らしていました。
村での幸せな生活は1948年、ユダヤ人部隊の襲撃で破壊されました。彼らは農民を殺し、子どもたちの命を奪いました。ファティマさんの家族も犠牲になりました。
ファティマさんは当時、暗くてほこりっぽい通りをはだしのまま逃げました。爆撃される恐怖のなか、ガザ北部のジャバリヤにたどり着くまで複数の村と都市を逃げ回りました。
イスラエル軍が現在ガザで行っている攻撃について、ファティマさんは、はるかに残忍だと語ります。「今回ほどの攻撃は経験がない。娘の夫と彼の父親も殺された。銃殺された親族もいる。近所の住民は空爆で大勢殺された。子どもを含め一家を全滅させる攻撃も行われている」と話しました。
「飢えと渇きもより深刻だ。76年前、私たちは逃げる途中で畑の野菜を採って食べ、人びとと食料を分けあって飢えをしのいだ」と言います。現在のガザはイスラエルによる封鎖で水も食料も絶対的に不足し、国連は北部で本格的な飢饉(ききん)が起きていると警告しています。子どもの栄養失調が広がっています。
移住強制は屈辱
ファティマさんは「手放すことを強制された故郷に戻ることを私は待ち望んできた。しかしガザでもイスラエルに移住を強制されている。屈辱的で大きな損害だ。ジャバリヤの自宅に家族と今すぐ戻りたい」と語りました。
(カイロ=秋山豊)
虐殺私たちが止める ナクバデー 新宿でコール
しんぶん赤旗 2024年5月17日
「ラファ、ラファに手を出すな」「フリー、フリー パレスタイン」とコールする参加者たち=15日、東京・新宿駅前
家を追われたパレスチナ人の帰還の権利を象徴する「鍵」を掲げる参加者たち=15日、東京・新宿駅前
「フリー、フリー、ガザ」「ラファ、ラファ、ラファに手を出すな」―新宿駅前で15日夜、小雨が降る中、大きなコールが響きました。
イスラエル建国にともない、1948年、75万人以上のパレスチナ人が故郷を追われ、難民となった「ナクバ」(大災厄、大惨事)の日とされる同日、イスラエルのパレスチナにたいする虐殺に抗議するアクションが日本各地でありました。夜の新宿駅前には、家を追われたパレスチナ人の帰還の権利を象徴する「鍵」やパレスチナの旗、「パレスチナ解放」「ストップジェノサイド」などと書かれたプラカードを掲げる人たちであふれました。
パレスチナのガザ地区出身のハニンさんは「故郷への思いは引き継がれている」「故郷に戻る夢は力強いものになっている」と訴えました。
ラッパー(⇒ラップ音楽奏者)で母が日本人、父がパレスチナ人のダニー・ジンさんがマイクを握りました。イスラエルによるジェノサイドを「次の世代に残してはいけない。この世代で終わらせたい」「平和のパレスチナに行きたい」と訴え、思いをラップにのせて歌いました。
傘もささずに参加していた女性は「人が人を殺すなんて、許せない」と怒りにふるえていました。昨年12月の渋谷でのデモを見かけて、初めてガザの侵略を知ったと言います。「知ってしまったら、行動しないではいられない」とリモートワークのあと、かけつけました。
35歳の女性は2010年に「中東のことを知りたい」とエルサレム近郊の町を観光で訪れたと言います。「そのとき、パレスチナ人と歩いていると石を投げられた」といいます。「虐殺のニュースを見ると本当につらい。微力だけど無力じゃない」とコールに応じて声をあげていました。
イスラエル軍 北も南も攻撃 逃げ惑うガザ住民
「行く当てない」 各地で死傷者
しんぶん赤旗 2024年5月15日
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍は13日、パレスチナ・ガザ地区の北部でも南部でも攻撃を強めました。どこにも安全な場所のないガザ地区で、市民は生き延びるため逃げまどっています。
最南部ラファから中部デイルバラに逃れてきたバセルさんは13日、本紙の電話取材に、「トラックの運転手に荷物を降ろしてもらったが、ここから行く当てがない。私は妻と子どもたちと、ごみのコンテナが置かれた路上で昼夜を過ごしている。幾度も移住を強いられてもう疲れた」と話しました。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、ラファからこれまでに約36万人が逃れたと述べています。
ロイター通信によると、イスラエル軍はラファ東部に対し、空と地上から攻撃を強めています。住宅が空爆されて死者が出ています。
ラファや北部ジャバリヤではイスラエル軍とハマスの戦闘員の間で激しい戦闘が起きています。ガザ保健当局は13日、イスラ工ル軍が住民57人を殺害し、82人を負傷させたと発表しました。
北部ジャバリヤ難民キンプの中心部にはイスラ工ル軍の戦車の砲弾が着弾しました。保健当局によると一晩の空爆で20人の遺体が収容されました。
ジャバリヤに暮らすアエードさんは「おそろしい状況だ。イスラエル軍は救急車も狙っている。多くの人が殺されたが、遺体が放置され、まだ通りにある。イスラエル軍が虐殺しているため、私たちは遺体を収容することができない」と話しました。
イスラエル軍は中部にあるヌセイラット難民キャンプの住宅も空爆し、少なくとも8人を殺害したと伝えられています。
国連職員1人死亡 現地採用以外で初 ラファ病院移動中
しんぶん赤旗 2024年5月15日
【カイロ=時事】国連は13日、ガザ地区で同日、国連職員を乗せた車両が攻撃気受け、職員1人が死亡、1人が負傷したと発表しました。死亡したのは現地採用ではない国際職員。インドメディアは、インド国籍者と伝えています。昨年10月の衝突以降、国際職員が犠牲になるのは初めてといいます。
発表によると、死亡したのは国連安全保安局の職員。ガザ最南部ラファの病院への移動中でした。職員の国籍は公表されておらず、イスラエルとハマスのどちらが関与したかも明らかではありません。グテレス国運事務総長は「人道支援従事者は保護されなければならない」と強調し、即時停戦を求めました。
ラファ奥深くまでイスラエル軍戦車
しんぶん赤旗 2024年5月16日
イスラエル車は14日、パレスチナ・ガザ地区最南部ラファの奥まで戦車を進め、住宅地域に到達させました。ロイター通信が伝えました。
住民によると、イスラエル軍が家々を砲撃し、煙が上がるのが見え、爆発音が聞こえました。イスラエル軍報道官は戦闘員100人を殺したなどとしています。
イスラエルはラファ住民に退避を命じてきました。国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)は、6日以降、約45万人が避難したと見積もっています。避難者は地中海に面した、トイレもないマワシ地域などに移っています。
ここ数日、北部も含めガザ各地で戦闘が激化しています。ガザ保健当局の14日の発表では、この24時間に82人が殺されました。一日の死者数としては、この数週間で最多です。
中東カタールのテレビ局アルジャジーラなどによると、イスラエル軍は13日夜、中部ヌセイラトの難民キャンプを空爆し、子どもを含む少なくとも40人を殺害しました。ラファから避難した家族がいた3階建ての建物が跡形もなく壊れたといいます。
イスラエル軍 人道支援攻撃続ける 国際人権団体「戦争犯罪中止を」
しんぶん赤旗 2024年5月16日
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は14日、昨年10月からパレスチナのガザ地区を軍事侵攻しているイスラエル軍が行った人道支援団体に対する8件の攻撃について報告書を発表しました。イスラエルの行為は国際人道法違反の戦争犯罪だと指摘し、攻撃の即時中止を求めています。
HRWはエジプトの首都カイロ、シナイ半島北部、エジプトとガザ地区の境界近くを訪問。ガザ地区で人道支援に携わる10以上の人道支援団体や国連機関の職員に聞き取り調査を行いました。 報告書が例示した8件の攻撃(表)では、要員やその家族30人以上が死傷しました。人道支援団体はイスラエル軍側に要員や民間人が郷動していることを伝えていましたが、いずれの団体のケースでも事前通告なしに攻撃されたと報告書は指摘しています。
◆イスラエル軍によるガザでの人道支援団体への攻撃
【2023年】 |
昨年11月18日にはガザ北部リマルで、病院付近の建物から137人の民間人を避難させていた「国境なき医師団」(MSF)の車両がイスラエル筆に攻撃されました。避難ルートについてはイスラエル軍と情躯を共有し、移動中も同軍と連絡を取っていました。MSF職員は「イスラエル当局が導入した調整措置がいかに役に泣たないかを示している」と怒りをあらわにしています。
このほか国連と明記した車両や人道支援団体の旗を立てた建物が標的にされたり、周囲に軍事的な標的が存在しない建物が攻撃されたりしています。
報告書は、事前通告なしに攻撃する方法は「国際人道法の順守を巡るイスラエルの姿勢や能力について重大な疑問を抱かせるものだ」と指摘しました。
また民間人と戦闘員を区別せず無差別に攻撃することは戦時国際法に違反する戦争犯罪だと批判。「イスラエル軍は人道支援団体への攻撃を直ちに中止し、これらの犯罪について責任を問われるべきだ」と強調しました。
停戦と人質解放を 国連総長が強調
しんぶん赤旗 2024年5月16日
イスラエルがパレスチナのガザ地区最南部ラファで軍事攻撃を強めるなか、グテレス国連事務総長は14日、即時の人道的停戦とすべての人質の解放が緊急に求められていると改めて強調しました。報道官を通じて声明を発表しました。
グテレス氏は、イスラエルによる攻撃の激化はガザヘの人道支援をいっそう妨げ、すでに深刻なガザでの状況をより悪化させていると指摘。「ラファだけでなくガザのどこでも民間人は常に尊重され保護されなけ・ればならない」と述べ、「ガザの人びとはいま、どこにも安全な場所がない」と訴えました。
グテレス氏は、ラファ検問所をただちに開放するよう求め、「ガザのどこでも人道支援が届くようにしなければならない」と述べました。
米少佐、抗議の辞任 イスラエル擁護に「罪悪感」
しんぶん赤旗 2024年5月15日
米バイデン政権のイスラエル擁護政策に抗議し、米国防総省の情報機関、米国防情報局(DIA)の少佐が、同局を辞任していたことが13日、明らかになりました。米メディアによると、米軍の士官経験者で米国のイスラエル支持を理由に辞任するのは初めてとみられます。
辞任したのはDIAで中東・アフリカ地域を担当していた少佐のハリソン・マン氏。イスラエルがガザ攻撃を始めてしぱらくした11月には、自らの除隊を申し出ていたといいます。同氏は、13日に同僚への手紙を公表し、辞任の理由を説明。米国政府が6ヵ月間、イスラエル政府を無条件に支持したことによって「多くの無事(むこ)のパレスチナ人の殺害と飢餓がもたらされた」と指摘。ガザからのおぞましい映像と、自らの職責の「つながりを無視できなかった」とし、「これは大きな恥と罪悪感をもたらした」と述べています。
手紙で同氏は、米政府の政策を「擁護することが難しくなった」とし、その判断基準が「子どもたちの大量飢餓をもたらす政策を推進しているかどうか」だったと明かしました。
マン氏は、自らについて「ヨーロッパのユダヤ人の子孫だ」「民族浄化に関わる話題に関しては特に厳しい道徳環境で育てられた」と述べ、祖父はユダヤ人大虐殺(ホロコースト)への批判からドイツ製品を決して購入しなかったと紹介。「遅ればせながら、この戦争から離脱した自分を祖父は誇りに思うことを望む」と述べました。
ユダヤ人職員辞職 米内務省 イスラエル支援抗議
しんぶん赤旗 2024年5月17日
【ワシントン=石黒みずほ】パレスチナ自治区ガザを侵攻するイスラエルヘの支援を続けるバイデン政権に抗議し、米内務省のユダヤ人職員が15日、辞職しました。米メディアによると、米国のイスラエル支持を理由とした政府職員による辞職が相次ぐ中、ユダヤ人職員は初めてです。
辞職したのは、バイデン大統領の任命で同省高官の特別補佐官を務めていたリリー・グリーンバーグ・コール氏。出身校のカリフォルニア大学バークレー校では、親イスラエル団体「米国イスラエル公共問題委員会」(AIPAC)の関連団体の会長を務めるなど、イスラエルを支持する活動にも携わってきました。
同氏はハーランド内務長官に宛てた書簡で、バイデン政権は「イスラエルによるガザでのジュノサイド(集団殺害)」を支援し続けているとし、「良心に顧みてこの政権を代表し続けることはできない」と表明。自身の家族が欧州のユダヤ人迫害から逃れて来国に来たことにふれ、「私たちはユダヤの伝続から暴力や抑圧にあう人々のために立ち上がり、不正義について権力者をただす義務があることを学んだ」と述べました。
また、バイデン大統領が永続する停戦やイスラエルへの武器輸出を停止する権限を行使してこなかっただけでなく、国運安保理でイスラエルの責任を追及する決継に拒否権を行使し、ラエルの行動を可能正当化してきた」と非難Lました。