2020年7月2日木曜日

小池都知事のご都合主義「悪いのは私じゃなくて夜の街」(日刊ゲンダイ)

 都は5月25日に緊急事態宣言を解除し、6月12日には東京アラートも中止しました。しかし、宣言解除以降、新型コロナ感染者数は漸増の一途をたどり、それはアラートの中止前後でも変わりがありませんでした。
 小池都知事は、感染者の増加は、接客を伴う「夜の街」が発生源になっていることに検査数を増やしたことが重なった結果だとして問題視しませんでした。
 しかしここにきて流石に放置できないと考えたようで、30日に新たなモニタリング項目として次の7項目を決めました。
(感染状況)1. 新たな感染者数 2. 東京消防庁の電話相談窓口「#7119」に寄せられた発熱などの相談件数 3. 新たな感染者のうち、感染経路がわからない人の数と増加比率
(医療体制)4. PCR検査と抗原検査の陽性率 5. 救急医療の「東京ルール」の適用件数 6. 入院患者の数 7. 重症患者の数

 ところが具体的な数値基準は設けずに「必要に応じて警戒を呼びかける」と、恣意的な運用が出来るものとしました。
 確かに第1波の時の様に、不十分な補償のなかで「休業・自粛」の要請を繰り返されては、とても経済弱者は生きていけないし日本の経済は沈没します。しかしこのまま推移を見守ることだけでいいのでしょうか。それでは都内の市中感染はさらに広がるし、現実に都内に由来する(疑いがある)感染は首都圏だけではなく、福岡、福島、石川、静岡などにも及んでいます。

 感染拡大防止の鉄則は、徹底的に検査をして誰が感染しているかをキチンとつかむことです。児玉龍彦・東大先端科学技術研究センター名誉教授は、
「大量の検査をしないというのは世界に類を見ない暴挙です。感染症を専門としている人間にとって、この発想はあり得ない。感染症対策のイロハのイは、誰が感染しているかをきちんとつかむことです」(毎日新聞 30日)と述べています。

 小池知事は検査体制について「現在は1日およそ3100件の体制をすでに整えている」と述べていますが、都のPCR検査が500件/日を超えたのは6月18日以降であり、3000件を超えたのは1日、2000件を超えたのは3日あっただけで、その他の日は全て2000件以下です(6月30日現在)。要するに都にも国にも、検査を拡大して感染拡大を抑え込むという姿勢がいまもないということです。これでは発生が明らかになった都度クラスターを追跡したものの、やがて手に負えなくなって爆発的な感染に向かった第1波と同じことを繰り返すことになります。秋以降に予想される第2波が到来したときの悲劇が目に見えるようです。

 アラブ首長国連合(UAE)在住の伊勢本ゆかり氏が、全国新聞ネットに「UAEがPCR検査を1日4万件行う理由~」 https://www.47news.jp/47reporters/4963793.html を載せましたが、それによると人口990万人(東京都は1400万人)のUAEは、国内で感染が拡大する前から徹底した予防策を取り、4万件/日のPCR検査能力を保有しているということです。それはせいぜい2000件/日程度の東京都の実に約20倍、人口比ベースでは28倍です(因みに直近6月30日の東京都の実効再生産数は1・49です)。

 ところで厚労省は医療体制の確保に関連して、都道府県に人口10万人あたりの新たな患者数が1週間の平均で2・5人を超えた日を「基準日」としていて、自粛など社会への協力要請を行うとしているのに対して、東京都の新たな感染者数は、29日までの1週間では2・61人と既にオーバーしています。
 厚労省の関係者は、「協力要請のタイミングが遅れれば遅れるほど ピーク時の感染者数や入院患者数が増えることが専門家の分析で指摘されている」と述べていますが、そんなことを口にするだけではどうにもなりません。

 今こそ精力的に検査をやるべきこの時に、何の反省もなく従って何の改善もない国や都の姿勢ではただただ先が思いやられます。

 日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小池都知事のご都合主義「悪いのは私じゃなくて夜の街」
 日刊ゲンダイ 2020/06/30
(記事サイト阿修羅より転載)
「第1波」の余波が続いているのか、それとも「第2波」襲来の始まりなのか。このタイミングで政府の「専門家会議」が廃止され、詳しい状況がさっぱり分からないものの、いずれにしても終息していないことだけは間違いない。
 29日、新たに58人の新型コロナウイルス感染者が確認された東京都。1日あたりの感染者数は、緊急事態宣言が解除されて以降で最多となった28日の60人よりは減ったものの、4日連続で50人を突破した。
 都内の1日あたりの新規感染者数は4月17日に206人を記録してから減少傾向にあったが、宣言解除前後からは一転して増加傾向にある。
 こうなると、気になるのが感染拡大の警戒を都民に呼びかけるために都が設けた「東京アラート」だ。発令する主な指標は、①1日あたりの感染者数(1週間平均)が20人以上②感染経路が不明な人の割合(同)が50%以上③週単位の感染者数の増加率が1倍以上――で、6月2日には②と③が指標を上回ったとしてアラートが発令され、都庁とレインボーブリッジがそれぞれ赤くライトアップされた。
 この指標に沿うのであれば、都庁やレインボーブリッジは再び、赤色の警告を灯していてもおかしくないが、都は、新たな感染者はホストクラブなど「夜の街」関連の人が多く含まれ、院内感染も含めて感染源をたどれることや、市中感染ではない――といった理由からアラートを発令する気はないらしい。だが、仮にこのペースで新規感染者が増え続けた場合、都民はどう対処すればいいのか。まったく無責任極まりないだろう。

コロナ対策はCMを流してやっているフリ
 一体、何のために「東京アラート」が作られたのか分からないが、本をただせば、アラート解除について、「数字(感染者数)は落ち着いており、東京アラートの役目も果たしたのかなと思う」とノンキに構えていた小池都知事の政治姿勢にも原因があるだろう。
「このところの(感染者数の)高止まりを私も大変気にしております。(感染)経路が分からないという方は、そんなに多くはないんですけど、ただ(感染者の)絶対数はかなり増えていて……」
 29日、囲み取材でこう答えていた小池。増加傾向にある新規感染者数について問われた際には、「今は積極的な検査をしているから」ともっともらしく説明していたが、この発言は裏を返せば、今まで積極的な検査をしていなかった、と認めたのに等しい。つまり、都民にとって何の説得力もないのは言うまでもなく、結局、都の新型コロナの感染状況というのは「東京アラート」の解除前後で何も変わっていないという証左だ。

 都は30日にも、休業要請などの目安としてきた「週平均で1日の感染者数が50人以上」など7つのモニタリング指標を見直し、新たな方向性を示すというが、何も分からずに新たな方向性もヘッタクレもない。「東京アラート」でバカ騒ぎし、都知事選挙に合わせて解除した「自分中心」の都知事が、選挙前に再びアラートを出すわけもないが、一事が万事、ご都合主義と言っていい。小池都政を取材し続けてきたジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「要するに自分が目立ちたい。新型コロナ対策にしても、都の税金を使ってCMを流し、やっているフリをしていただけ。東京アラートも口先ばかりで、都民の命など二の次なのでしょう。1期目の公約の実現度を見ても何ひとつマトモに達成していない姿勢を見れば、嘘と詭弁まみれの都政といっていいと思います」

課題山積の都政運営の舵取りは極めて難しい
「感染経路が不明な症例のうち夜間から早朝にかけて営業しているバー、そしてナイトクラブ、酒場など接客を伴う飲食業の場で感染したと疑われる事例が多発している」「こうした場への出入りを控えていただくようにお願いしたい」
 小池が新型コロナ対策として、名指しで自粛要請を呼び掛けていたのが「夜の街」だ。
 大阪府の吉村知事が休業要請に従わない「パチンコ店」をやり玉に挙げていた強権手法と同じで、小池が「夜の街」をことさら強調するのは、「悪いのは私じゃなく夜の街」とアピールしたいためではないのか。
 おそらく、小池はホストクラブなど「夜の街」で働く人の感染は自業自得などと映っているのだろうが、誰だって感染したくて「夜の街」で働いているわけじゃない。
 生活苦でやむを得ずに働いている人だって大勢いるのに、そんな現実は少しも見えていないし、想像もできないのだろう。
 本来は、そういう弱者に対して手を差し伸べるのが政治の役割だが、かつて希望の党(当時)の党首として、民進党(同)からの合流組の一部を「排除します」と切り捨てた小池にとって、弱者に責任転嫁するという「排除の論法」は当たり前の発想なのだ。ノンフィクション作家、石井妙子氏の「女帝 小池百合子」(文芸春秋)で描かれている危険な思想そのものではないか。

小池リードの理由は消極的支持に過ぎない
「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」……。詰まるところ、小池都政の新型コロナ対策とは、横文字を並べて「やっているフリ感」を強調していただけ。「ウィズコロナ」だって、「自分の身は自分で守れ」という自己責任を都民に押し付けている論法に過ぎない。
 もはや、小池が都知事に就いていること自体が「東京アラート」と言ってもいいのだが、そんな小池を多くの都民が支持しているのだから、恐ろしい世の中だ。
 7月5日投開票の都知事選をめぐるメディア各社の世論調査でも、「現職の小池百合子氏がリード」(時事通信)、「現職の小池百合子氏が他候補を大きく引き離し、安定した戦いを展開」(読売新聞)、「現職の小池百合子氏が優勢」(毎日新聞)など、小池有利との見方が支配的だからクラクラしてしまう。三浦麻子大阪大教授ら心理学者の研究グループがまとめた調査で、米国や英国などと比べて、日本では新型コロナに感染するのは本人が悪い、と考える割合が高かった――と報じられた。
 こうした「自己責任論」「弱者排除」の危うい風潮が、小池支持の土台になっている面は否めないのだが、今の都政の現実といえば、見れば見るほど、暗澹たる思いが強くなる。
 新規感染者が増えているにもかかわらず、小池の見せかけのパフォーマンスによって都の「貯金」(財政調整基金)はスッカラカン。金がない都は仕方なく、営業自粛をどんどん解除し、巨額の追加負担を強いられると分かっていながらも五輪は強行と旗を振るしかない。うまい具合に新型コロナが収まったら儲けもの。そんな「奇跡の神業」に頼るしかないのが都政の実相なのだ。政治評論家の小林吉弥氏はこう言う。
「小池氏の支持が高い理由は2つ。1つは他の候補者と比べて消去法で『まあいいか』ということ。現職の強みに加え、新型コロナ対策でメディアにバンバン露出した効果でしょう。2つ目は、安倍政権があまりに酷いので、やはり『小池都政の方がまだマシ』と考える有権者が多いことです。いずれにしても、消極的支持で小池氏がリードしているわけですが、新型コロナ、都財政、五輪……など課題山積の都政運営はこれまでのようにはいかない。舵取りは極めて難しいと思います」
 仮に小池続投になっても、任期途中で放り出すかもしれない。


小池都知事の“コロナ独裁”で東京発の第2波が全国拡散危機
 日刊ゲンダイ 2020/07/01
 30日、都内で新たに54人のコロナ感染者が確認され、5日連続の50人超となった。これまでの都の基準に従えば、東京アラートや休業要請が出される感染レベルだが、都は30日「新たなモニタリング指標」を発表し、基準を撤廃。小池知事の“コロナ独裁”により、東京からウイルスが全国に広がるのは必至だ。
◇  ◇  ◇
 新指標では医療提供体制の状況を重視し、具体的な数値基準は設けず、必要に応じて警戒を呼びかける。
 昨夜の臨時会見で小池知事は、基準の撤廃について「流れを見ていく」「全体像をつかむ」などとごまかした。
 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「基準をなくすということは、合格点を教えないようなもの。都民は何を目指して頑張ればいいのか。結局、小池知事は客観的な数字に縛られずに、フリーハンドを持ちたいのでしょう。恣意的な政策が可能ですからね。しかし、感染症対策はサイエンス。独裁ではうまくいきません」
 基準が見えない中で都民が動き回れば、市中感染がさらに広がり、東京のみならず、全国にウイルスが拡散しかねない。すでに飛び火は始まっている。

すでに各地に飛び火
 埼玉では直近2週間の感染者の半数以上が都内で感染した疑いが判明し、神奈川や千葉でも確認されている。
 都内由来の疑いがある感染は隣県だけではない。福岡、福島、石川、静岡などでも見られる。例えば、29日、静岡県浜松市で都内に勤務する70代の男性会社員(浜松に帰宅中)の感染が確認された。市内で約2カ月半、感染者が出ていないことなどから、市は都内での感染と推察している。浜松市からすれば、「せっかく抑え込んでいたのに」という思いだろう。
「東京だけが感染抑制に失敗し、他の地域は感染者がゼロや1桁程度になっていました。しかし、知事選で勝利し、小池都政が続くことになれば、東京発第2波が全国を襲い、全国的な大流行になる恐れがあります」(中原英臣氏)

 会見の7、8時間前の30日午後、小池知事は急きょ追加した公務で特別顧問を務める「都民ファーストの会」が都議補選に唯一候補を擁立している北区に出向き、都営住宅を“行政視察”。事実上の選挙活動をしていた。コロナより自分なのだ。

「誰も忖度しなくなった」 政権崩壊がはじまった安倍首相の落日(元木昌彦氏)

 元木昌彦氏が、「『そして誰も忖度しなくなった』 ~ 安倍首相の落日」とする辛辣な記事を出しました。
 河野防衛相の「下剋上」に始まる安倍首相の醜態が濃密に語られています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「そして誰も忖度しなくなった」 政権崩壊がはじまった安倍首相の落日
 河野大臣「私はやりたくありません」
 元木 昌彦 PRESIDENT Online 2020/06/30
ジャーナリスト
安倍首相はその言葉に驚きを隠せなかった
安倍政権崩壊確実で「下剋上」が始まった。
その象徴が、河野太郎防衛相が「迎撃ミサイルシステム」の停止を、安倍に相談せず独断で決定したことだろう。
安倍首相は、河野から「私はやりたくありません」と聞いて、驚きを隠せなかったといわれる。
「陸上イージスの導入を撤回すれば、ミサイル防衛を根本から見直さなければならない。政府には導入によって、イージス艦乗組員の負担を軽減するねらいもあった。さらに米側とは契約済みだ。撤回すれば『バイ・アメリカン(米国製品を買おう)』を掲げるトランプ大統領の怒りを買う恐れもある。
『河野さんも外務大臣やったんだから、状況は分かってるよね?』。首相は河野氏が口にした問題の大きさを示すように念押し」(朝日新聞デジタル 6月25日 5時00分)したといわれる。
だが、河野は安倍のいうことに耳を貸さなかった。河野が停止する理由として、迎撃ミサイルを打ち上げた際、切り離したブースター(推進装置)を演習場内に落とすことができず、周辺に被害が及ぶことが判明したことと、それを改修するには、約10年、2000億円にも及ぶ時間とコストがかかるということだった。

費用を追加しないと機能しない欠陥品だった
だが、週刊文春(7/2号)の中で、元海将で金沢工業大学虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授がいっているように、迎撃ミサイルを撃つのは、「核ミサイルが撃たれて、その核爆発を止められるか否かの瀬戸際の時です。モノが民家に落ちる危険と比べることには意味がない」という意見に頷けるところもある。
さらに、米国側と約1800億円で契約済みであるため、それをどぶに捨てることになりかねない。それでも河野が決断できた背景には、文春が入手したディープスロートからの「A4判2枚のペーパー」に書かれた衝撃的な“事実”があったからだというのである。
昨年3月下旬に防衛省外局の防衛整備庁職員が輸入代理店の三菱商事社員らと共に、アメリカのロッキード・マーチン社を訪れていた。彼らがその後に提出した報告書には、「LRDR(長距離識別レーダー)自体には射撃管制能力はない」と書かれていたというのである。
先の伊藤教授によれば、射撃管制能力というのは迎撃ミサイルを目標に誘導する能力で、イージス・システムはレーダーと、目標へ自らの武器を誘導する“神経”が一体化しているそうだが、その肝心かなめの神経がないというのだ。そのために、追加で莫大な費用をかけて別システムを組み合わせる必要がある重大な欠陥商品なのだ。
しかし、この報告書は、当時、防衛大臣だった岩屋毅を含めた防衛省上層部には届いていなかった。当時の深山延暁防衛装備庁長官は文春に対して、「それってもうイージス・システムじゃないじゃん! そんな報告があった記憶はない」と驚きを隠さない。

無知蒙昧とはこのことだ
ふざけた話である。そもそもこれは、防衛省から要求したものではなく、安倍首相がトランプ大統領に押し付けられ、仕方なく引き受けることになったのだ。
無用の長物に莫大な血税をつぎ込んだ責任は、間違いなく安倍首相にある。安倍や安倍の周辺が、この不都合な報告書を何らかの形で“隠蔽”したと考えても、無理筋ではないのではないか。
だが安倍首相は、トランプが再選されない可能性が高くなってきたことと、この配備停止を大義名分にして解散を目論んでいるといわれているそうだ。無知蒙昧とはこういう人間を指す言葉である。
森友学園や加計学園問題、公職選挙法違反の疑いが濃い「桜を見る会」前夜の夕食会問題から、憲法を踏みにじる集団的自衛権の容認、理想もリーダーシップもないトランプ大統領への媚びへつらいなどなど、安倍自身に関わる数多くの疑惑に、数え切れないほどの閣僚たちの失言・暴言、日銀、NHKの人事への介入や言論・表現の自由を委縮させる発言、新型コロナウイルス感染対策の数々の失敗、持続化給付金事業に代表されるように、官僚と電通の癒着構造など、安倍のやってきた“悪行”は数えきれないほどある。

「権力闘争のおもちゃにされてしまって…」
その集大成ともいうべき究極の事例が、河井克行元法相と妻・案里が「公選法違反(買収)容疑」で逮捕されたことである。
安倍に批判的な溝手顕正を落とそうと、案里を強引に立候補させ、安倍自らが指示したとされる、自民党から1億5000万円を選挙費用として渡したのである。
河井夫妻は、その巨額なカネを地元の実力者たちに大盤振る舞いし、選挙のウグイス嬢たちにも違法に高い謝礼を払っていたのである。
逮捕前、案里は文春でノンフィクション・ライターの常井健一のインタビューに答え、「権力闘争のおもちゃにされてしまって、権力の恐ろしさを痛感します。(中略)岸田(文雄)さんと菅(義偉)さんの覇権争い、岸田派と二階派(案里氏の所属派閥)の争い、検察と官邸の対立……。そういう中で“消費される対象”として擦り減っちゃった」と告白している。
50近い女性が、安倍の掌で転がされていたと、今頃気づくとはお粗末だが、安倍の持ち駒の一つで、自分に累が及びそうになってきたので、切り捨てられたのは間違いない。

今のような低次元な政権がかつてあったか
私は、政治記者でも評論家でもないが、長く生きてきた分、永田町という魔界で蠢いてきた政治家たちを見てきた。
今の政権のような醜い低次元なものが、かつてあっただろうかと考えてみた。金権政治、ゼネコン政治と批判された田中角栄は、カネにモノをいわせて日本中を掘り起こして環境破壊したが、裏日本といわれていた新潟に上越新幹線を通すなど、情のある政治家でもあった。
佐藤栄作という政治家も国民から嫌われたが、実態はともかく、沖縄をアメリカから返還させた。小泉純一郎は、竹中平蔵と組んでやみくもに新自由主義を広め、派遣法を改正して非正規社員を激増させた。今日の格差社会をつくったという意味では、ろくなものではなかったから、現政権と近いかもしれない。

だがもっと似ている醜悪な政権を思い出した。第1次安倍政権である。
「美しい国づくり」というスローガンを掲げて登場したが、年金記録問題に象徴されるように、醜い国づくりに終始した。
また、佐田玄一郎国・地方行政改革担当大臣の事務所費問題、松岡利勝農林水産大臣の自殺、赤城徳彦農林水産大臣の事務所費問題、久間章生防衛大臣の「原爆投下はしょうがない」発言など、わずか1年の間に閣僚の不祥事・失言が多発した。
結局は、自身の病を理由に、政権をほっぽり出してしまったのである。

反旗を翻す役人たちが続々現れている
再登場してからは、前回の“反省”を踏まえ、官僚の人事権を官邸が握り、日銀、NHKに自分の傀儡を据え、電通をこれまで以上に優遇して、マスコミをコントロールさせたのである。
野党、特に第1党の立憲民主党の枝野幸男代表のだらしなさもあって、選挙戦を勝ち続け、一強とまでいわれるほどの強力な政権をつくり上げた。
だが、かつて自民党のプリンスといわれ、斡旋収賄罪で実刑を受けたにもかかわらず、当選を続けている“無敗の男”中村喜四郎衆院議員が安倍政権を評してこういっている。
「安倍政権の一番の功績は、国民に政治を諦めさせたことだ」

だが、さすがの安倍政権にも最後の時がきたようである。それを示す動きは、先に書いた河野防衛相の叛乱のほかにいくつもある。
週刊ポスト(6/12・19号)が「霞が関クーデターの全内幕『さよなら安倍総理』」というタイトルを付けてこう書いている。
このところ、安倍に反旗を翻す役人たちが続々現れているのは、安倍の最後が近いからだというのである。
記者たちとの賭け麻雀が明るみに出て、黒川弘務東京高検検事長が処分されたが、「訓戒」というあまりにも軽い処罰に、批判が巻き起こった。
すると安倍は、これは稲田伸夫検事総長が行ったのだと逃げようとしたが、早速、共同通信が、法務省は懲戒が相当と判断していたのに、官邸が訓告にしたとすっぱ抜いた。
さらに、当の稲田検事総長がTBSの単独インタビューに出て、自身の処分への関与を否定したのだから、前代未聞の事態である。

次に暴かれるのは「桜を見る会」の名簿か
安倍が肩入れして、早く承認しろとごり押ししていた新型コロナウイルスの治療薬「アビガン」だが、厚生労働省が、副作用などのこともあり、早期承認には反対していた。
これも共同通信が、「明確な有効性が示されていない」と報じ、5月中の承認は断念するに至った。これは厚労省側からのリークだといわれているそうだ。
やはり安倍が押し進めようとしていた「9月入学」も、文部科学省が、家計の負担が3.9兆円にのぼるという試算を発表し、見送りになった。
これまでなら「忖度」という2文字でいいなりになっていた役人たちが掌を返し、安倍を追い落とせとばかりに攻勢をかけているというのである。
次に暴かれるのが、安倍と妻の昭恵が招いた、「桜を見る会」の招待者名簿ではないかと、週刊ポストは書いている。これは、機密指定されてはいない資料だから、官邸は破棄したといっても、どの役所も名簿を持っているというのである。これをメディアに流せば、安倍はご臨終というわけだ。
長いだけが唯一の“勲章”だった安倍政権の崩壊へのカウントダウンが始まっている。それを水面下で推し進めているのが、人事権をちらつかせていうことを聞かせてきた官僚たちだというのも皮肉な話である。
ここへきて、電通と省庁との癒着構造が明るみに出てきているのも、政権が弱体化したことの証左であろう。

「コロナまで利用して金儲けしようとしているのか」
電通と政治との腐れ縁は長い。田原総一朗は著書『電通』の中で、主権回復後の1952年10月の選挙で電通が、日米安保条約の必要性を国民に理解させ、吉田茂の自由党への共感を深めさせる戦略を担ったと書いている。
週刊文春(6/11号)は「安倍『血税乱費』コロナ2兆円給付金を貪る幽霊法人の裏に経産省」というタイトルで、経産省と電通の癒着構造を報じた。
私は以前から、電通という会社を国策会社だと考えている。国策会社というのは「主に満州事変後、第二次大戦終了までに、国策を推進するため、政府の援助・指導によって設立された半官半民の会社」である。
もっとも電通側にいわせれば、「オレたちが国を操っている」というかもしれないが。
東京五輪招致は、電通の人間がIOC(国際オリンピック委員会)理事に巨額の賄賂を渡して成功させたという疑惑が色濃くある。
自民党の選挙広報のほとんどを担っているのも、原発の安全神話を作り出したのも電通である。安倍首相の妻・昭恵が結婚前にいたのも電通の新聞雑誌局であった。
今さら、電通と安倍官邸、官僚たちとの“癒着構造”など珍しくもない。だが、今回、文春が報じたのは、新型コロナウイルス不況で困っている中小、個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を769億円で国と契約した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」(以下サ協)が幽霊法人で、749億円分の事業が電通に丸投げされていたという疑惑なのである。お前たちはコロナまで利用して金儲けしようとしているのかと非難轟々だ。

事業公募日とサ協の設立日が同じ日付
この協議会を運営するのはAという元電通社員(後に平川健司と実名で報道)。文春によれば、このサ協は経産省の「おもてなし」事業を公募で落札しているが、「不可解なことに公募の開始日と団体の設立日が全く同じ日付」(代理店関係者)で、設立時に代表理事を務めていた赤池学も「経産省の方から立ち上げの時に受けてもらえないか」と打診を受けたと証言しているのだ。
要は、経産省と電通との出来レースということだ。こんなことを、多くの国民が不自由な生活を強いられている時に、よくできたものだ。
当然ながら、こうしたことをやるためにはキーパーソンがいる。それは、前田泰宏中小企業庁長官だと、文春は名指しする。ここは持続化給付金を所管しているし、前田の人脈の中にAもいる。
Aは、「政府がコロナ収束後に向けて1兆7000億円という破格の予算を計上した需要喚起策・Go Toキャンペーンの運営を取り仕切る」(電通関係者)ともいわれているそうである。
同志社大学政策学部の真山達志教授のいうように、「電通などへの委託には不透明なところがあり、さらに役所と事業者の間に個人的関係まであるならば、さらなる疑惑を持たれるのは当然」である。

「ズブズブ」だったのが、一体化している
博報堂出身で作家の本間龍が雑誌「月刊日本」で、経産省は過去にもIT導入支援やIT補助金事業をサ協に受注し、電通が再委託していると書いている。昨年の消費税率アップの際も、キャッシュレス決済のポイント還元事業でも「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」に発注して、電通に再委託されたという。
政府広報費も、2014年に約65億円だったのが2015年度には約83億円に増額され、その約半分が電通に流れているそうである。電通を安倍が優遇するのはなぜか?
「マスコミをコントロールして政権を支えているからです。安倍政権は、メディアの政権批判を封じる上で、電通に頼らざるを得ません」(本間)
以前から自民党と電通はズブズブの関係だったが、安倍政権になって「一体化」しているようだ。
その関係が明るみに出てきたのは、安倍に反旗を翻す人間、官僚かまたは官邸の内情をよく知る人物が情報をリークしているからであろう。新聞やテレビは、電通に関わるスキャンダルはやらない。ゆえに文春砲へ持って行ったのではないか。

トランプ大統領落選がダメ押しになるか
そして、安倍政権崩壊の最後のダメ押しは、11月に予定されているアメリカ大統領選で、トランプが民主党のバイデンに敗れることである。
「米国のポチ総理」といわれ、トランプの威を借りて外遊を続けていた安倍は、トランプの度はずれたアメリカ第一主義に異を唱える欧米各国首脳から冷ややかな目で見られていた。
その後ろ盾がいなくなれば、トランプと一蓮托生と見ていた首脳たちは、安倍のいうことなど聞かなくなる。中国の習近平も同様であろう。
かくして、長くやっただけで、国民の暮らしなどに寄り添おうともしなかった安倍政権は、崩壊した途端、悪夢になって誰も振り返らなくなる。

Wikipediaには後年、こう書かれるだろう。
「第1次、第2次安倍政権は、長期政権だったことを除けば、アベノミクスは無残に失敗し、国民の年金積立金を株に投資してこれまた失敗。そのうえトランプ大統領のいうがままに無用な戦闘機などを大量に買わされたため、国の財政を破綻寸前まで追い込んだ戦後の歴代最悪の政権である」(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ) ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198630283/presidentjp-22" target="_blank">編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。

02- 前月までの記事は次のようにすれば

前月までの記事は次のようにすれば ご覧になれます

 画面右側の「ブログ アーカイブ」に表示されている例えば「5月」をクリックすると5月の記事のタイトルが表示されるので、ご覧になりたいタイトルをクリックすれば記事が表示されます。
 元の画面(最新の画面)に戻るには題字下にある「ホーム」をクリックします。

 
前年までの記事は・・・
 画面右側の「ブログ アーカイブ」の下端に表示されている例えば「2016年」をクリックすると、まず同年の最終記事が表示されます。
 次にそのタイトルにカーソルを合わせてクリックすると、右側のアーカイブ欄が「2016年」の「12月」場面に変わりその下に「11月~1月」の月名が表示されるので、上記の方法によって任意の月の任意の記事のタイトルをクリックすることで記事が表示されます。 
 原発・放射能関連のニュースは下記で扱っています
        「原発をなくす湯沢の会」 ホームページ
         URL: http://yuzawagenpatu.blogspot.jp/ 
             
 どうぞそちらの方にもご訪問ください。URLをクリックすればそちらにジャンプします。
ブログ内の記事の検索は次のようにすれば出来ます
 画面最上段の「湯沢平和の輪」の茶色のタイトル帯の左上にある白い長四角の欄が検索用のキーワードを入れるところで、例えばそこに「TPP」と入れて虫眼鏡マークをクリックすれば、「TPP」を含んだ記事のすべてが日付順に表示されます。
 一度に表示し切れない場合は、記事の末尾に「次の投稿」が表示されるので、それをクリックすると次の記事が表示されます。
 全ての記事を表示し終えると「次の投稿」の文字は表示されなくなります。
 元の画面(最新の画面)に戻るには題字下にある「ホーム」をクリックします。

 右欄の下の方に 「人気の投稿」 が10件表示されています。
 これはアクセス数の多い順に自動的に表示されるもので、それぞれのタイトルをクリックすると原記事にジャンプします。
 いずれも元の画面(最新の画面)に戻るには題字下にある「ホーム」をクリックします。